3:1の恋愛模様
高校入学という人生の大きな節目を迎えた慌ただしさも落ち着き、少しずつ暑くなり始めた朝の通学路を歩く。
田舎というには栄えているが都会というには程遠い街。大したランドマークもない俺たちの街において家からの最寄駅の近くにあるコンビニが毎朝の集合場所に決まるまでそう長い時間はかからなかった。
目的地が目に入ると、こちらに手を振る親友とその側に寄り添う二人の女生徒が同時に目に入る。
「おはよう、元気そうだな涼太」
「おはよう。そっちも元気そうで何よりだよ、蓮太郎。喜多羅さんと美波さんもおはよう」
蓮太郎の両隣に陣取る女生徒2人に対して挨拶をすると2人分の声が返ってくる。こちらも元気そうだ。
こちらに手を振っていた、短髪が爽やかな高身長、運動も学業もトップクラスなイケメンの名前は東城蓮太郎という。ひょんなことから仲良くなり、狭く浅くなっていた俺の交友関係ではかなり珍しい2年以上の付き合いになる親友だ。
蓮太郎の両隣のうち左側に陣取る150センチなかほどの身長で明るい茶髪をサイドテールにした女子が喜多羅結衣。中1の頃から蓮太郎にアタックし続けている片思い女子だ。
面倒見が良く明るい性格でクラスでも人気がある・・・らしい。
反対側に陣取るのは150センチない小柄な身長に色素の薄いグレーの髪と白い肌、青色の瞳を持つ佐伯美波だ。大人しく寡黙な性格だが少し気分屋というか猫のような気質のある女子だ。
蓮太郎とは親同士が仲が良いらしく、幼稚園の頃からの幼馴染とのことだ。
そして平均的な身長に平均的な顔立ちをした大した特徴のない俺、西園涼太を含めた4人が毎朝一緒に登校し学内でもほぼ行動をともにしている。いわゆるイツメンである。
「3人共待たせて悪いな。」
そんな俺の言葉とともに駅へと向かう。4人で横並びになるわけにはいかないので、自然と2人ずつに分かれる。こういったときは結衣に気を使ってか美波が俺の横にスッと移動してくることが常となっていた。
「毎度毎度、蓮太郎の隣じゃなくて悪いな」
横に並んだ美波に話しかけと大丈夫と首を振った。俺との距離は先ほど蓮太郎と並んでいたときよりも遠い。
はっきりと聞いたことはないが、その様子や距離感から美波も蓮太郎のことを好いているはずなのに隣が俺になってしまっているのは申し訳無さがある。
これは親友と親友を狙う2人の女子を傍観者として眺める、青春のかけらもない俺の日常だ。
勢いで1話目を投稿しましたがskebと原稿の締め切り的に続きに割けるリソースがない…