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ぼっち希望は夢を見ない!  作者: 唯
第一章
39/115

ぼっち希望は誘われない!#13

 知ってるか? 世界って深いんだぜ。

 今、目に見えているものだけが真実とは限らないとはよく言ったものだ。

 幽霊だっているかもしれない。だって、言葉に幽霊という単語があるならばそれができた経緯にはやはりそういうものを認識して、語り継ぐだけの確定さが不確定の事象の中にもあって。

 例えば占い師なんかは昔からもいたみたいだけど、あれ昔の人はなんでやろうと思ったんだろう。アミニズムだったからか? 神様がいたからか? 

 言葉の出とはいかに不明確で不明瞭で、そもそも言葉がない時代にどうやって言葉ができたのか共通化を図ったのかというのは謎である。

 それは常に、人々が理解しやすい形として継がれていった。分からないものは取り除かれていった。

 まあ何が言いたいかというと、この状況に説明を求む。


 赤焼に染まる背景に、頬も気づけば焼け焦がれている。逆光が彼女を神秘的に映すがそれは虚ろに不明確だ。

 彼女はあまりに場を整えすぎたのだ。

 二人きりの教室。夕刻。朧にも彼女が見せる表情。

 だから俺は悪くない。うん、まじでこれは勘違いしても仕方なくない?

 彼女の言葉に理解が追いつかず、しかもものすごく恥ずかしい勘違いをしたダメージで俺の時が止まっていた。


「……秋月君?」


 夏見さんが俺を呼ぶ。おっと、いっけなーい、ぼーっとしてたみたいだわ。最近ぼーっとすること多いんだよね。いい加減博識な五歳児に怒られそうだ。………あの年で顔真っ赤にしてまで切れてたら頭の血管切れちゃいそう。カルシウムが足りてないと思いました。


「ねえ、聞いてるの?」


 夏見さんが不機嫌に聞く。


「え、ああうん。なんだっけ幽霊の話だっけ」


「全然聞いてないじゃん……」


 悪いな夏見さん。聞いていたが今は聞いてなかった体にしたほうが都合がいいのだ。

 この手の話、二回目を言うとなるとすごく恥ずかしい。冷静に見てしまってしらけるからだ。だから二回目は「もういいよ……なんでもない」的な感じではぐらかされること請け合い。


「いやだから。秋月君と友達になりたいの」


 なんにも臆せず聞いてきた。強いな夏見さん。レベル差がありすぎる。俺みたいな『レベル1 職業ぼっち 属性ぼっち』からしたら『レベルMAX 職業勇者 属性陽』なんて天地の差だろう。

 普通なら彼女のように可愛くて社交的で完璧に近いような人からのお誘いなら断るどころか感謝状さえ送っていくレベル。……それはないにしても普通にありがたい。

 だが、今回は相手が悪い。


「………」


 俺は一向に答えられなかった。

 その意味を彼女は汲み取る。そして気まずそうに笑った。


「やっぱり……私じゃだめ、かなあ」


 彼女は悪くない。悪いのは俺だ。彼女にそんな顔をさせてまで俺はぼっちでいたいのか?


「いや、夏見さんが嫌なわけじゃない。……俺は、ぼっちがいいんだ」


 そう、俺はぼっち。ぼっち希望者。病めるときも健やかなるときもぼっち。一人を愛し一人に愛されたい男。


「……でも、秋月くん最近全然ぼっちじゃないじゃん」


「……え? 何いってんだよ俺はいつ何時もぼっちだったろ」


 そうしないと変わっちゃうよタイトル。


「だって最近……つゆとねこと仲いいじゃん!」


 つゆさんにねこさん。まあ確かに最近はよく話すがそれはあくまで事務的な、もしくは向こうが一方的に、ということの方が多い。


「いや、別に仲いいってわけじゃないから」


「どこがだよ! 全然仲いいじゃん。ねこなんて一緒にダンスも踊ってるし!……私だって……」


「なに? 私だっての後が聞こえなくて」


「なんでもない! いいから友達になってよ!」


 わーわー! とまるで子供みたいに駄々をこねる夏見さん。容姿的な幼さも相まってか、余計に幼く見える。


「だからおれはぼっちでいたいんだって!」


「友達、いらないの?」


「………別に」


 つい言葉に詰まって意味ありげな態度を取ってしまった。

 夏見さんは察してくれたのか勢いはなくなって、次に言う言葉を模索し直していた。


「じゃあ、分かった。秋月君がほしくないって言うんならほしいって思わせればいい」


「……は?」


「ぼっちがいいなんてそんなことないって教えてあげるよ」


 何を言っているんだ? 夏見さんて実は違う星から来たんじゃないの。コミュ力星みたいな。俺行ったことないからそこの言語知らないんだけど。

 彼女はなおも話を進める。俺は乗り遅れているのに気づいていないみたいだ。


「秋月君の友達になってあげるよ」


「ちょっと何言ってるのか分からない」


「ふっふっふ……秋月君の許可とかはいらないから! こっちで勝手にやるから!」


 だめだ。もう完全に旅立っている。夏見さんは陽キャ星に帰っていくのか。さっきと星が変わっているんだが。

 そこで彼女はビシッと俺を指差した。それ、しちゃだめだって親御さんから習わなかったのかよ。

 彼女は夕日を背にして神々しくも俺の前に現れた。さっきまでとは打って変わってその表情にはたしかな決意が見て取れて、恥じらうとか頬染めるとか、勘違いのしようがない決意の顔。

 彼女は俺の前に現れたさながら救世の女神のようだ。女神にしてはやかましいが。

 勘弁してほしい。ほんと、意味のわからんまとめ方しやがって……。何度も言っているだろう。いい加減分かれよ。俺は―――


「……ぼっちでいたいだけなんだ」

まだ終わりませんよ!


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