堂々と
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翌日ーー朝のホームルーム。
教卓では、マックス先生が額の汗をハンカチで拭いながら、今日の予定を話している。
「なあ」
「ああ、なにかいつもと違うな」
しかし、誰もその話を真面目に聞くものはおらず、
「少しは先生の話を聞いてくださいねー」
先生は、目尻に浮かんだ雫を、額から流れる汗と一緒に拭った。
「みんな見ててやりにくいんだけど……」
「我慢しろ。昨日、どんなことがあっても堂々とするって決めただろ」
「……堂々の意味が違うような」
クラスメイトから向けられる視線に恥ずかしさから机と睨めっこしていた私は、意を決して顔を上げ、
「な、何見てんだ、こ、こらあ!!!」
半ばやけくそのように周囲を睨みつけ吠えた。
「お、いいじゃねえか。だが、まだ甘いな……なーに見てやがんだ、ごらあ"あ"!!」
まだ羞恥心を捨てきれていない私を見て、ディックがお手本を見せてくれた。
「ひっ……!」
「す、すみません!!」
百獣の王と見紛う迫力ある威嚇に、遠目からこちらの様子を伺っていたハイエナ達が顔を背けた。
「ふん……こんな感じだ。やってみろ」
晴れやかな顔のディック。ここまで我慢してきたものを発散できたことでスッキリしたのだろう。
「わかったわ」
私は、貴族令嬢としての矜恃を捨て、
「なに見てんだ、こらぁぁ!!!」
遠目から私を見てひそひそと話す令嬢たちに向かって吠えた。獲物を狩る肉食獣をイメージして。
「ご、ごめんなさい!!」
「な、何も見ていませんわ!」
教卓へと顔を戻した。
「今日も先生は太ってらっしゃいますわね!」
「ええ!ご立派ですわ!」
わざとらしく大きな声で話していた。
いつもなら何も言わない、私の悪口をわざと聞こえるように言う女子生徒達が、怯えたように顔を背けるさまに
「き、気持ちいい……」
笑ってしまった。と同時に「してやった!」という達成感のようなものもあった。
「今まで好き勝手に散々言ってくれたんだ。これくらいやっても罰は当たらねえよ」
と、笑顔を浮かべるディックに、
「そうね! たまにならいいかも!」
私もつられて笑った。
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