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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【42話】 森の家屋奪還戦

 リリア、クルネ、ジギンの3人は家屋が良く見える木陰に身を潜めた。


夜明けから3人交代で正午まで家屋を見張ったが結局占有者は姿を見せなかった。

得たいが知れない不気味さがある。

3人昼食をとってミーティングを行う。

作戦は前日と同じ、敷地内に入って攻撃があり次第、掃討開始。それと占有者は可能な限り確保したいが、抵抗が激しい場合は最大限に武力行使、山中に逃走の場合、深追いはせず施設の所有回復が最優先となった。


犯罪者かどうかわからないが、人と対峙するのは魔物と違うプレッシャーがある。リリアはペンダントに手をかけ祈る。

“父さん、武器を手にするリリアに勇気を。母さん武器を手にするリリアにお許しを。あたし達に神のご加護を”

弓と矢を手に準備は整った。お互いに準備OKのサインを出し合う。

ジギンが素早くゲートに近づいて、トラップが無いか確認して慎重にゲートを開ける。

ジギンが用心深く敷地の中に入ると、リリアも続けてゲート側で待機。ここからリリアはジギンをバックアップ。クルネは木陰の一望できる場所からリリア達が不意打ちされないようにサポートする。作戦通り。

敷地に入ったジギンを認め死霊の騎士が3体程近づいて来た。ジギンが盾を構え、リリアは最接近の一体を柵越しに弓で狙う。こちらから先制攻撃は出来ないが、ジギンは初撃を盾で受けさえすれば、大義名分が立つ、難しくはない。

死霊の騎士がジギンに近づくと

「ガキン!」死霊はジギンの盾ごと躊躇なく攻撃をしてきた。

“よし、掃討作戦開始!”

ジギンはそのまま一体目と戦闘開始、弓では誤射する可能性ある。リリアは二体目を射る。

一矢、二矢、リリアは素早く鎧を避けて打ち込むが、体力があるのか動きが落ちない。死霊の騎士硬い!

焦ってはいけない、喉元に三矢目、まだ止まらない。ここで一体目を倒したジギンが二体目を一刀で倒す。

「お前の矢は役に立ってるのか!」ジギンが怒鳴りながら三体目と戦闘を始めた。

「わかんないけど全部射抜いてるわよ」リリアは誤射を避けて四体目の死霊を狙える角度を探して柵越しに移動しながら言い返す。

「役に立たないなら剣に変えろ」ジギンが一合、二合と打ち合わせながら叫ぶ。

「ダメージは与えてる。弓よ弓」リリアも叫びながら、4体目に次々と矢を射て一体倒す。どうやら四射程度必要らしい。その間にクルネが五体目をあっという間に倒した。

あの距離、あの角度から狙いが正確。

「エルフはアンデット系に強いスキルを持っているのよ」クルネが言いながら六体目を一矢で倒す。

弓では負けてないリリアだが、スキルがない… 残念。



ジギンとリリアが家屋の扉の両側に立つ。厩と近くの倉庫に占有者がいる可能性は低いとして、この家屋ともう一戸、あるいは両方に何者かが居る可能性が高い。とりあえず一番大きく使われていそうな家屋の戸口に立つ。リリアは弓から短剣に武器を持ち換え。騒ぎの声は家屋内にも聞こえているはず、まともな相手なら出てきても良さそうだが、誰も出てこない。死霊を倒した今、森の中はひっそりとしていてかえって不気味だ。

扉を開けた後、ジギンを先頭にリリアと二人で部屋を検め、クルネは他から人が出てこないか見張る手筈。

中にどんな奴がいるのか、何人いるのかわからない… 恐怖だ… 手が震える。

ジギンが“スタンバイ”のサイン。リリアも… 気持ち的には全然スタンバイではないが…

とにかく“スタンバイ”。クルネを見るとクルネから“突入GO”サイン。

ジギンがノブに手をかけて扉をゆっくり引く。

扉が少し開いた、どうやら施錠もトラップもないらしい…

と、思った瞬間…

「ボン!」っと大きな音を立てて、扉が一気に開き、辺りが真っ白になった。

「スモークだ、目くらましだ!」ジギンが言うか言わないか、次の瞬間

「バリバリバリ」っとライトニング系を撃たれた。

ジギンの鎧、リリアの剣に落雷、二人共短い悲鳴を上げて倒れる。

続いて間髪入れず二撃目、三撃目とリリア達に落雷。

「ぐ… ぅぐふぅ…」リリアは失神しそうだ。辺りはスモークで真っ白、何が起きてるの?

「ジギン、リリア、大丈夫! 立たないで!突入しないで!」クルネを叫びながら、戸口内に目くら撃ちしているらしい。

「ボン!ボン!」また大きな音が響き、スモークがさく裂。それと同時に何かが唸り声を上げながらリリア達に襲い掛かってきた。

「ジギン、クルネ、何か… 出て来た… 犬? ケルベロス… 数体」

「こっちもだ!ケルベロスだ!」

リリアは必死に剣を振るい、手足をばたつかせる。とにかく動きを止めたら噛みつかれそうだ。

「リリア、ジギン、建物の周りスモークだからけよ! 全然見えない!」クルネが呼ぶがそれどころではない、どこから襲って来るか分からないケルベロス相手にもがき続けるリリア達。こんな戦い方、賊はやってこない。



「どうやら、どこも誰もいなかったようだな、スモークに紛れて窓からでも逃げたんだろう」ジギンが剣を収めながら言う。

ケルベロスを倒した後は嘘のように相手の抵抗がなくなった。落ち着いてから中を調べたが、何者かが住んでいた形跡があるだけで誰もいなかった。他の建物も調べたが異常はなかった。

「恐らく、ルーンマスターか精霊使い等の部類が建物を使っていたのでしょう。スモークと同時に窓を割って逃げたと思われますね」クルネの意見、たぶんその通り。

「あんな戦い方あるのね、賊とはちがう… ねぇ、逃げた奴は戻って来ないの?」やれやれと言った感じのリリア。

「それは何とも… しかし、人目をさけている連中なので、わざわざ人前に戻って来る可能性は低いでしょう」クルネが答える。


「後は全部掃除して、生徒達が来る前に、全部修復だ。今度は大工仕事だぜ」

「ドアの修理、雨漏りの補修、倉庫にあるガラスの予備を窓にはめるんでしょ? 冒険者ギルドの人間って本当になんでもやるのね」リリアがため息をつく。

「三年もしたら、孤島で一人、生活できるようになるな」ジギンが笑う。

「さあ、リリアと私で掃除から始めましょう。ジギンは修繕から。人手が足りない時はいってくださいね」クルネ。


「お腹空いちゃった、先にお茶しない?」リリアが笑う。

「…そうだな じゃ、俺がこだわりコーヒー煎れてやるぜ」

「わぁ、気が利く男性最高!」リリアとクルネ。


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