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永遠のラスト・トライアル ~Roll forward~  作者: 夜桜ヨシノ
―章 スロースターター回復術士編
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 武器屋ピットファイア商会でのやりとりのお礼として、ユミカの自宅で食事をふるまってもらえることになった。


 「さっきはありがと。はいこれどうぞ」

 「いただきます」

 生活が苦しいのか、固そうなパンと簡単なスープが出された。


 「でもなんで魔法剣なんか必要なの?」

 スピカが尋ねるとユミカは押し黙り、うつむく。


 「いや、言いたくなければいいんだけど、冒険者でもやるつもりなの?」

 「父が殺されて…」

 ユミカは泣き出す。


 「……大丈夫?」


 ユミカは父が殺された状況を語った。

 母が行方不明になり、父との二人暮らしで、リスキャムで人気だったマキシコブレッドというパン屋を営んでいた。数日前に父がパンのタネを発酵させるめぐみの石の受け取り行ったきり帰ってこなかった。

 このパン屋で使っていた恵の石は、手のひらサイズの大きさで、手錬金術師や魔術師も好んで実験に使うような最上級のもので極めて入手困難らしいとのことだった。

 路地裏で父が死んでいる所を翌朝発見され、指先には血文字で『XX/』と書かれていたらしい。犯人を示すダイイングメッセージだろうか。

 ユミカ曰く、素行に問題のあるトリプルエックスと名乗る冒険者集団クランの仕業と考え、復讐を考えていたらしい。


 「戦いの集団プロに剣で復讐なんて無謀だよ」

 「でも………」

 「復讐の確約は出来ないけどウチに任せてくれないかな」

 「わかった」

 ユミカは復讐を諦めてくれたようだ。


 「ところでリスキャムに来たばかりで泊まるところも探しているんだけど、安い宿ってないかな?」

 「うちの所でよければずっとタダでもいいわよ」

 「それは助かるよ。でもいいのかな?」

 「え?なにが?」

 「ウチは男だけど、女の子が簡単に男を泊めちゃっても」

 「………えええ!?男?どうみても女の子にしか見えないんだけど」

 ユミカはかなりびっくりしたようだ。


 「やっぱり宿を教えてくれるだけでいいから」

 「う、ううん。やっぱり泊まって」

 「いいの?」

 「信用してる。それに私一人で住むにはちょっと心細くて…」

 「わかった。お世話になります」

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