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吉川進シリーズ

吉川進シリーズ第3弾 『挑戦』

作者: 辻幸次郎

みんな!!俺のこと覚えてる!?!?

俺、吉川進だよ!!!

例の「うんちもらすの!」の動画から10年だな!

俺はもう48歳だ!立派なアラフィフおじさん!5年前にユーチューバーを辞めてから、実はアイドルを目指して頑張ってる!




「ミュージックスタジアム!今日も始まるよ!!」MCの林田さんの掛け声が表のスタジオから聞こえる。そう、今日は念願の音楽番組デビューの日だ。アレからいろいろあってアイドルになれたけど本当にエムスタに出れるなんて…感無量だ、、

「ヨッシーススムさん!出番です!」

番組スタッフに呼ばれた。ついにか。ちなみにヨッシーススムってのは俺の芸名。

「続いては魅惑のダンディズムアイドル!ヨッシーススムさんです!!!」

パチパチパチパチ…

「どうも、ヨッシーススムでーーす☆43歳のときにアイドル目指し始めました!!!」

キャーーーー

女の子の黄色い歓声が聞こえる!

俺はアイドルなんだ…!!

「ヨッシーさんは何故その歳でアイドルを目指されたんですか?」

林田さんに質問された。

俺は答える

「そうですね!やはり昔からジョリーに憧れていて!ちょっと色々あって職が無かったもんですから目指してみようかなと思いまして!」

「なるほど!…ワタクシちょっと存じなかったんですけど…ユーチューバー?をされていたんですか?」

うっ…聞かれたくない所を…

「はい…そうなんです。一時期マジメにユーチューブ一本で食っていこうと思ってて…でもそんなに世の中甘くなかったですね笑」

「でも今はこうやってアイドルしてる訳でしょ?すごいよね。人間諦めなければ何でも出来ちゃうんじゃないかって!?ねぇ?」

「はい!ありがとうございます!!」

あの林田さんに褒められてると思うとすごい嬉しい。

「ではですねヨッシーさん歌っていただいていいですか?」

「はい!」

「ヨッシーススムさんで、

『輝くダンディズム』です!どうぞ!!」




バァァァァ

「は?ここは?ベッドの上?なんだよ夢かよ…」

エムスタに出てたのは夢だったみたいだ。

まず俺は顔を洗いに洗面所に向かう。そしてその後ブレックファストを食べる。今日は白飯と味噌汁と焼きジャケと肉じゃがとコーンスープ、それにプリンだ。

え?多いんじゃないかって?そんなことない。アイドルなんだから。踊ったり歌ったり、体力勝負なんだから食わないと。

ブレックファストを食い終わった俺は、早速ダンスレッスンを始めた。

前まではアイドル養成所に通っていたんだけど、周りは10代の子たちばっかりでなんか浮いてたし、なんなら先生も全員年下でなんか気まずいから辞めた。

「今日のダンスレッスンはボックスステップだな。」俺は華麗なボックスステップをキメる。

鏡に映る自分を見ながら修正点を探していく。

ん?俺のボックスステップなんかおかしくないか?ダサいというか…でも何が変なんだろうか?分からないなぁ…やっぱり我流じゃ厳しいのかな…。

「そうだ、ユーチューブに上げよう。」

俺は元ユーチューバーなんだし、せっかくだからそうしようと思った。

ということでボックスステップを踏んでる動画を撮った。

「これだけじゃなんか味気ないな、挨拶も撮ろう」挨拶を撮ってユーチューブに動画を上げた。だれかダンスとかアイドルに詳しい人の目に入るといいな…


☆☆☆☆


プルルルプルルル…

「はい、もしもし?えっ!この間新しく入ってきた子が辞めるって言い出した!?はい?はい…?分かりました…はい」

ツーツー…

「新しいアイドルの子を見つけ出せ!か。」

僕は超大手芸能事務所で働いてる品川一彦。

なにやら新しく企画したアイドルの子たちが辞めたいらしい。もう止められないと。普通の女の子でありたいと。 

「それなら最初から入ってくるな…」

ということで新しいアイドル候補を探してこいと上から司令があったわけだが、そう簡単に見つかる訳がない。渋谷あたりにスカウトにいくか?モデルとかの他の業界から引っ張るか?どうするか……

なんかアレだったので適当にスマホでアイドル動画を見ていたら。あなたへのオススメにこんな動画があった。

『吉川進だけど俺のボックスステップみて。』

なんだこの動画は…僕は引きながらも再生ボタンをタップしていた。

ん?!?!?!


『みんな!!俺のこと覚えてる!?!?

俺、吉川進だよ!!!

例の「うんちもらすの!」の動画から10年だな!

俺はもう48歳だ!立派なアラフィフおじさん!5年前にユーチューバーを辞めてから、実はアイドルを目指して頑張ってる!』


なんだこの人は…?

このおじさんがアイドルを目指してる…?そんなの無理だろ…

一彦が動画を見ていると画面の中のおじさんがボックスステップを刻み始めた。

「!?」

なんだこのステップは…基本的な動きは出来てるのになんか違和感がある…?どこがおかしいんだ…?

…!?

「そうだ!まずおじさんがボックスステップを踏んでるってのがおかしいんだ!!そこが違和感のもとだ!」

──この人、どこがおかしいかのアドバイスを求めてるみたいだ。フリーメールアドレスが詳細に乗ってる。「送ってみようかな。」


☆☆☆☆☆☆


今日こそはアドバイスメール届いてるかな?

俺はウキウキしながらメールフォルダを開いた。

『ボックスステップ動画の件』

「いきなりのメール失礼致します。私超大手芸能事務所の品川と申します。吉沢進さんのボックスステップ動画を拝見させて頂きました。その動画内でアドバイスが欲しいとのことを仰っていらしたので、私が気付いた点をメールさせて頂きます。まず吉沢さんのステップは基本的な動きとしては完璧に出来ていて綺麗でした。ではどこがおかしいのかと考えたところ、まず、48歳のおじさんがボックスステップを踏んでるのがおかしいのではないでしょうか?失礼なメールになってしまい申し訳ありません。もし何か他に質問がありましたらこのメールに返信をお願いします。」


「なんと…!?」

まずおじさんがボックスステップ踏んでるのがおかしいなんて。盲点だった。。しかしこの品川さん。すごい人だな、ちゃんと気づいてしかも、ちゃんとメールをくれた。

「超大手芸能事務所の人なんだっけか。」

実は最近自分の歌声でも悩んでるとこがある。

──メール送ろうかな。

まず俺は自分の歌声を録音した。これを添付してさっきのメールに返信しよう。

「よしっ」


☆☆☆☆☆ 


「なんでやねん!!!」

テレビから芸人のツッコミが聞こえる。心地よい。そう、僕は芸人さんが大好きなのだ。なんであんな華麗なツッコミを決められるんだろう。

僕にはひとつ、気になってることがあった。そう、前に送ったおじさんへのアドバイスメール…

「あの人どうなってるのかな?」

ブー…ブー…

ちょうどその時携帯が鳴った。メールだ。

「なになに?…」

それは吉川進からのメールだった。

そのメールには進の歌声データが添付されていた。この音声を聞いてそれについてもアドバイスを欲しているらしい。僕は早速イヤホンを刺して再生してみた。

「……」

なんだこの歌声は…………?

オーストラリアの海のように透き通り、天使が人を天国に連れて行く時に流れてそうなコーラスのように美しく、さらには長い長い時を経て出来上がった鍾乳洞に入った時くらいにしか感じ得る事のできないような神秘的な感覚を感じ取る事が出来る…

「凄いぞこのおじさん。。。」

その時僕は前に上司に言われた一言を思い出した。「新しいアイドルの子を見つけ出してこい!!」

──これって結構面白いんじゃないか?

僕はこの『吉川進』さんを一流のアイドルに仕立て上げる事にした。一応上司にも言ってみよう。

 



「で、なんで得体の知れない48歳の男をアイドルにしようと思った?」

「いや、あの歌声は彼にしか出せないんです。それを世の中に出したいんです!!」

「歌が上手いんなら歌手でも目指せば良いじゃないか」

「いや、あの歌声はアイドルにしか向いてないんです!!それにこの人は真剣にアイドルになりたがってる。この人のダンス動画は見ましたよね?おじさんがステップ踏んでるという時点で確かにおかしいですけど、それ以外は完璧だった。ていうかむしろ今ウチの事務所にいるどのアイドルよりも上手い。そんな人を放っておくつもりですか?」

「ああ放っておくよ。確かに歌も上手けりゃダンスも完璧かも知れない。けどな、48歳でアイドルデビューなんてありえない。ウチの事務所には絶対に入れさせない」 

(だめだ…これじゃ何を言っても無駄だ…もういっそ…)

「吉川さんの入所を認めて頂けないのなら僕が辞めます。自分で事務所を立ち上げます。」

「お前本気で言ってるのか!?!?無理に決まってるだろ!?やれるもんならやれよ!?」

「ああやるよ!絶対に後悔させてやる!僕に辞められた事。『吉川進』を逃した事を!」


こうして僕品川一彦による

『吉川進プロデュース物語』がスタートした。


「まずは吉川さんに会わないとな。」

あのメールアドレスにメールを送ることにした。僕が事務所を辞めたこと。進の歌声に惹かれたこと。そして進を一流アイドルとしてプロデュースする事を決めたことを直接会って話したいとの話をメールにしたため吉川進に送った。



☆☆☆☆☆☆


 

「ははん♪ははん♪」

 俺は今すごくニヤニヤしている。

それが何故かと言うと、なんと!!この間俺にアドバイスメールをくれた品川さんが、俺をアイドルとしてプロデュースしたいって事をメールで送ってきたのだ!!!これから品川のカフェで会うことになってる。

「品川さんだけに…プッ(笑)」

「じゃそろそろ出ようかな」

俺は山手線に乗って品川に向かう。

品川駅に着いた。「たしかカフェの名前は『バファロー中川』だったかな。どこだろう。バファロー中川どこだろう。あ!あった!」

『バファロー中川』を見つけたので入店した。

品川はスーツに黒縁のメガネを掛けている。そしてテーブルの上に茶色の紙袋を置いておくのでそれを目印にしてくださいとメールをくれていたのでそれを探す。

「おっ」

 入って左奥の方の席にそれらしい人を見つけた。俺は思い切って話しかけようと思ったが、向こうが先に俺に気づいて声を掛けてきた。

「吉川進さんですよね?!わざわざ呼び出してしまって申し訳ありません。」

「いえいえそんなこと…それより本当に私を一流アイドルにしてくれるんですか…?」

「えぇ。僕はそうしたいと思っています。なので今日、吉川さんと直接会ってお話したいと思いました。」

「うれしいです。」

「これを見てください。僕が新しく起ち上げた事務所の契約書です。」

「あぁ、そういえば超大手芸能事務所辞めたんでしたっけ…なんかすみません…俺のせいですね…」

「いえいえそんなことないですよ。あんなダボハゼのようでしかも、一人暮らし(大学生男)のシンクの三角コーナーのようなクソみたいな事務所辞めたかったので。」

「…で!これは契約書でしたっけ!?フムフム」

(芸能事務所、『リバーサマー』か。代表、品川一彦さん…俺をプロデュースしてくれるなんてなぁ…しかもそのために事務所を辞めるなんて、、これはサインするしかないな!)

「サインしますね」

俺は言いながら署名をした。

すると品川が言った。

「それでは、これからよろしくお願いします!!一緒に一流アイドルを目指しましょう!!」

「はい!こちらこそよろしくお願いします!」

こうして俺と品川さんによる

『吉川進がアイドル目指す物語』が始まった。


「まず、相談なんですけど、芸名を付けませんか?正直『48歳吉川進』と言われても興味を持たれません。なので何か芸名を考えたいのですがなにか考えとかってあったりしますか?」

「芸名ですか?そうですね…」

そこで俺はこの間見たエムスタに出る夢を思い出した。

(ヨッシーススムだったかな、とりあえず言ってみよ。)

「ヨッシーススムとかどうですか?」

「ヨッシー…ススム…ですか…なかなかいいと思います!!なにか若々しいですし!!」

「本当ですか!?」

「はい!それで行きましょう!!吉川さん…いやヨッシーさん!!!」

「はい!!俺はヨッシーススムです!!」



☆☆☆☆☆☆☆



 しかし今日は疲れたな。

僕はソファに腰を掛けた。

「これからヨッシーさんと二人三脚で頑張っていかないとな。まず最初の仕事どうしよかな?」

 僕は前の事務所では結構優秀であったので、外の人とのコネはあるし仕事はすぐにでも持ってこれる。

「まずはオリジナルの曲が欲しいよなぁ…」

ということで僕は知り合いの作詞作曲家の『Mr.K』に作曲を頼んだ。

 このMr.Kさんは御存じ『南のオールスターズ』のリーダーでもある。


お、もう曲ができたらしい。相変わらず仕事の早い人だ。たったの20分しか経ってないぞ。

 その曲のデータが送られてきているので早速聞いてみる。

「トゥン♪♪ファン♪♪」

 すごい曲だぞこれは。かの名曲『真冬の果肉』を彷彿とさせるバラード…

僕は確信した。

「いけるぞ…あの歌声にこの曲…売れる!」

この曲、『つまみ』でヨッシーをデビューさせる事を決めた。



☆☆☆☆☆☆☆



「つまみですか」

俺のデビュー曲らしい。

「はい。あの南のリーダーに作詞作曲を頼みました。絶対に売れます。200万枚は固いでしょう。」

(あのMr.Kさんに頼めるなんて、品川さん本当に凄い人なんだな…)

「ということで1回歌ってみませんか?『つまみ』。スタジオ取ってあるんです。行きましょう。時間ありますよね?」

「はい大丈夫です。行きます。」



 スタジオに着いた。で、スタジオの名前が『リバーサマースタジオ』なんだが…リバーサマーって新しい事務所の名前だよな…まさかこのためにスタジオ建てたのか…??

困惑していると品川さんが声を掛けてきた。

「どうか、しましたか?」

「いえ…キレイなスタジオだなぁと思って。」

「そうですか!ありがとうございます!昨日出来上がったばかりなんですよ!!」

「出来上がった…?」

「あ、はいこのために急ピッチで建てたんですよ。」

(本当にそうだった!!!!なんだこの人!?!?)

「それじゃあ早速歌ってもらっても?」

「はい!」


〜♪♪


「お疲れ様ですヨッシーさん。やっぱりすごく良いですよ。」

「ありがとうございます。」

「とくにサビのところの『つまみ掴み回すとドア開く鍵だから』ってところ、歌詞と歌声がマッチしてやばい事になってます!CD出しましょう!!!」

「もうCD出せちゃうもんなんですか?」

「僕の兄がレコード会社やってるんです。兄はこの計画に賛成してくれてるので、出そうと思えば来月にはCD出せます。」

「そうなんですか!?」

「はい。なので出すのは決まりとしてそのイベントについて考えましょう。」

「はい!!」

「それじゃ休憩スペースで話ましょう」




「まずCDリリースイベントとしてドームでの単独一曲ライブを考えています。」

「ドームですか!?単独ライブ!?しかも一曲だけで!?」

「はい。」

「そんなの大丈夫なんですか!?」

「えぇ、まずドームは管理会社にコネがある人が重役でいるので使えます。単独なのは他にアイドルがいるとやはりそっちに目が行ってしまう。アイドルはあくまでも女性をターゲットにしているんです。いきなり若いイケメンアイドルとの共演となるといくらなんでも、厳しいかと。」

「なるほど…あ、あと一曲ライブって大丈夫なんですか?」

「大いに可能です。まずヨッシーさんの『つまみ』の試聴をできるようにします。あの曲は20秒聴くだけでも良さが伝わります。そして聴いた人は、あの歌声を生で聴きたい!!となります。そうすれば満員御礼は楽勝です。」

「お客さんは満足してくれるんですかね?」

「もちろんです。あの歌声は4分も聞けば十分です。一曲でもみなさん満足して帰るでしょうね。」

「それなら…ドーム公演やりたいです。やらせてください!」

「分かりました。ではドーム来月に押さえます。そして明後日までには試聴音声を上げたいので、今から正式な録音を行いましょう。」




☆☆☆☆☆☆☆ 




『この歌声ヤバみが強い』

『マジ卍なんだけど!ヨッシーぴマジ卍!』

『かっこよすぎるんだけど!マジかわヤバ』

 僕はエゴサーチをしていた。

ヨッシーの試聴音声を昨日上げたので、その反応をチェックしているのだ。

「やはり反応はいいな」 

思っていた通りの反応を取ることができた。

もうドーム公演は成功したようなものだろう。

「楽しみだ。」





────今日はヨッシーのドーム公演当日だ。

チケットは発売して5秒で売り切れた。満員確定だ。

もうすでにドーム前は人でごった返している。

「ヨッシーさん。いまどんな心境ですか?」

「はい…まさかもう、こんな大きな会場でライブができるなんて…本当に感無量です…」

「そうですか笑あと緊張とかってありますか?」

「はい。やっぱりありますよ。こんな大きなところで歌って踊るなんて…」

「でも大丈夫ですよ。このCDは先週リリースして売り上げは400万枚。国民全員が味方だ。」

「そうですね!!がんばります!!」

スタッフがこっちに向かって言う。

「ヨッシーさん!!もうすぐ出番です!!」

「はい!!!!!!!!!」



☆☆☆☆☆☆☆



(もうすぐ俺のライブが始まる。もうすでにドーム内は満員だ。アリーナ、スタンド、人がいっぱいだ。)

デデデデンデデデデン♪

場内に派手な音楽が流れる。

「行ってください」

脇にいるスタッフに言われた。

「ヨッシーススム!行きます!!」


ぎゃああああああああああああああ

一瞬何が起こっているのか分からなかった。

それほど大きな歓声が地鳴りのように鳴り響く。

まずは俺の挨拶から始まる。

「みなさん!!こんばんは!!ヨッシーススムでーす!!!」

ぎゃあああああああああああ

「本当に今日は来てくれてありがとう!」

ぎゃあああああああああああ

(しかし本当に女性ばかりだな。緊張するぜ!)

「オレのデビューライブ!!楽しんで行ってくれよな!!!!」

ぎゃああああああああ

場内に『つまみ』が流れ出す。

異様な雰囲気だった。さっきまで響いていた割れんばかりの歓声が一気に静まったのだ。 



♪…  

……♪ 


ぎゃああああああああああああああ

先ほどの歓声が帰ってきた。

「みんな!!どうだったかな!」

「よかったよ〜」「かっこいい〜」「ボックスステップすごかった〜」

(皆満足してくれてる…)

「みんな!!ホントにありがとうね!すごく楽しかった!!またライブやると思うからまた来てね!!!」

ぎゃあああああああああああ

「じゃあ、またね★」

ぎゃあああああああああああああああああ




☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「お疲れ様でした。すごいライブでしたね。僕が思ってた以上です。」

「いえいえ…これは本当に品川さんのおかげです。本当になんと言ったらいいか…」

「そんな事言わないでくださいよ。まだまだヨッシーのアイドル生活は続いていくんです。上だけを見ましょう。」

「そうですね!!これからも!!よろしくお願いします!!!」



こうして僕とヨッシーは日本にアイドルの『革命』を起こした。


その後もヨッシーは怒濤の活躍を見せ、アイドル界のトップに立った。




☆☆☆☆☆☆☆




 この間出した新曲、『輝くダンディズム』が遂に5000万枚の大台を突破したらしい。

『輝くダンディズム』は俺が作詞作曲をした曲だ。前に見た夢にあったから、いつか歌いたいと思っていた。



そして…今日は念願のエムスタに出れる日だ。

実は俺がテレビ番組で歌うのは初めてだ。

今までは品川さんの意向でテレビ番組には出ていなかった。

「あの時見た夢がついに正夢になるんだ…」


『ヨッシーさん!!リハーサルお願いします!!』

「はい!」

番組の流れを一通りリハした。

「リハどうでしたか?」

林田さんが俺に聞いてきてくれた。

「あ、林田さん。はい、なかなかいい感じで行けたと思います。」

「そうですか!!本番も頑張ってね!」

「ありがとうございます。」


─────そして本番…

「それでは、登場していただきましょう!先日発売したニューシングルの売り上げが5000万枚を突破した!ヨッシーススムさんです!!」

パチパチパチパチ

「どーもーヨッシーススムでーす!!」

ぎゃあああああああああ

「まず、ヨッシーさん!5000万枚売上!おめでとうございます!!!」 

「ありがとうございます!ホントに!」

「デビューして1年で、CDの総合売上は1億枚!すごいですね!ファンクラブの会員数も同じく1億人!日本には1億2000万人くらいしか人がいないのにすごいですね!」

「いえいえ…もう…ホントに…嬉しい限りです…。」

「それにすごいよねぇ?43でアイドル目指し始めたんでしょ?」

「はい。そうなんです。ジョリーこと田沢剣次に憧れていて。」

「それが今じゃ世界一のアイドル、アーティストだもんねぇ。人間何歳からでも挑戦チャレンジできるんだね!!」

「はい!はい!本当に!」

「それじゃそろそろ歌ってもらっていいかな!?」

「いいとも!!」

「それ違う番組だね。うん。」

「アハハ!ごめんなさい!」


それでは、ヨッシーススムで『輝くダンディズム』です!    完

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