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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【152.5話】 リリアとアングラコンサート ※リリアが意地を張ってルーダの風に戻らない決心する前の話し※

「うぇーい!ぃえぃ!ぃえぃ!」

リリアはノリノリでヘッドバンギング中。

リリアはコトロと彼女のバード仲間数名とアングラバードコンサートに来ている。

無名だが、今密かに巷で大ブーム、人気急上昇中な吟遊詩人バンドのコンサート。



遡ること数日前

「リリア、明日から仕事に出て戻ったら次の予定入っていますか?」コトロに尋ねられた。

「今度の仕事の後の予定はまだ何も決まってないけど… 何かあるの?」リリアが聞き返す。

カウンターに座りなおすリリア。カウンターの裏ではコトロが洗い物をしている。

「戻って来たら少し日程を空けておいて欲しいです。付き合って欲しい場所があるのです」コトロが言う。

「戻ってきた頃?… あぁ、あれね、ちょうどマジカルアイテム・ミネルバの隣にパン屋が出来て、焼き立てパン食べ放題ビュッフェをやるって言ってたね。行くいく!!」リリアがニコニコしている。

「… いや、パン食べ放題は関係ないです… が、そんなのありましたね。それも行きましょう。しかし、一緒に来て欲しいのはある吟遊詩人バンドのコンサートなのですよ」


コトロ曰く

バーディ46という最近密かに流行りだしたバードバンドがあるらしい。

「バーディ46?46人もメンバーが居るの?もう、オーケストラかコーラスのレベルね」リリアが言うと「メンバー5人です」とコトロは答えた。46は何の数値だろうか?リリアは首をかしげる。


とにかく、コトロ曰く

そのバンドだがアングラコンサート、つまりアンダーグラウンドでコンサートを張るグループなのだそうだ。

「アングラ?… あれ、アングラか違うかって良くわからないよね… 正式には会場に人を集める時はルーダ・コートの役所から書類が必要?防災基準?避難プランの確保?動員数に合わせたセキュリティを配置?… 結構大変なのね… 確かに規模を小さく安く収めたいなら無許可でやりたくなるわね」リリアが感心する。

勇者リリアさん、国民の生活を守る身なら法律を勉強しなければなりません…


で、リリアにそのグループのコンサートに一緒に来てくれとコトロが言う。

「違法を取り締まるの?その話でいくとアングラって結構皆やってるみたいじゃない。コトロの友達のバンドだって、あれは無許可になるんじゃないの?」リリアが聞き返す。

「アングラ自体は問題無いのですよ。まぁ、法律上問題はありますが… 全部許可を申請すると無名なグループのイベントがなりたたなくなるのでバード仲間同士、暗黙の了解があるのです。ただ、あのグループはバード仲間同士でもご法度の演奏しているようです」コトロが説明する。


ルーダリア王国では、城壁内、村等の全域と居住区と認められている公共の場で不特定多数の者に精神にバフ、デバフ効果を与える魔法・術・演奏・詠唱は禁止されている。群衆が興奮状態になったり、突然意識を失ったり、催眠にかかると危険だからだ。しかし、吟遊詩人バンドは演奏により精神効果を与えるとこが出来てしまう。興奮からくる快感と満足感はコンサートを盛り上げて人気が出る秘訣。十年くらい前までは結構自由だったようだが、あるコンサートで精神高揚しすぎた客が暴徒化し、騒ぎになったのをきっかけに厳しく規制されるようになった。

「… ふーん… ねぇ、それだって結構皆やってない?皆気が付いてないと思っているかも知れないけど、あたし変だな?って思える時があるよ。それこそコトロだってバーの演奏中にバフかけてる時あるよね。誰も知らなくてもリリアはお見通しよ。コトロ逮捕!… いや、リリアちゃんに逮捕されるのと、今夜爆弾ハンバーグをご馳走するのとどっちか選びなさい!弱みを握ったのよ!」リリアはうっしっしと笑っている。

「全く… 話がいちいちそれますね… それも、ちょっとした程度はバード仲間では暗黙の了解ですよ。どうしても盛り上がっていない時に少しきっかけを作る程度です。お客は興奮状態になるので人気とファンを獲得するには手っ取り早いのですが、限度を超えてしまうとダメなんですよ」コトロが説明する。

「それを確かめて取り締まるのね?… でも、リリア一人じゃ無理だよ。会場を一人で抑えるのなんて無理。公認勇者にも出来る事と出来ない事があるからね」リリア。

「もちろん、出来る事、出来ない事どころか、リリアに出来るとは思っていません。明らかに現行犯なら衛兵を呼びますが、微妙で確証的ではない場合、リリアには何かの時の承認になってもらいたいです。同業者同士もめたくないですからね。肩書負けしてますが、リリアはいちよう国士ですし、関係者以外ですし証人になると思います。まぁ、エア勇者なので、証言もエアにされる可能性はありますが…」

「いいわ、コンサートは好きだし、手伝うわよ。これがコトロの頼みじゃなければ引き受ける前にとりあえずフライパンでひっぱたいてから長考するところだったけど、焼きチーズ爆弾ハンバーグルーダリア風をご馳走してくれる条件で引き受ける。任せなさい!」リリアは承諾した次第。



当日、リリア達は連れ立って街の片隅の小さな貸し切りで行われるバーディ46のコンサートに来た。小さいステージでお客も30人前後といったところ。

演奏が始まってしばらくするとだんだんファンも盛り上がってきた。

コトロとバード仲間が話し合う。

「これ、バフ掛けしてるよね」

「これくらいなら… こんなもんじゃない?」

「いや、結構強力じゃない?」

盛り上がるホールの隅で話し合う。お客もリズムに乗り出す。

「あぁ… これはダメだよね」

「明らかに詠唱効果が強い」

ホールの雰囲気もだんだん異様な興奮になってきている。

「ちょっと、コトロの友達大丈夫?」

コトロ達がリリアを見ると

「うぇーい!ぃえぃ!ぃえぃ!もう最高!」

めっちゃノリノリになっているリリア。

「あぁ、彼女私が今までの人生で出会った中でも比類なき単純さんだから…」コトロが苦笑い。

「仕方ないよね、私達はバード同士でスキルキャンセルが効くし、ハミングスキルの逆位相リズムで効果を抑えられるけど一般人じゃねぇ…」

「一般人?あの子冒険者でしょ?」

「冒険者どころか、ルーダリア王国公認勇者ですよ」

「え?勇者であんなに耐性低いの?」

一同リリアを見る。

「バーディ!バーディ!B・I・R・D・Y・46!」リリアは熱狂している。

「ガチファンより凄くない?」全員ちょっと引いている…

「デバフ追加しますけど… あれだけノリ始めたら効果は期待できませんね」コトロ。



いよいよ会場は熱狂的になってきた。大興奮!大騒ぎ!

「これはもうアウトだね」

「私も少しバフがかかってきたよ」

「危ない!退避して衛兵に通報だよ」

「同業者として心苦しいですが… 仕方ないです」

「やりすぎ、やりすぎ、毎回これじゃ群衆操作されちゃうレベル」

コトロ達は会場を出て衛兵に通報する事を決定。

この状態なら恐らくこのグループは罰金と活動停止命令、最悪バードギルドから永久BANされるだろう。

「リリア!行きますよ!会場を出て通報にいきますよ… あれ?リリア?」

コトロが連れ出そうとしたが、今まで隣でノリノリだったリリアが消えている。


「わおぉ!ぃえーい!バーディ46最高!バーディ!バーディ!」

見るとリリアは人並みに持ち上げられ、サーフィン状態でスーパー特盛中…


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