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なまえのないきみへ  作者: 燈/銘花
7/7

His fate

ルナを止めることはもうできない。

それを悟ったリルは、エテルノとヒラソルにジェイドを託す。

『永眠』の魔法で今この時を保存し、いつかこの国を救ってくれるよう、未来を託して命を尽くした。

ジェイドを預かった二人は、その遺志を受け継ぎ、未来を目指す。

もう誰も動かない、何も存在しないオラリオン。

そこに生は無く、時が止まったかのようにただそこに在り続ける。

人は無を恐れ、死を恐れた。

何も存在しない国は国ではなく。

人のない国も国ではない。

生でもないく死でもない、そんな曖昧なものがここには満ちていた。

近隣諸国はオラリオンをなかったもの、あるいは滅びたものとして扱った。

この国の話はしてはならない禁句とさえ言う人物もいる。

どこかの噂ではその国の王子は逃げのびたとか。

真相を知るものはそう多くなく、皆一様に口を閉ざす。

ある者は言った。『魔法を使うからこういうことになるのだ』と。

その意見は人を伝っていくごとに飛躍していき、いつしか『役持ちは悪だ。奴らが一国を滅ぼした』

という考えに変わった。

しかし、また他の者が言う。『科学の進歩、それは一種の魔法ではないか。今となっては魔法をも超える力を得ようとしている』と。

役持ちに広がるこの言葉もまた飛躍を繰り返し、いつしかこうまとまった。

『役無しは魔法を恐れ、我々を迫害するに飽き足らずそれを上回る力でいつしか我々役持ちを排除しにくるぞ』

この溝はあまりにも深く、軽々に埋まらないことは誰の目にも明らかだった。

そして、ある事件が起こる。

その事件は多くの人々を悲しませ、また怒りに身をゆだねさせた。

涙し、武器を持つ。

対話などするものか。

そのような場を設けることはもはや叶わない…

一件の根底にあるその国の王子は今も育ち、真実に近づいていた。


---第一部 完---

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