【2.5話】 伝説の勇者
歴601年に魔王を討伐し世界に平和をもたらしたとされる伝説の勇者。名前は土地によりエジン、エディン、イジン等発音や表記が違う。現在は歴701年ちょうど100年経つ。
国や地方によって違うが、伝説の勇者といえばたいていこのエジンのことを指す。
大衆にも良く知られる伝説で、史実に近い書から、脚色満点の冒険物語まで幅広く扱われ、大衆劇になれば、満員大入りになるロングセラー。
史実に忠実とされる“伝勇記録”によれば、本名をビクトルといい、ウェスタイナ地方のアシュタナ村の出生。剣術に長け、破壊魔法、治癒魔法、火、風、精神魔法と広い魔法をかなり高いレベルでこなした記録がある。戦士、賢者、魔法使いの4人で魔王を討伐したとされるが、凱旋帰国時は出迎える群衆に加え、自分も討伐に関わったと称する者が100人以上集まっていたと記録がある。凱旋報告は当時のフリート帝国国王になされ、フリート国王の名で凱旋記念が行われている。世界を救ったとされているが、この時期に魔物と影響力が強くなったのはエル・グランド大陸のエステリア、ノートール、センテリア地方とその東方の海域にある諸島が主でその他の地方では単なる伝承と思っている大衆も多い。
フリート帝国、ダニヤ王国、ノート・ウォール国等大陸に影響のある国が魔物討伐と認めたことから、世界を救ったとされている空気がある。
脚色物語で一番人気の“勇者エジンの大冒険 ~魔王ワルダンと聖なる剣~”では、勇者はアトラスの肉体より生まれ、天命を受けて討伐に向かったとさている。物語では、勇者は飛来するドラゴンに飛び乗り突然乗りこなし、戦士はジャイアントを一瞬で一刀両断にし、賢者は傷ついた万人を一瞬で癒し、魔法使いは一瞬で水牛を中まで火を通して調理できたとされる。この物語の場面にある、憑依された村の娘が、婚約者と勇者一行の前で愛をささやきながら浄化の剣にて自ら胸を貫く場面は大衆劇でも定番な泣き所。
『色々割愛』
エジンは討伐後、フリート王から王国騎士団長と同じ地位をもらいソルディアという高貴な家名を承った。女性賢者マリアと結婚したとされる。三人娘を授かり、男子に恵まれなかったとされるが、冒険時代にエジンの子を授かったと名乗る女性もいて、真相は不明。その後、系譜が広がったとされるが、ソルディア家を名乗れるのはこの三人娘からの家系とされている。が、エジンのギルド時代、冒険者時代に男子を授かったとし、勝手にソルディアを名乗っている者もいるらしい。