【29.5話】 リリアと雷系
「……………」
上半身は装備が肌けて… 口にタオルが詰めてある… タオルを吐き出す…
「……あれぇ? ……皆さんおそろいで…」リリアは草の上で体を起こして挨拶した。
体が痛い、耳鳴りがジンジン酷い…
「よかったぁ! リリア、もうだめかと思った」
リリアが見渡すと、コトロ、ニャン、ピョンと…
誰だっけ?…
あぁ、そうか、今度ストーンヘンジに行く冒険パーティーを組む治癒術士のアリス、火炎系魔法使いのペコ、雷系魔法使いのライムか…
皆、リリアの顔を覗き込んでほっとしているようだ…
「………なんだっけ… 皆おそろいで… あたし何で芝生で寝てるんだっけ…」
「リリア、しっかりしなさいよ」コトロが説明を始めた。
どうやら、今日はパーティーメンバーと初顔合わせの日で、城外のここで、お互い戦闘スキルを披露しあって、相性の確認とともにこれから空いた時間に戦闘の連携プレイの練習とその他、リリアには冒険に必要最低限の技術を教えることになったらしい。
前衛役を見つけられないらしく、リリアは戦闘になったら、遠距離の弓、接近戦になってからは前衛か近接攻撃係りになってもらう可能性があるという事で弓と剣技を披露していたのだ。
予算の都合上、ペコかライム、相性の良さそうな方と組むらしい。
“…… なんか… だんだん思い出してきた… そうよ、そうライムよ、ライム”
ライムは雷族の娘で雷系魔法使い。頭に二本角が生えていて、凄い露出度の高い虎ビキニだ。
これで町中歩くのはすごい勇気がいる。ある意味リリアなんかよりよっぽど勇者だ。
気が強そうだけどかなり可愛い。シャキシャキした感じでリリアと相性が良さそうだけど、大喧嘩にもなりそう。
「ウチは~」「ダーリン~」「~だっちゃ」を連発して話す。語尾が「~だっちゃ」は可愛いわね、「~ニャン」「~ピョン」に匹敵する。
「ピルルルルルルル」と軽快な音をだして空も飛べる。便利、うらやましい。
「あ!ラムちゃん?」って名前を間違えたら、皆に睨まれた。ごめんなさい、もう間違えません。
リリアがコトロ、ニャン、ピョンを相手に剣技を見せた後、ライムの魔法披露となったのだ。
「ウチはあの木にライトニング・ストライクだっちゃ」と木を差すので、リリアは剣を片手にライムの側に立った。
「ダーリン、許さないっちゃ!」とライムが唱えた直後、リリアは衝撃を感じて記憶が飛んでいる…
ライムの側に立っていたリリアの剣にライトニングが直撃したらしい。
全然覚えていないが、言われるとそんな気がする。
リリアが無事で安心したせいか、皆大笑いしている。笑いごとか!!
「だって、普通目標に落ちると思うでしょ」とリリアが言うと、
「近くに金属があったらそっちでしょ」と笑い転げている。なんか腹が立つ。
ガウもそうだったけど、冒険者系の人達は命が助かれば後はどうでも良い感がある。
「あんな近くで落雷したの初めて見た」と爆笑中。
落雷した時に「ふぎゅ!」っとか妙な声を出してひっくり返ったらしいのだが、その「ふぎゅ!」を真似して大笑いしている。お前らバカにし過ぎだ、そもそもこっちは素人なんだ、ちゃんと教えとけ。
しかも、聞いているとリリアは一時期心肺停止状態だったというのだ。
リリアの胸に鉄を押し当てて、ライムが電流で蘇生したらしいのだが、何回か電流を流す度に、リリアが魚のように跳ね回ったと爆笑している。
「いい加減にしてよ、死にかけてんでしょ!!」さすがにリリアも腹を立てる。
「ライム!あんたが笑うのはおかしいでしょ!!」リリアは怒鳴るが、
「ごめんだっちゃ、でもウチは命の恩人でもあるっちゃ」
全然誠意が伝わってこない、この場にいる全員一発いっぱつリリアの右ストレートを見舞ってやりたいが、まだ全身が痛い。
腹が立ちすぎて呆れて来た。
「もう、あたし寝てるから落ち着いたら起こしてよ」リリアは再び芝の上に転がった。
「今日はもう終わりよリリア。治癒して帰りましょう。鶏料理を皆に振舞うからお店に戻りましょう」コトロはまだクスクス笑っている。
「そんなんで、この恨み、誤魔化されないよ」リリアは言う。
「リリたん、生きているなら全て良しニャン」
「極限過ぎるとなると人間笑うピョン」
「知らないよそんなの…」
見上げると大きな雲が浮かんでいた。




