結局なんだったのか
明けましておめでとうございます。
地道ながらもちまちま今年も頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。
ブックマーク、評価ありがとうございます!
更新遅いのに本当にありがたいです!
力強く抱きしめられて、目の前に広がった布地が次第に色を変え水分を帯びて初めて自分が泣いているのだと自覚した。
なんで泣いているのかもよくわからなくて、その事態に驚いて涙も引っ込んだ。
何やってんだワタシ。
目尻の粒を拭って頭上に視線を向ける。
「ありがとう。もう大丈夫だから……。」
「うん。」
ホッとしたような表情を返されてロサはさらに宣う。
「だから食材買いに行こう。」
「お、おう。」
「ちゃんと練習しなきゃ、登録できるような料理になるかわからないもの。あっちと同じものが全部揃うとは限らないし!」
先程泣いたのはなんのその。頭の中はすでにレシピ登録でいっぱいになっていた。
いくつかの種類はすでにあったが、逆にメジャーだけど分類が多岐にあって好みの者がいなかったのか、ないパターンなどもちょいちょいあった。
これはイケる。
少なくともいくつかの登録されれば少しでもシンに金銭的負担をかけなくてすむだろうし、これから何を作るにしても材料費はかかるのだ。疚しいことに使うわけでもないし求められれば何に使うのか説明もできるが、何かを作るたびに金銭を求めるのは居心地が悪い。
そういうことに関してシンは『自分を頼ってほしい』と言ってはくれるが、それに頼ってばかりでは自分は何もできない人間だと証明しているようで悲しくもある。
とにかく一刻も早く経済的自立というのが自分の目標だ。
その手段が手芸だろうとレシピ登録だろうと素材集めであろうと構わないのだ。
ギルドを出て市場に向かう。
作りたいものの材料を思い出しながら次々と買い込んでいく。流石にやりすぎだろうかとシンに尋ねる。
「急な仕事入ったから、しばらくは買い物連れてきてあげられないから多すぎるくらいがちょうどいいと思うよ。」
朗らかな笑顔で言われると、ひしひしと感じた罪悪感が消えていく。
だからといって、心配がなくなるわけではない。買いながらも財布の中身は大丈夫だろうかとハラハラする。
「ロサ?そんな顔して財布と俺を見なくても大丈夫だよ。現金でなくなってもギルドカードで払えば済むんだから。気にしなくていいから、日持ちのするものは特に多めに買っておいて。」
困った子供を嗜めるように頭の上に手を置かれてポンポンと撫でられる。
くすぐったい気持ちになって視線を逸らす。何なら頬だって赤くなっているかもしれない。
甘やかされてるなぁ。
結局、二人乗りの馬車で帰るのに買い物しすぎて一部しか入らず、馬車置き場の人にお願いして別料金で届けてもらうことになって、私はまた身を縮めることとなった。
フェル『あの聖女さまの匂いしってる!でも僕は空気読めるからネタバレなんてしないもんね……!』
卵『それをフラグって言うんだと思うよ?』
フェル『えぇ?!僕獣だからわかんなぁ〜い!』
卵『はぁ……。早くそれより生まれないと忘れられちゃいそうだよ』
フェル『お前がのんびりしてるからじゃないか』
卵『だってはじめが肝心って言われたんだよっ!』
フェル『誰に?』
卵『誰だっけ???』
フェル『をいっ!』