【10話】 リリアと弓技
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小高い丘に国境の監視所が建っている。至る所に焼かれた痕と修復の後があり、武骨な形をしているが、リリアが見上げるととても頼もしそうにも、悲しそうにも見えた。
馬車に座ったまま監視所を突き抜けてボットフォート側に続く道をみると、窪んだ土地になっていて、一筋の川が流れている。その向こう、結構距離があるが、また、丘があって、ボットフォートの国境監視所が見えた。なんでもこの監視所の間は緩衝地帯となっているそうだ。
この距離がお互いの親交の距離だとしたら、絶望的に遠い気がした。
リリアが振り向くと、通ってきた国境の野営が見えた。野営と道の側には即席の教会?教壇?があり、いくつか棺が並べられていた。棺には王家の家紋のバナーが添えてあった。家族の下に送られるのだろうが、迎える側はあれで納得がいくのだろうか?リリアには不思議でならない。
眺めていると馬車主と兵士が馬車に戻ってきた。国境を超えるのに問題無いそうだ。
兵士は馬車に座るリリアを見ると
「お前、魔法を使うのか?」声をかけてきた。
「使わないわ」リリアは答える。
「国に登録している魔法使いは国境を勝手に超えられない」まじまじとリリアを見る兵士。
「…」登録してない物は証明しようがない。リリアは黙っている。
「ハンターか… いやに髪が長いな… まぁ、いい… 気を付けていくことだ」そう言うと持ち場に戻って行った。
「さぁ、お前さんの出番だ」緩衝地帯に馬車を乗り入れながら男が言う。
後ろでは音をたてて門が閉まっていく。
「あれ?やっぱりゾンビ?」さっきから気になっていたがゾンビ、スケルトンや動く鎧が動き回っている。
「あぁ、近づくと寄って来る。死んでまで働くこたぁないだろ。楽にしてやれ」
「… 馬車で一気に駆け抜けたら? 踏みつぶせるでしょ」リリアは言う。
「俺は馬と女には優しいんだ」リリアの顔をチラって見ながら男は続けた。
「俺たちも準備はある。が、せっかく金払ったんだからあんたがやるんだよ」
「… いいわ、じゃ、あたしが馬車を停めてといったら停めて、進んでと言ったら進んで」リリアは弦をキュっと絞りながら言った。
「俺が危ないと思ったら国境まで走るから、それまでやれよ。1体1Gだ」
「それ、本当? 誓えるの?」リリアがちょっと大きな声を出す。
「ハナっからやる気見せろよ」男は言いながら馬車を進めていった。
馬車は緩衝地帯の中ほどまで来ている。先ほどから発停を繰り返しながら進んでいる。
停車すると、リリアが席に立ち弓を引く姿が見えた。男は感心している。ゾンビ等は頭以外にダメージを負っても、物ともせず襲ってくるのだが、リリアはかなりの距離から正確にヘッドショットを決められる。スケルトンも引き付けながら頭だけ撃ち落とすのだ。
かなり効率が良い。
「ビュン」弓が音を立てると、矢が一直線に飛び、ゾンビの額を打ち抜いた。ゾンビがドっと崩れ落ちる。
「今、12Gでしょ?」リリアが言う。
「ああ、12だ。」男は酒を片手に楽しんでいるようだ。
「あの橋を渡って停めてよ」リリアは弦を調べながら言う。
「へいよ!」男は答えると馬車を進め始める。
橋を渡った。ボットフォートの国境まで後すこし。
「小さな橋ね」リリアは戦場にしては不思議といった風だ。
「…大型の兵器は通れんだろうな」男がボソボソと答える。
「ここでいいわ、馬車停めておいてよ」っと言うと、リリアは弓と矢筒を担いで馬車から飛び降りる。男が驚いて聞く。
「おい、どこへ行く! 宿屋はそっちにないぜ!」
「もう、矢があんまり残ってないのよ」そう言うと、リリアは地面の矢を拾いながら、馬車の周囲にいるゾンビ達を倒し始めていた。
馬車はボットフォード側に入っていた。
「お嬢ちゃん、面白もの見せてもらったぜ」兵士達が見張りの上からリリアに声をかける。緩衝地帯でリリアがゾンビ退治するのを見ていたのだろう。中には拍手する者もいる。
「いくらになった?」得意顔で聞くリリア。
「35、護衛代と合わせて45だ」
「あれ、続けていたらまだいけたのよ」リリアは笑って言う。
「…だろうな。悪いがこっちも余裕がないんだ」
リリアは水筒の水を飲みながら言う。
「じゃ、ちょっと貸しね」
「あぁ、次は1人前の値段は出すぜ」男は続ける。
「お嬢ちゃん、後ろ」指差す先を見て、リリアは声を上げる。
「あれ!矢の予備積んであるじゃない!」
「お前言う前に馬車から下りてたろ! それはお前にやるぜ」
「じゃ、いただくわ、ありがとう」ちょっと間をおくと得意そうに笑ってリリアは言った。
「あたし馬車に乗っても、男に乗っても稼げそうでしょ」
「俺が乗せてもらいてぃ」そう言うと男は大笑いしだした。
辺りは相変わらず荒涼として、薄暗かったが、前方に町が見えてきていた。




