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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【21話】 リリアいきます

※※お知らせ リリアの立ち絵カラー画が完成しました※※

いつもご愛読ありがとうございます。


立ち絵のカラーが終了しました^^

タイトル入れたイラストは下記です

https://33307.mitemin.net/i477355/


イラストのトップリンクは下記のリンクから

https://mitemin.net/imagemanage/top/icode/474507/


勇者の血を継ぐ者 イラストTopページ

https://33307.mitemin.net/

リリアは砦の一画にあるブルペンと呼ばれるところで、弓の練習をしている。


昨日の夜中、突然何人かの隊長クラスの人がリリアの兵舎幕に来て起こされた。

何事かと思っていると、相手側がリリアの暗殺を企てている情報があるという。

とりあえず砦の建物の一室に匿われた。

“結構和やかな雰囲気のようだったけど、今更そんなにムキになってるのかしら?”ちょっと不思議だが、殺されてもつまらない。急な事だったのでソファーに寝かされたが、兵舎のベッドよりよっぽど寝心地が良かった。ぐっすり寝むれてスッキリ。


昼食後リリアの出番にはまだ少し時間があるということで、今はブルペンで弓のウォームアップ中。

ここは長細い場所で何人かがここで弓術の練習とウォームアップが出来る場所みたいだ。何だかマウンドと呼ばれる白く長細いプレートが埋められた場所から的に向かって弓を射る。距離は大したことないが確かにウォームアップにはなる。

何故かブルペンの鬼コーチを名乗る人から、やれ「きっちりと肩を仕上げとけ」だの「もっと肘を上げろ」だの「右肩が開いてる」だの「相手のデータは頭に入ってるか?」等、色々注文をつけてくる。余計な事至極である。こっち現役なんだ放っておいて欲しい。

大体リリアには国で働く連中の考えが分かってきた。リリアが成功したら「あいつに弓を教えたのは俺だ」と言い始めるのだろう。


建物の外では軍楽隊がマーチを演奏し、地響きの様な歓声が聞こえてくる。すっかりお祭り騒ぎになっていて、ビッグイベントとなっている。

「リリア殿、出番です」

呼ばれて、ブルペンの扉が開かれた…


「わあああぁぁぁぁ!」地響きの様な、胃袋まで震えるような歓声だ。演出なのだろうか?扉を出ると砦門前で、城壁、見張り台、号鐘台、建物、中庭、ありとあらゆるところに兵士達が鈴生りだ。そのど真ん中にリリアは立たされた。

「リーリア!リーリア!」ラッパが吹かれ、太鼓が鳴らされ、盾が打ち鳴らされる。歓声は特にオーガ、オーク族の声が低くてかっこいい。

「わあー!これ皆あたしに注目しているの…」見上げると晴天、そして城壁、窓、至る所に兵士達の顔がある。

歓声とリリアを呼ぶ声が揃ってきたが、気になるのは「娼婦」と呼ぶ声もある。リリアは“弓を持った娼婦”と呼ばれる事が多々ある。“誰の為に戦うと思ってんだ”と腹が立つが、確かにちょっと自由過ぎたかも知れない。反省するべきか。

しばらく「リリア」と「娼婦」が戦っていたが、やがて「娼婦リリア」で声が揃ってきた。お互いに忖度した形とはこういう事だろうか?

「面白がって…」リリアはちょっと呆れるが、次はもうちょっと上手く遊ぼうとちょっと反省。


ひとしきり連呼が終わると、潮が引くように静まりかえった。

「……何の間だろうか?…」砦門が開くのかと思って待ったが、そうではないらしい、皆リリアに注目して静まりかえっている。すると誰か側に来てリリアに耳打ちした。

「リリア様、何かスピーチを…」

「え?あたし待ち?あたし何か言うの?何を言うの?」リリアは聞き返す。

「それは… こういう時は… たいてい、国のために命をかけてどうのとか言うと、わあっと盛り上がって、門がガラガラ開くはずです」

「そういう物なの…」雑なアドバイスだが、これをやらないと先に進まないらしい。しかも皆、なぜここまで国のために命をかけるのが好きなのだろうか?

“私は国の為に死なないっての”リリアは思う。


何を言った物か全然思いつかないが、何か言えば間違いなく盛り上がるはずである。

勢いで適当に乗り切っちゃえ、そう思うとリリアは

「リリア、弓兵、いっきまーーーーーーす!」弓を天に突き上げ笑顔で、腹の底から叫んでみた。

「わああぁぁぁぁぁ!」待ってましたとばかりに場がどっと沸いた。

大歓声と鳴り物が響く中、砦の門が開きだし、門から入る光がリリアまで届く。

「娼婦リリア」歓声は合唱に変わっている。内容はともかく爽快感爆発。

開き切った門からリリアが歩み出る、太陽が、見下ろす浜辺が眩しい、失敗するなんて想像もしない。リリアが姿を現すと相手の砦からも大歓声があがった。どちらもお祭り騒ぎだ。



リリアが浜辺に向かって崖を下り始めると、砦ではリリアコールから“我が祖国ルーダリア”の大合唱に変わった。

リズムが良く、単純な歌詞の繰り返しで覚えやすく、決戦前夜によく兵士達が合唱するやつだ。


“この身が滅ぶ時が来ても、祖国ルーダリアに滅びは来ない、今こそ命を捧げよ、ルーダリアは永久に”

大合唱だ、雰囲気は最高潮!

「だから、あたしは捧げる気はないっての… 捧げたい人がかってにやりゃぁいいのよ…」

呟きながらリリアは崖の階段を浜辺に下りて行った。


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