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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【153.5話】  クルセイダー・リリア

今回、国王から受けたクエストはドラキュラの退治である。バンパイア退治。

クエスト編成メンバーはパーティーリーダーのリリアを筆頭に…

リリアだけ… あれ?…


リリアと行動を共にしているのはリリア、ブラック、ダカット、ディルとディルの護衛。

正式な書類上は少しややこしいのだ。

リリアは当然クエストを引き受けた本人で実行する係。ブラックは一緒に行動しているが、フリート帝国領出身の冒険者なのでルーダリア国内で冒険者活動が出来る様に申請登録をしているに過ぎず、素性調査を終わらすまでは王国の正式なクエスト活動には登録できない。

ダカットはホウキ。主従関係が成立する、精霊、使い魔類や自立行動の困難な使い魔類はメンバー登録できない。

ディルはリリアのお目付け役。ディルの護衛はディル専門護衛の魔法戦士。この二人は保険と規則の関係で積極的に戦闘に参加できない。この魔法戦士等は王宮が認めるかなりの実力者なのだがディルの身に危険が及ばない限り遠くからリリア達の戦闘を眺めている。


実質、正式なクエスト実行者はリリアだけということになっている。

「王国正式なパーティーは素行と信用問題がありますから、ブラキオーネ殿は… 正式には採用できませんが、勝手についてきて戦闘にいあわせるなら何も問題ありません。ただし色々国の保証の対象外です」ディルが淡々と説明する。

「ね、言ったでしょ、人の命を危険にさらしておいて王国ってあんな考え方なのよ。ブラックどうする?しばらく自由にしていてもいいよ?別な人連れて行っても良いから」リリアが言う。

「保険とか問題無いっす。俺行くっすよ」ブラック。


ビビり勇者リリアとしては大人数で行きたかったが、登録メンバーの都合がつかない事とコトロ関係の仲間は避けてしまったので、今回のメンバーに落ち着いた。

もっとも、登録メンバーほぼ全員がコトロの知り合いだ。リリアとコトロの冒険者活動年数の違いを考えれば当然である。



そして今回、リリア達は徒歩で移動。ディル達は馬車移動。

「えぇ?ブラックは馬車乗れないの?何で?保険の関係で、正式なクエストメンバー以外は乗せられない?…… うぐぐぐ…」

準備段階で散々ディルと大ゲンカしてきた。腹が立つことばっかりだ。ふざけんじゃねぇぞ!っと暴れて回りたい。ドラキュラなんかより退治されるべきはお前らだ!っと踵落としでも食らわしてやりたいが、だんだん争う気も無くなってきたリリア。歯を食いしばってホウキを握りしめる。

「…… リリア… 気持ちはわかるけど… 痛いよ… 折れるよ」ダカットが呟く。

「俺、歩くっすから先輩は馬車に乗ったらいいっすよ」

ブラックは笑っているが、危険な仕事につきあわせて自分だけ馬車に乗っているわけにもいかないではないか。

リリアは国から馬を出してもらい、リリアの自腹でブラックはレンタホースという形に落ち着いた。

「レンタホースっすか?俺は重装備で歩くの慣れているっす。別に歩きでも構わないっすよ… あぁ、確かに速度差はあるっすね。じゃ、俺自分でレンタルするっす」

ブラックはそう言ってくれたが、やはりリリアがレンタルしてあげるべきであろう。

なんだかんだで、騎乗する聖騎士スタイルのリリアとブラック、その後ろにディルが乗る馬車といった一行が出来上がった。見栄えのする女性クルセイダーとなり、ホウキを手に馬上の人となっている。



「先輩、大丈夫っすか?今、治癒するっす」

お化けモモンガ、デビルアントラー、軍隊バラの群れを一掃したリリア達。

「痛い、重装備でも痛い物は痛いね… 出血が… 頑丈だけど慣れないから動けない… いたぁい…」慣れない装備でリリアは怪我をしている。

「本当にあいつら見ているだけなんだな…」ダカットが呆れて呟く。

「ダメよ、あの連中の事を考えたら負けよ。目を合わさないようにして、今夜何を食べるか考えるの。でないと腹が立ちすぎてやってらないよ」リリアが愚痴る。

「… 確かにな… リリアが喧嘩になるのわかるな…」

ディルの馬車は道で停車してリリア達の戦闘を眺めるのみ…


この戦闘の後、道に戻ったリリアはディルとも戦闘になった。

「リリア、レンタル鎧の扱いをもっと丁寧にしてください。大きな傷が残ると保証金の返金額が減ります」しげしげとリリアを眺めてディルが言うのだ。

「てめぇ!黙って働いてやってりゃいい気になりやがってぇぇ!」リリアはぶち切れ。

ディルに危害が加わるので公認魔法戦士がディルの助っ人に入る。大荒れ模様だ!

「先輩!だめっす!やめるっす!」

ブラックが止めに入ってなんとか鎮静化。

「ブラック… もう止めないでリリアにやらせてやろうぜ、ひど過ぎるだろ」ダカットが呟く。



夕方村に到着。

夕暮れの中、クルセイダー姿のリリアとブラックが馬で村に到着。

村人達が振り返る。

栄えている。

夕刻の黄金の光の中、白い重装備に朱のクロスとラインが入った騎士がご到着だ。

停泊中の商人、村人達が馬上のリリアを尊敬の眼差しで見上げているのがわかる。

なんだか… 泣けてくるくらいに嬉しい。勇者になってからルーダリアでは散々小馬鹿にされてきた。勇者になって認められるとはこういうことだろうか…

悔しいのは大衆の尊敬の対象はこの鎧であって中身のリリアでは無いことか…

「正規の騎士様だろうか?」「立派な騎士様が… 何のようだ?」「どなたがこられたのか?」村人の声が聞こえる。

「あの騎士様は何故ホウキを持っているのか?」村人の声が聞こえる。


宿まで進むと村長達が慌てて出迎えを作っていた。リリアには顔馴染みの村長。

「これはこれは、王国の騎士団様、このような村にわざわざ…」

村長が挨拶をする。

「村長、えっへっへ、あたしよ、リリアよ」

リリアは笑って挨拶しかけたが村長は素通りして馬車から出てきたディルの方へ。

まぁ、見かけは普通に馬車に乗った偉い人と高貴な護衛団と言ったところだ、当然そうなる。

「…… なんなのよ…」リリアは不満。


「ブラック、宿をとるわよ」

リリアは厩に馬を押し込むと、愛想笑い、揉み手擦りての村長と、面白くもおかしくもないといった様子で対応しているディルを横目に宿に入っていった。



「騎士様、宿へようこそ… あの… 騎士様がお泊りになられるような部屋は当宿には…」カウンター越しに宿屋の店主が言う。

「二階の部屋ならどこでもいいわよ」リリアが言う。

「お二階でございますか… いやしかし、ここは一般国民が泊まる宿でございまして…」

店主の娘たちは慌て引っ込んでしまった。

騎士団は村の宿に泊まる事は滅多に無い。たまにあるが、美人を見つけると一晩つきあえとかやりたい放題な輩もいる。

「店主、リリアよ!とにかく部屋を二つよ!」リリアはヘルメットを取ると多少声を荒げた。

「…… お?あぁぁ… リリアちゃんか… 見違えたからわかんなかったよ… なんだ、リリアちゃんか…」

「何だリリアかぁ… じゃないの!部屋二つよ!用意してよ!どいつもこいつも!」

宿の受け付けにリリアの怒鳴り声とカウンターを叩く音が響いた。


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