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夫婦仲良く異世界転生したので生産を楽しみます  作者: 牧野りせ
転生したら旦那に囲われました
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妹~シン視点~

いらっしゃいませ。お久しぶりです。

おかしいな、こんなに間が空く予定ではなかったのですが……(-×-)


おかげさまでブックマークが100超えました!ありがとうございます!

不定期アップですがこれからもお付き合いいただければ幸いです。

 「また増えてる……。」


 もはや我が家の恒例となりつつあるロサの従魔による練り歩き……もとい巡回警備は当初フェルとクロ―の二匹で行われていたのだが、先日新たに加わったファンシーカラー羊のユメが加わった。


 やはりロサの従魔であるせいなのかユメとも会話ができる。本来なら契約をした人物以外との会話などできるはずないのに。


 『お兄さま、おつかれさまです。』


 おまけにこの羊ずいぶんと育ちが?いいようで、この家で誰よりも言葉遣いが丁寧だ。どうやらロサがユメの事を『妹』と位置付けたらしく、それを大層喜んだこの従魔は『主の番ならばお兄様と呼ぶことにします』と幼い声で呼ばれてしまえばもう何も言う気になれなかった。


 そのユメは回復能力があるらしい。それも魔獣の中ではトップクラスだったと記憶している。なんでそんなレアなのがうろついているんだか……。強運というべきか……。


 先日作業中にうっかり切り傷を作ったんだが、目ざとくそれをみつけたユメが舐めてくれたかと思えば跡形もなく治っていた。魔法なのかと聞いて見たら切り傷くらいは魔法など使わなくともいいんだとか。聞けばバロメッツの体液自体が回復効果があるらしい。だからと言ってその血に不老不死の効果があるわけではないが、昔は理想を求めた人間によって乱獲された歴史があるという。そのせいでバロメッツは本来森の奥深くで獰猛な狼に守られているのだという。


 しかし、一人だちしたユメは群れに残らずフェルの気配を頼りにここまで来たんだとか。


 かくして晴れて我が家の一員となったユメは日々ツキミタンポポの葉や茎をもしゃもしゃと食んでいる。これまではロサが手作業で引っこ抜いていた貴重な雑草は彼女が要していた半分のスピードで刈り取れる。おまけに残った綿の部分はフェルが風魔法で一か所にまとめて次の種まで散布しているのでツキミタンポポの綿毛が安定供給されるようになった。


 ロサ自身も草刈りに割いていた時間を製作に費やすことができるようになったおかげで話し合っていたフゥジーを使った製品は順調に進んでいるようだ。戦闘要員にはならないが生産面と回復役という意味では立派にロサの役に立ってくれているのでありがたい仲間である。


 そんなわけで俺の中で好印象なことと、ロサの番(従魔たちの中ではそう決まったらしい)である俺に対するユメの信頼が重なった結果他の二匹よりもはるかに良好な関係ができている。


 関係……といえば、先日我が家に運び込まれたもぐらがなにやらユメを気に入ったらしい。地属性持ち同士相性がいいのかもしれないが、あのもちもちもぐらは明らかにユメに対して過剰な好意を寄せている気がする。


 しかし当のユメは体が一番大きいこともあってかもぐらのことは『弟』程度にしか見えていないようだ。実際、もぐら的にはマーキングの意味でユメの背中に潜り込んですりすりしているというのに、手のかかる弟を運んであげているぐらいにしか認識していない。


 それどころかユメはバロメッツの本能なのか狼に近いフェルばかり気にしていてもぐらどころではないのだ。フェル自身はまじめな性格からロサの護衛に徹しているし、その本人から『妹をよろしくね』と厳命(フェルはそう思っている)されたこともあり甲斐甲斐しく面倒は見ているがそれ以上の何かを見いだせる気配はない。


 おい、もぐらよ。フェルに絡んでいくな。そいつはロサの護衛役なんだぞ。そもそもその魅惑のもちもちぽんぽんボディをどうにかするべきなんじゃないのか……と思うのは俺だけではないはずだ。


 というかまぁ、ぶっちゃけロサに迷惑かけないならこいつらの中で夏の大三角形的な関係になろうと知ったことではない。


 そんなこんなで最初は二匹から始まった巡回警備も四匹となるのが恒例となりつつあった。


 従魔巡回の後は食堂で揃って昼食をとる。


 (さて、午後も頑張りますか……。)


 注文の馬車はとうに組みあがってマジックバッグの中だし、ロサと話をして作ったものも今手にしている物が完成すればあとは完全にロサ待ちである。思ったより進みがいい。これなら客間の改装をしてもいいかもしれない。


 さてどうしたものかと午後の予定を逡巡していた時である。


 「なんか匂いがする……。」


 誰かがどこかでやらかしたか……。だが焦げ臭いようなものではないから火や爆発の類ではないと思うのだが。


 作業を始める前に様子を見ておいた方がいいかもしれない。そう思って作業用の椅子から腰を浮かしたその時ガレージと母屋をつなぐ扉が叩かれる。


 「シンさ~ん。ちょっといいかなぁ?」


 「ん?どうしたの?」


 「お昼の片付けして午後から見本品作りをしようと思ったんだけど、なんとなく肩凝ったなぁ~ってつぶやいたの。」


 何か後ろめたいことでもあるのだろうか。ロサは扉に張りついたままこちらの様子を窺うようにおずおずと話している。


 「うん。それで?」


 話の要領がつかめなくて先を促す。


 「そしたら、何を思ったかもぐらくんが……。」


 「もぐら?」


 「えっと、この家や土地の権利はシンさんだからとりあえずどうするかみにきてほしいんだけどいいかな?」


 「今?」


 「できれば裏庭が沈む前に。」


 「は?」


 「とにかく見て!」


 しびれを切らしたロサが俺の腕を引っ張る。


 なにそのしぐさ。可愛いんだけど。一所懸命両手でひっぱる姿が可愛くて意地悪かなと思いつつもちょっと抵抗してみる。


 「こっち!」


 ぐいぐいと引っ張った先で勢いよく水が噴き出していた。


 否。


 「これって……温泉?」


 湯気をあげて噴水のごとく噴き出すのは水ではなく湯。それも硫黄の匂いを伴ったそれはあちらで日本人だった俺達にはなじみのある懐かしい匂い。


 やってくれたなもぐら……。




 

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