咥えられたもの
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今回はもふもふ!のはず
「フェル……?そのこどうしたの?」
ロサ異世界生活はや一か月。
驚きばかりの生活ですが、まさかの魔獣が魔獣を拾ってきました。
なぜに……?
『裏口に落ちていた。見知ったような気配だが某もクローも思い出せん。特に禍々しい気配もないうえ連れてきた。どうも弱っているように感じるものでな。』
「え!?弱ってるの!?」
たしかにフェルに咥えられた黄土色のそれはぐったりしているようにも見えるが、いかんせん顔が見えないので判別できないが……。
『主様なら何とかなるかと思ったんですが……。』
待ってクロ―。その根拠のない自信は何!?どこから来たの???
「私回復とか使えないよ?」
『主様は地の資質をお持ちですので相性がいいかと思いまして。』
いうや否やフェルは口にしていた塊をそっと床に置いた。
「フェルそういうのわかるの?」
『某だけじゃなくクローもわかります。魔獣は人の持つ資質に惹かれるのです。それによって主を選びます。』
「そうなの?」
『主様は地・神・幻・竜の資質をお持ちですね。私は主の幻に惹かれました。』
『某は神の資質に。』
「ふぇ~。すごいんだねぇ。って……だからってどうしたらいいの?」
にこにこでそんなこと言われても……。
「最初見たときは驚いたけどロサは本当に珍しい資質持ちだよね。」
昼食の席につきながらシンがつぶやく。
「そんなこと言われても……。」
『主様、こいつは地の資質持ちです。地をイメージしながら撫でてみてください。』
「地のイメージ……。」
イメージって大地にそびえる大樹……違う。それでは木のイメージだ。
草原に揺らめく草花……違う。それは風だ。
ええと、地でしょ。地面でしょ。
地面といえば……私は向こうの世界で温泉県に住んでいた。温泉の地熱を使った砂風呂があって、微妙に住んでる地域から遠いのと観光価格でちょっとお高いこともあって結局行かなかったのよねぇ。火山地帯ということもあって掘れば温泉にぶち当たる!が多い地域だったから温泉のほうがなじみ深いのよねぇ。
あ、脱線した。
そんなことを考えながらとりあえず黄土色の塊を撫でていた。
「でもこんなことで……。」
治るの?って言おうとしたのに塊が淡く光り始める。
「え?」
『クック~!』
光ったかと思うところんと転がってつぶらな瞳がこちらを見上げている。腹天したそれはちょっと長めの鼻をヒクヒクさせながらこっちを見る。短い手足には長い爪が光っている。しっぽはお尻に埋もれて見えない。
『やはり主様と相性がいいんですね。』
「もぐら……?」
『相性も何も無傷なところを見ればただの魔力切れだろう。地中活動の魔獣の子供が何も考えずに這い出して枯渇したんだろう。』
『ククゥ~。』
面目ない。とでもいうようにもぐらちゃんが肩?を落とした。フォルムが丸すぎて肩なのかわからないけど。
『キュ~、クック―』
甘えるように手のひらを頭にこすりつけてくる。ちょっとごわついた毛がするする滑って触りごたえがある。
うりゃうりゃうりゃ~!かあいいやつ~。フェルともクローとも違うこの独特の手触りは癖になるぞぉ。
『主様、そやつなにやら礼をしたいようだ。』
「お礼?いいよ、そんなの。困ったときはお互い様なんだよ~。それにこんな小さい子が遠慮なんかしちゃだめなんだよ~。」
むしろおとなしくなでさせてくれることがお礼だろうに。
しばらくこちらをじっと見たもぐらちゃんは短い手足でずりずりと動き出すがいかんせん丸いフォルムと短い手足のせいで進まない。
見かねたフェルが再びその体を咥える。
『主様ついてきてほしいそうだ。』
「それは構わないけど……。」
来た道を戻るようにキッチンを通り抜けて裏口から出ると、私がきれいに整地してツキミタンポポ種を植えたのが見える。ちなみに花壇とかしてない。踏みつぶさないよう通路程度に間隔があいているだけで地面にパラパラ巻いただけでぱっと見は双葉の草原だ。
一体どれくらいの期間で収穫できるのか定かでないが。
『キュッキュキュ~!』
なにやらどや顔でひと鳴きしたもぐらちゃん。じゃぁ!と言わんばかりに短い片手を上げて裏口脇から地面にダイブした。残されたのはぽっかり空いた穴と……。
『あ、主様ツキミタンポポが!』
いわれて視線を穴から前に戻すと、理科の観察映像を三倍速したかの如くツキミタンポポがにょきにょきにょきっと伸びて見る間に青い花を咲かせたと思えば薄青色の綿毛が咲き乱れる。
しかも一回目の収穫より一回り大きいぞ。
「ありがとねぇぇぇえ!」
慌てて穴に向かって礼を叫べば、遠くから小さくエコーつきでなき声がした。どうやら返事らしい。
ってちょっとまて!この量をまた収穫するんかぁぁぁい!!何日かかるんだよぉ~!!枯れる前に取らないと変色するじゃんかぁぁぁあ!!
凄い凄いというフェルとクロ―の横で私は天を仰いだ。
その頭をポンポンと撫でる手が一つ。無言で一連の状況を見守っていたシンである。
「午後は草刈かな?」
「シンしゃぁ~~~~ん。」
これからの作業を思うとちょっとがっくりなる。
「ロサがすぐ制作にかかれるように俺は土台作り頑張るから!」
さわやかな笑顔で言われてしまった。どうやら手伝いは期待できないらしい。
や、いいけどね。それはそれで無心になれるし。チクショー。
ご覧いただきありがとうございます。
書いててだんだん恋愛要素より生産もふもふが強くなってきたため長い目を見てタイトルを変更しました。紛らわしくてすいません。これからもお付き合いいただければ幸いです。
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