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n:1の恋慕  作者: Rivers
8/29

2:1の交友関係

 会計を済ませた俺達は雑談をしながら街を歩いていた。

 「西園君、普段は美波ちゃんがずっと一緒だから中々しっかり話す機会がなかったんだよねぇ。」

 「そうそう、ウチもちょっと遠慮しちゃって……。」

 「美波は席が隣だし、蓮太郎と一緒にいるからずっと一緒にいるように見えるだけだと思うが……。」

 「そうかなぁ、そんなことないと思うんだよねぇ。」

 確かにかなり距離は近いが、幼馴染の蓮太郎がいる以上俺が恋愛対象に入るとは思えない。


 そんなことを話していると、先日蓮太郎ときたゲーセンにたどり着いた。

 「ついたー!」

 岩倉が元気に声をあげる。

 「元気だねぇ。」

 「ゲーセンか……。なにかしたいことがあったんだっけ?」

 そう問いながらも大体答えは予想していた。

 「ウチらでプリ撮りたくて!」

 やはりだった、あぁいうのあまり得意じゃないんだよなぁ……緊張して。

 とはいえ断るほどでもないので3人で筐体を選びお金をいれるのだった。


 あやうく恋人モードなるものを選ばされそうになって断固拒否したという一悶着があったのち、無事プリクラを撮り終えた。

 最終的に二人は指示を無視して俺の腕に抱きついてきていた。ここまでくると信じられないことに自分に好意があるのかもしれないが、アプローチをうける何かをした記憶がないぞ……。

 それならまだ蓮太郎と繋がるための踏み台と言われたほうが納得できる。

 「西園君、ダウンロードした画像送っておくねぇ。連絡先交換したいから携帯、貸してもらっていいかな?」

 そんなことを考えていると一ノ宮さんから声がかかった。そういば二人の連絡先知らなかったんだな……。断る理由もないので携帯のロックを外し一ノ宮さんに携帯を渡す。

 慣れた手つきで登録を済ませた一ノ宮さんはそのままケースを外し本体の裏面にシールを貼った。


 「なっ!?なんで貼った!?」

 「3人で遊んだ記念だよ。剥がしちゃ嫌だよ?」

 「え、いいねそれ!ウチもはろー!」

 そんなことをのたまう一ノ宮さん。そして自分の携帯にシールを貼りだす岩倉さん。

 カオス極まりない状況にめまいがしてきた俺は一旦考えることをやめ二人に疑問をぶつけてみることにした。


 「俺、入学してから二人に気に入られるようなことした記憶がないんだけど、勘違いじゃなければかなり好感度が高いように感じるんだけど……。もしそうだったら申し訳ないんだけど、俺が忘れてるだけでなにかあったりした……?」

 「あーーーーー、あーね……。反応的に覚えてないだろうなーとは思ってたけど、やっぱりかー。」

 「あの時はあの子とべったりだったからねぇ。」

 その発言でなんとなく察した、恐らく同じ小学校だったんだろう。でもなんで中学は違ったんだ?

 「あ、ウチら私立中学に進学したから小学校だけ同じだんだよ。当時西園君は色んな人を助けてたでしょ?ウチらもいろ助けてもらって、話しかけたいなーって思ってたんだけどいつもボディガードがいたから話しかけられなかったんだよね」

 ボディガードとは当時仲が良かった女の子だろう、それこそ今の美波より距離が近く常に一緒だった記憶がある。


 「ふたりともあんなに一緒だったのに今は違うし、西園君も雰囲気が結構変わったから中学でなにかあったのかなって思ったんだよねぇ。だから私達としても当時の話とかしないほうがいいかなぁって思ってたんだよぉ。」

 「あ、今も話したいことじゃないなら話さなくていいからね!今からでもウチらと仲良くしてくれたらそれでじゅーぶん!」

 「そうか、そのほうが助かるよ。ありがとう。これからもよろしく。」


 この日俺の数少ない連絡先に岩倉さんと一ノ宮さんが加わった。

 同じ中学なのは4人だけだから過去の俺を知っている人間は他にはいないと思っていたが、まさか小学校の同級生と同じ学校になるとは……。

 思わぬところで古傷をえぐられるかと思ったが2人の気遣いでそうはならずにホッとしていた。

 つくづく出会いに恵まれていると、そう思う。

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