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ぼっち希望は夢を見ない!  作者: 唯
第一章
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ぼっち希望は望まない!#2

 授業が終わり、昼休み。

 昼休みって無駄に長いよね。いやぁ、ね?俺は別にいいんだけど同じ境遇の人とかがかわいそうだなぁって。たまにいるじゃん、教室の端の方でいっつも本読んでたり、狸寝入りしてたり、音楽聴きながら机に突っ伏して寝たふりしながら周囲の声に耳をすませばしたり。

いや、俺じゃないよ。うん、ドウホウダヨ。チガウボクチガウ。

 まぁそんなこととも中学でおさらば。もしくは中休みのみ。昼休みは一人、この静かな空間を独り占め。

 二図書は以前と同じく、静寂を纏っていた。一時期嵐のように彼女は訪れたが、やはり陽キャ。友達多い系リア充。教室を出ていく寸前、たまたま目に入ったのは多くの友人たちに囲まれた彼女の姿だった。


 やはり彼女は()()()の方がしっくりきている気がする。いや、あくまで俺の個人的な意見だが、ああいうワイワイやってみんなで楽しい楽しい青春の一ページを今まさに作っていますよ。という方が記憶として良いのではないか。

 俺のように、ただひたすら仮に望んでいるとしても一人で黙々とひたすらに時間を自身だけのアルバムに残す。側から見ればつまらなそうや、哀れまれる対象になりうる行為は彼女には似合わない。

 なんとなく、そう思った。

 ただし、俺には似合う。哀れ?なんだそれは美味しいのか?あの、餅米を小さくカットして火で炙ったお菓子のことかな。それは()()()です。あられって美味しいよね、特にあの、たまに入ってる大きいやつ。餅米じゃなくて豆のやつとかも入ってるよね。

 

 おっとと、くだらない話は隅におこう。とにかく、人には自身にとって最適な、居心地の良い場所がある。この場所だってそうだ。

 俺の、俺による、俺だけのプレイス!

 誰にも脅かされたりなどしない!

 ぐっと握り拳を作り、高らかに宣言。したとほぼ同じくして俺のゲーム機、もといスマホが右ポケットで振動した。珍しいな、ゲームの通知かな?いや、通知はミュートにしていたはず。なら公式からのなんかかな。非通知し忘れたとか……。真っ先に誰かからのメッセージだということに思い至らなかったことに気づき、若干虚しさを覚える。


『秋月君今どこー?』


 そっとスマホを伏せる。

 うん、見なかった。俺は何も見なかった。あー、なんか今日は電子機器使わないでいいや。本でも読んで後の時間を潰そう。

 弁当と一緒に持ってきた読みかけの本を取り出して栞を挟んだページを開く。

 時間は緩やかに過ぎていく。その間、視界の端に置いてあるスマホが数回振動した気がするけど気のせいだろう。


 本の話に区切りがつき、ふぅと一息つく。

 壁掛け時計をチラリと見ると残り二十分ほど。やっぱり長いなぁ。いや、まぁいいんですけどね俺は。でもこんだけ長いと同じような境遇の人がーー。

 どうでもいいことをまた考えてしまい、集中が切れた。こうなってしまうとなかなか本に入ることは難しい。

 うーん、困った。スマホは封じられているし……。

 特にすることが思い付かず、ぼーっと、どこを見ているのか自分でも分からないくらいただただ意識を捨てていると、はっと思うことが見つかった。

 それは、今日の中休みのこと。


 あれ、結局何だったんだろう。

 二度にわたって感じた何か。視線……だと思うんだけど、圧?みたいなのをすごい感じた。なんか思い出すだけで少し背筋がぞくりとする。

 べっ、別に、びっ、ビビってねぇし。

 そう一人で言い訳しつつも、辺りをキョロキョロ見回す。いや、一応ね。確認というか何というか。やっぱり人気者たるもの常に周りの視線を敏感に感知しとかないとなって。

 元々下手な言い訳、言い逃れもいつもよりもレベルの低くなっている気がする。

 ぼっちなるもの周りの視線に敏感なのは本当で、そして弱点でもある。やけに人の視線とか気になっちゃうんですよね。あとは、笑い声とか。特に女子の。悪い方向に捉えてしまう事がなお悪い。

 そういうのに過敏に反応してしまうと挙動不審がられるというか、何こっち意識しちゃってんの?とか、端的にいうときもがられるということがあり、それを知った日の晩には、枕を涙で濡らすこと請け合いまである。

 だから、平静を装う。必死で、音楽とか本とか寝ることとかに集中して、反応を鈍らせる。

 だけどもこれ、別に悪いことだけではなく、現に今回だって変に嫌な何かをとっさに察知して回避している。

 これで勘違いだったら恥ずいけども。山に入りて修行に勤しもうかな。


 テキトーに考え事をしているともう残り十分ほどになっていた。

 特にやることもないし、もう戻るか。

 立ち上がってスマホを見るまでまさか通知が二十件も、同じ人から送られてくるとは思いませんでした。

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