貴族に今、会いに行きます〜シン視点〜
お越しいただきありがとうございます。
なかなか更新できず誠に申し訳ないです。
大風呂敷回収作業が進まない進まないww
もっと精進します。
ちょっと不機嫌になったロサを宥めて、なんとか後見貴族のクリスに会いにいくことになった。
ロサは明け方まで手土産くらいないと格好がつかないって自分の服装そっちのけで頑張っていたようなんだけど、空が白んで気温が下がった頃にそれに気がついたものの寝不足の頭ではあまりいい考えが出なかったのか……。
「もういい。知らん寝る。」
とつぶやいて当たり前のように俺の隣に潜ってきて「あったかぁい」とつぶやくもんだから思わず頭を撫でて抱き寄せちゃったのは仕方ないと思う。
まだ俺たちの関係は家族以上恋人未満って感じで精神的な繋がりは転生前と変わらないのに、新しい体のせいか肉体的な繋がりはないままにそれなりの時間が過ぎている。
そんな男としてのちょっとした不満を思いつつもこの距離感を心地好く思っている不甲斐ない自分にがっかりだ。
寝不足のロサを時間ギリギリまで甘やかして抱き込んで、それでも時間に遅れないように到着できたのは行幸である。
さすがのロサも慣れない貴族相手で緊張してるだろうかと思ったけど、受け答えははっきりしているし、手土産はちゃんと執事に預けるという冷静さもあって大丈夫そうと思ったものの、いざ食事が始まると返事が若干生返事なところを見るとやっぱり寝たりなかったのかもしれない。
こりゃあまり会話は振らないほうがいいだろうな。
「あ、そうだクリス、実はそろそろ家に人を雇いたいと思ってるんだけど、誰か紹介してもらえないかな。」
「人を?」
「俺もロサも職人気質だから……できればロサに家のことを気にせずもっとやりたいことをさせてやりたいんだ。」
「ふふ、王子様は姫を甘やかしたいようだ。」
「その不名誉な二つ名いい加減やめてほしいんだけど……。」
そもそも転生前のロサは家事があまり好きではなかったように思う。もちろん家のことはよくやってくれていたけど、必要以上はしない。がよく見て取れるスタイルで、本人いわく「いつも家がピカピカな人は家事以外の趣味がないか雇ってるかとしか思えないわね。」と豪語していたほどである。
ちなみに彼女はマンガ、アニメ、ゲームにはじまり多方面の手芸や小物作りを行っていて、少しでも時間あるなら家事じゃなくて別のことする。ダイエットのために5分歩くなら針を30センチ進めるほうがいい!と断言していた。
まぁ、価値観は人それぞれだからいいと思うけど。
そんなわけでこの世界では煩わされることなく好きなことを好きなだけさせてあげたい。
「ただでさえ近隣を買い占めようとしたのがどこかから漏れたみたいで隣の牧場の老夫婦が引退したいけど後継者がいないってことで家畜ごと引き取ってもらえないかって言ってきたもんだから。」
「どうしたんだ?それ。」
「止めるまもなくロサが買い上げた。」
「ははははははは!豪快な嫁だな!」
「まだ嫁じゃないし……。」
小さなツッコミはロサには聞こえなかったようでシザークラブのグラタンを満喫しているようだ。
「当面は世話をする人が足りないからこちらが受け入れ体制ができ次第引き渡しってことで話をしてあるけど、その人員が確保できてない。住むところは老夫婦の住んでた家をそのまま使えばいいだろうけどね。こればかりは誰でもってわけにもいかないし……。」
「なるほど。」
クリスと二人でどうしたものかと思っていたところにグラタンを腹に収めたロサが声を上げる。
「なら、ストリートチルドレンを保護したら?向こうも住むところできて給料はいる。」
「確かに貧民街は政治的にも危惧しているし、解決の糸口に慣れば助かるが……危なくないか?それに誰が教育する?」
「なら退役軍人さんも紹介してください。怪我してとか、年齢的にとか。理由は何でもいいです。」
「それならまぁなくはないが……。」
「つまりロサはストリートチルドレンの指導役に退役軍人をってこと?」
「そう。共同生活してれば子どもたちはそれが当たり前なんだと覚えていくし、騎士経験者なら身元も確かだし、後輩を育てる経験をしてるはずだから教えることに不自由はないはずだし、馬とか扱ってるはずだから動物の飼育もやり方さえわかればすぐなれると思う。」
「なるほど!では早速手配しておこう。」
「あ、できれはば植物に詳しい人も紹介してもらえませんか?庭師とか。そろそろ手が回らなくて……。」
「ふむ……。人選はこちらで?」
「お任せします。」
「わかった。少し時間をくれ。」
クリスの快い返事に納得したのか、ロサはまた手元に集中し始める。
だってデザートだもんね。仕方ないね。
「驚いたな……。今は小さな試みでもこれが定着すれば国が抱えている問題が一気に片付く。なるほど、シンが長く待ってでも逃したくない女性というわけだ。」
「おまけに聖女の妹で聖女だしな。」
「今、何気にすごい事言わなかったか?」
「気のせいじゃないかなぁ。」
「はぁ、あちらの後見人にも今度挨拶しておくよ。これは忙しくなりそうだ。」
なんのかんのと言いつつ、クリスは楽しそうだ。
それからデザートに夢中だったロサが落ち着くのを待って食後のお茶をすべくサロンへ移動した。
あーうちの嫁マジ天使。
ご覧いただきありがとうございます。
だいぶとっちらかった回なのでそのうち修正するかもしれませんが、今はこれでご容赦くださいませ。
生産系小説恐るべし。回収が間に合わんww
亀の歩みですが気長にお付き合いいただければ幸いです。