タオルがペラペラは許せない〜シン視点〜
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うう。月一ペースの更新になってしまっている。申し訳ないです。
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大きな瞳が期待に満ちてキラキラと輝いてこちらを見上げている。
ちょ!か、かわ!
うちの嫁可愛くないですか!?
抱きしめてブンブン振り回さなかった俺偉い。
頑張った。
最近はずっと部屋にこもってお互い生産ばかりしていたから食事とお茶休憩ぐらいしか顔を合わせていなかったし、制作の進行状況だとかのすり合わせばかりでろくな話もしていなかったから、こんな目を向けられたのは卵をプレゼントしたとき以来かもしれない。
さすがに後見人たちの前でそんな奇行に走るのは憚られたのでたえたものの、今日の夜は大丈夫か、俺。
しかし、どうやら緩んだ頬はそのままだったようでロサ以外の人々からニヤニヤされている。
どうやってもごまかしでしかないが、軽く咳払いをして頷けば、喜びが全身から溢れているロサの体が楽しそうに弾んでいる。
たった数日、されど数日。
ここ3日で忙しさ半端じゃない。
と、いうのも先日の登録会で出したサス入りの馬車への使用権申請と制作依頼がすごい。
使用権申請だけならサインだけですむからなんてことはないのだが、問題は馬車の制作依頼。
もともと家紋いりの馬車はあったが、今回の登録会でロサの発表したバネやらコイルに生地に刺繡と俺たち夫婦(もう夫婦と言い張る)が共同制作した馬車はかなり出来が良かった。
もともとあちらの世界でデザイン系の仕事をしていたロサのセンスが遺憾なく発揮された上品で洗練されていたし、先日デモンストレーションよろしく後見家へ献上した馬車はそれに加えて年頃の令嬢が使用するための愛らしさもあったデザインは登録会前から注目を集めていたらしい。
その上馬車の持ち主に問い合わせれば制作先はまだ開かせないとの一点張りだったことも作用し、今回の登録会は貴族から技術者まで色めき立っていたらしい。
そりゃ会場があんだけ騒ぐはずだ。
そんなわけで今話題の最新馬車を手にしたい!という貴族様からの依頼がすごいのだ。
センスばかりは売れるものではないから。デザインは取引できるだろうけど。
事前にロサと話をした結果、ツキミタンポポとバロメッツの生地はロサ本人の制作物か、白山羊の糸紬に卸したまっさらの生地(それも少量)、もしくは白山羊の糸紬の主人の嫁と孫がしている工房で作る下着以外は流通させないと決めていた。
なわけで、実質ツキミタンポポ生地使用の馬車はうちでしか入手できないからまぁ大変。
今のところ3年先まで予約びっしりだ。
なんせ馬車なんて大物一朝一夕に作れるものではないのだから。そのあたりは相手も承知のうえだ。
スケジュール管理しつつのんびりやろう。
今の優先はロサである。
転生前の日本で25で結婚して97まで連れ添った彼女とはこの世界でもまた一緒だ。
死に間際に『生まれ変わったらもう一度共に』と交わした約束とともに、それまでたくさん苦労させたから次は絶対彼女を優先に生きると決めていた。
だから今の人生は彼女優先だ。
おまけに登録会で注目を集めた彼女を虎視眈々と狙う狼どもの存在を俺は知っている。
渡さん。ロサは俺の嫁!(了承とってないけど)
そんなわけで、馬車の制作や使用許可、ロサの制作物に対する依頼と使用許可と素材の卸し管理、羊牧場の管理と従業員の確保。おまけに今披露したタオルに対する登録なども必要だろう。
やることは山積だ。
できるだけ早くロサの希望をかなえてあげられるように、できればその喜びから何かしらのご褒美がないかなぁなんて思ってなんかいない。
いないぞ。たぶん。
ご覧いただきありがとうございます。
どう見たって情報整理(作者のために)回でした。申し訳ないです。
回収がちゃんとできるようにしたいのですがなかなか間に合わないこの悲しさよ……。
なんにせよ100話目指して頑張ります!