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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【29話】 殺戮の道中

リリアとパーティーメンバー二人は馬車で移動していた。

大きい馬車ではないがキャンプ道具や食料、予備品等が積まれている。馬車手はヒーラー役、プリースト中級者の女性アリス。護衛席に遠距離サポートと前衛約を兼ねるリリア。車掌がリーダーで中級の火炎系とエンチャント魔法が使える女性ペコ。コトロのセットアップで事前に顔合わせして、出発前のミーティングを繰り返した仲間。

コトロとしては前衛役を入れたかったらしいが、攻撃役ならまだしも、世の中前衛不足で都合がつかなかったそうだ。誰だって痛い思いはしたくない。



「あぁ… さっきのはこれね」アリスが言う。

少し前、リリア達の着けている魔法のイヤリングから雑音混じりの通信が入ってきていた。

距離が遠く、雑音だらけだったが、荷馬車が襲われているらしい事だけは理解できた。

どこかのギルドパーティーがいたのだろうか、通信からはだいぶ苦戦している様子。

乱戦の中、仲間に指示し合う声がしばらく途切れ途切れ聞こえていたが、そのうちぷっつり途絶えた。良い展開は期待できない様だった、気が滅入る。


ちょっと先に馬車がひっくり返り馬の死骸が横たわって、殺戮と略奪の跡がある。

「アリスは馬車を停めてここで待機。リリアと私で生存者確認よ」ペコとリリアで馬車を下りて現場に近づく。

「私が確認するから、リリアは周囲を警戒」

弓と矢を手にリリアは周囲を警戒する。イヤリングから聞こえてきていた悲痛な会話が想像できない程周りは静かだ。

馬車に近づくと酷い惨状だ。何人か血だまりの中で人が倒れている。リリアは確認するが、やはりだめだ、絶命している。この護衛、容赦無く数ヶ所切られている。数人がかりで襲われた証拠、多分腕の立つ護衛だったのだろう。

「リリア、どう?」声をかけるペコを振り返り、リリアは頭を小さく振る。ダメの合図。

襲った方、襲われた方で何人倒れているだろうか、数える気もならない。

「リリア、顔が真っ青よ、今感傷的になってる場合じゃないのよ、ここは任せて警戒をつづけて」リリアは黙って頷く。口を開いた途端胃がひっくり返りそう。手足が震える。


「待ち伏せるならこっちの林の方よね…」リリアはそのまま馬車を過ぎて右手の林まで歩み寄る。

警戒しながら、木の側に来て林の中の様子を窺う。

「……………気配… 声?… 人?…」気配がするのは間違いないようだ。リリアは自分の気配を殺しながら慎重に声のする方に近づく。

季節は秋口だ。落ち葉が増えて来た、慎重に気配に接近する。だんだん声が大きくなってくる。

「……争っているのかしら?…… いや… 笑い声?…」

ペコからの通信が入る。

「リリアどこなの?見る範囲にいなとだめじゃない」

「右手の林の中、人がいる…」通信を返しながら進むリリア。

「リリア、一度もどりなさい」と告げられた時だった、

「ぁ…」リリアの悲痛な声。女性が大勢の男性に暴行を受けている。一番許せない行為だ。

「リリア、リリア、聞こえているんでしょ。戻って、戻って」

「女の人が… 賊に… 暴行されていて…」木陰からリリアは窺う。

「………… 相手の人数は」

「5… 6人」

「多すぎでしょ、一度戻って」

「戻るって見捨てるの?」思わずちょっと声が大きくなるリリア。

「馬鹿な事言わないでよ、私ら女性冒険者よ、見捨てるわけないでしょ、皆殺しよ。体勢を整えるから今は下手に手を出さず戻って来て」

「リリア、気持ちはわかるけど戻って来て、リリア一人で暴れこんでも、その人にまで迷惑かかるわ」アリスの声だ。


悔しいが、全く二人の言うとおりかも知れない。リリアがどんなにイメージしても、リリアの弓で倒せるのは二人まで、後は乱戦になるだろう、勝ち目はない。

「あたし、この場に残って皆が来るのを待つのは?」リリアは出来るだけ離れたくない。

「私たちで探し回るのと、あなたが案内するのどっちが早いのよ!」いちいちもっともだ。


「ごめんね、すぐ戻るから、耐えてね」そう呟きリリアは一度林の外へ向かった。

林の中は人の声が響いていた。


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