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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【59.5話】 早朝の事件

「うわぁ… これは酷い…」リリアはため息交じりに呟いた。

オフェリアも部屋から出て来て、言葉を失っている。

日も登ろうかという時間帯だが、あいにくの曇り模様で辺りは薄暗い。


昨日は住み込み場等、施設周辺のバフダン岩とストーンゴーレムを掃除して拠点を確保したリリア達の隊。

2メートル近い柵に囲われて、作業場、厩、倉庫、住み込みの建物がある。

無理すればテント等も並べて100人程度は住み込める規模はある。料理場、お風呂場、賑わったらちょっとした村と言っても良い。

魔物を追い払い、掃除隊は宿泊した。



明け方、リリアがベッドでうとうとしていると、かすかだが外の調理場の方から音がしだした。

“当番が朝ご飯作り始めたかな?もうそんな時間か…”

腕に筋肉痛を感じながらリリアはもうひと眠りと思った時だった。

「ばっしゃーーーーーん」と岩の弾ける音が響いてきて、外で大騒ぎする声が聞こえてきた。

“大変、何かあったな。音からするとバフダン岩が破裂したかな?”

リリアも含め、音を聞いた者はバラバラとベッドを起き出した。



調理場を見に行ったリリアも他のシェリフ、冒険者達も言葉を失った。

バフダン岩がどこかに潜んでいたのか、柵を超えて入って来たのを気がつかなかったのか。うす暗い中で気がつかずうっかり近づいて爆発を受けたのであろう。

岩の爆発を受けて人が四散してしまっている。

凄惨な現場、地獄絵図とはこの事であろう。

誰か分からないが、下半身の一部が残っていると思ったら、巻き込まれたのは二名いて一人は跡形もなく飛び散っているらしい。

「全員装備を整えてくるように」

「まだ、どこかに潜んでいるかも知れないぞ、気を付けろ」

「全員点呼するぞ、準備出来たものから並べ」


犠牲者はどうやら自警団の二名とやはり自警団の者二名が軽傷。

施設内にバフダン岩がいないのは確認できたが、後片付けが大変。

朝ご飯をきっちり食べる派のリリアもすっかり朝ご飯どころではない。吐きながら掃除。

リリアだけではない。全員意気消沈して明らかに動揺している。重傷、軽傷色々あるが、重装備しているだけに死亡事故は滅多になかった上にこんな事故は初めてだという。


リーダーの決定でここ数日は作業中止となった。

シェリフと自警団は村に戻って教会で葬儀をするのである。

この施設にも人を残しておかないといけないため、シェリフ一人とリリア達雇われ組、シャーマン達が残る。

どちらの棺も空に近い状態で葬儀をすることを思うとやるせない。



その夜、火を焚き、祭壇を供え、シャーマンが二人への祈祷を捧げた。

鎮魂士では無いので魂を生前の姿で呼び出せないが、浄化する事は可能だ。あまりに突然過ぎて、肉体を失った事を理解できてない魂を教会に導いてあげたのだ。

リリア達が見守る中祈祷により、少しオレンジがかった光の玉が宙に現れた。

祈祷が続く中、光の玉はしばらく漂っているようだった。

居残りのシェリフが泣きながら光に無念を伝えていた。

説得と言うのだろうか?納得してもらえるのにしばらくかかったが、やがて光は小さくなって消えていった。

「これで彷徨う魂やソールイーター等にはならないでしょう」

シャーマンおばばの祈祷が終わると従者が語った。


リリアは小雨が降り始めた中、炎ばかり見つめながらその声を聞いていた。


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