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夫婦仲良く異世界転生したので生産を楽しみます  作者: 牧野りせ
転生したら旦那に囲われました
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ギルドを回ろう~シン視点~

お越しいただきありがとうございます。


誤字報告まいどありがとうございます!「私見捨てられてない!」って毎回感動てます!


 昼食を済ませて商業ギルドに訪れた。警備や防衛の問題があるからできるだけ広範囲で購入したいところだがあの辺りは農業区なので確か購入条件があった気がする。その辺りをどうやって解決していくか考えていたが、思ったよりも条件が緩和されていたようで申し込み手続きはトントンと進んだ。


 購入者を俺にしてもよかったんだがロサの目が輝いているので彼女名義にしてみた。それに俺が保証人になっている方が何かと安心だろう。


 ひとまず購入申請だけ出して許可待ちということなので、次は冒険者ギルドに向かう。すっかり忘れていたロサの従魔申請のためである。


 今日は生産ギルドがお祭り状態なので少し遠回りになりつつも、ロサの手をしっかり繋いで冒険者ギルドの入り口をくぐる。


 どうやら今日は多くの人が生産ギルドに赴いているのか、珍しく人が少ない。空いているカウンターに歩み寄るとロサをひょいと抱き上げる。今世の彼女は前と違って子供のように背が低い。何かの時に転生者の今世は前の世界の思考やコンプレックスに基づいて体が構成されている。と聞いたことがある。本当か嘘かの真意はさておき少なくともロサに至っては前回と反対なのでそういうことなのかもしれない。


 まぁ、それは置いておくにしても彼女の身長ではカウンターの高さと頭のてっぺんが同じなのでお互いやり取りがしにくいだろうという建前を利用してロサを抱き上げる。


 「ちょ、ちょっと、シンさん!何で抱っこなの!?」


 慌てる姿も照れる姿も可愛い。耳まで赤くしてるのに何とか平静を取り繕うとしているところがますます可愛くてその頬にキスをして可愛い耳たぶを食みたくなるが、今の中途半端な立ち位置を思うとそういうわけにもいかないし、こんなとこでそんなことしたらきっと彼女は怒りだしてしばらく口をきいてくれなくなるだろう。それは自分の本意ではないのだ。何事もやりすぎはよろしくない。


 「ここのギルドカウンターは立って対応するようになってるからロサには高いでしょ?抱き上げなきゃ文字も書きにくいし、対応する受付嬢もやりにくいよ。」


 さもすべてはみんなのため、と言わんばかりの理由にロサは「だっこだとどのみち書きづらい」とか「もっとひとめをきにするべき」とかぶつぶつ言っていたがあえてまるッと無視を決め込んだ。


 「こんにちわ。冒険者ギルドへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか。」


 カウンターの向こうでにこりと笑っているのはよく見知ったスレンダーな女性だ。確かギルマスの愛娘だった気がする。よく見知ってはいるが特に友人知人の枠ではないので程よく愛想よくしているとロサの柔らかい声があいさつを告げた。


 「こんにちわ。従魔登録をしに来ました。」


 「従魔登録ですねかしこまりました。用紙は何枚必要ですか?」


 「四枚下さい。」


 「四枚……多いですね。もしかして……。」


 カウンターの下から手続き用紙を取ろうとかがんだ受付嬢が頭を持ち上げて困ったようにこちらを見つめる。


 「すいません、従魔登録が必要ってしらなくて契約してしばらくそのままでした。」


 「もしかしなくても噂の今年転生したお嫁さんですか?」


 受付嬢はきょとんとした顔で数度瞬きした。


 「前世で嫁でした~。転生したばかりで決まりを知らなくて。」


 「そうでしたか。では上の方にはこちらから伝えておきますので、次回からはお気を付け下さいね。ではこちらの用紙に記入をお願いします。それから手続きの用意をしますのでギルドカードの提示をお願いします。」


 首に下げた紐ごとギルドカードを渡すと、受付嬢はしばらく何かを確認すると片手で裏を覆ってまた困ったようにつぶやく。


 「あらあら、ロサさんギルドカードの使用期間があと一週間です。一週間以内に何らかの依頼を受けて達成しなければギルドカードが失効されます。もし失効されればペナルティとして三年の再発行停止になりますがいかがしますか?」


 そういわれてロサは困惑し、俺は動きを止めて固まってしまった。


 どのギルドでも何も活動しなければ半年でライセンスの必要なしと判断されてその資格をはく奪されるのだ。つまり俺は忘れていたとはいえライセンス失効期間でもある半年間彼女に冒険者活動をさせていなかったのである。


 すっかり忘れてた。


 「ロサごめん、すっかり忘れてた。」


 「ありゃ~。でも大丈夫。一週間もあるなら私が受けれるような依頼なにかないかな?」


 「俺も手伝うからロサの受けれるランクで、せっかくだからロサの興味のある依頼を受けよう。」


 「わかった。」


 「依頼書はあちらの壁に掲示してありますのでご覧になってみてください。ランクの低い依頼ほど掲示の位置は低くなっています。また、年間通して定番となっている依頼は依頼書が複数枚重なって張り付けてありますので一枚だけ取って受付にお持ちください。」


 「わかりました。」


 会話しつつも手はしっかり動かしていたロサは四枚同じ内容の紙を指示通り記入して埋めて、一度確認してから向きをくるりと回してから受付嬢に差し出した。こういう細かい気配りができるロサは可愛いと思う。


 「ではこちらでお手続しますので依頼書でも見ながらしばらく…おまち……ください。」


 ぺらぺらと四枚の書類に不備がないか確認しながら次第に受付嬢の顔色が青くなっていく。


 まぁ、それはそうだろう。


 フェンリル、ケットシー、バロメッツ、地竜だなんてどれもSランク級の魔獣で討伐するとなればBランク以上の冒険者が50人から100人のレイドで討伐するような大物だ。それを四体も従魔にしているとあればマイナー職召喚師と言えども驚きを隠せないだろう。しかも竜は聖女の証とされる生き物。それと契約してるとなれば……。


 あ~。お呼び出しかなぁ。


 「ロサ、とりあえず依頼書見に行こう。」


 受付嬢の顔色の悪さに心配そうにしたものの、俺からの言葉にきょとんとしてロサはこちらを見上げるとこくんと頷いた。なにその動作可愛いんですが。


 何も気づいていないふりをして依頼書の張ってある壁に歩いていくために背中を向けると、受付嬢は慌てて踵を返して走り去ってしまう。向かった先は階段。


 って、ことはやっぱギルマスのとこ行くのかなぁ。


 「シンさん、シンさん下ろして。下の方がよく見えないの。」


 「はいはい。」


 そっと下ろすと、ウキウキと楽しそうに依頼書の群れを端から眺めている。なぜか手を後ろで組んでいる。美術鑑賞か何かでしょうかねお嬢様。


 しばらくして何か琴線に引っかかるものがあったのか、何枚かピンでとめてある依頼書からピンを外し一枚だけそっと引き抜くとまたピンを元の通りに慎重に、慎重に元の位置に止めている。多少ずれたって誰も気にも留めないのに、初めての依頼書を取るということで緊張しているのかもしれない。


 残りをもとの位置に戻すと、なぜかきょろきょろと周囲を見渡している。


 大丈夫誰も横からとったりしないから。って微笑ましくて笑いたいのをこらえていると、依頼書を掲げてこちらに見せながら「これにしようと思う。」と瞳をキラキラ輝かせながら見上げてくる。


 かわいいなぁ畜生め。


 見せてくれたのは駆け出しのFランク冒険者の定番であるニガヨモギとアマラナンの採取依頼である。どちらも森の浅いところで比較的簡単に採取できる。なにより家からすぐの崩れた石壁からすぐの森の中に確認できたので数時間で達成できるだろう。


 再びロサを抱き上げて空いているカウンターに依頼を出しに行く。


 「すいません、これを受けたいんですが、ギルドカードさっき従魔登録のためにあずけちゃってて……。」


 「かしこまりました。こちらは定番の依頼で普段から掲示がありますので、次回からは採取した後に依頼書と一緒に提出も可能ですよ。」


 そういうと受付嬢は依頼書を受け取って何やらサラサラメモを付けてさっき従魔登録を対応してくれた受付嬢のカウンターに依頼書を置いていた。担当してくれた受付嬢が戻るまで暇なのでどうしたものかと思っていたら受付嬢がギルマスと共に二階から降りてきた。


 「よぉ、シン。なにやら色々噂になってんぞぉ。面白いからちょっと来い。」


 面白いってなんだ。


 のどまで出かかった悪態を引っ込めてしれっとロサを抱っこしたまま(逃す気はない)二階への階段を上るのだった。


挿絵(By みてみん)

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目指せ50話!NO途中放棄!頑張ります!


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