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4:至れり尽くせり

 落ち着いた後、客間に通されあったかいお茶を出された。客間はしっかり手入れがされており、赤い絨毯に高価そうなテーブルと椅子、そしてすこし眩しいシャンデリア。相当な金持ちの幽霊だな。羨ましい……。


 その幽霊は大体十三歳くらいの女の子だった。背は大体百五十センチくらいだろう。薄灰色のサラサラストレートの髪で宝石のように透き通るような黄金の瞳。顔立ちもとても整っていて、あと数年くらいたった姿なら一目惚れしたかもしれない。


「それで、ここに何の用?」

「ん?あ、ああ、実は森を探索してたら雨が降ってきてな、それで雨宿りにー、とここに入ったわけなんだが……」


 とりあえず俺はありのまま起こったことを話した。最初は幽霊かと思ったがよくよく考えれば幽霊ではないことがわかった。実際に本物の幽霊は体が透けているしな。え?なんで知っているかって?それは小学生の時の肝試しで本物を見たからってだけだ。あの時はマジでびっくりしたなぁ………。ま、それ以降墓場に行っては見かけるようになったから最近ではさっきみたいにフッと出てこないかぎりびっくりしたりはしなくなったけど。


「そう、それなら泊まっていっていい」


  お、それはありがたい。けどどうして泊めくれるんだ?猫が喋っていれば普通は不気味なはずなのに……。


  そう尋ねたらその美少女はさっきのように無表情で、こう答えてくれた。


「普通なら泊めない。けど、私と同じように何か事情がありそう。だから放って置けない。それに、興味もある」

「まあ猫が喋っているワケだしな」


  喋る猫なんて普通は気になるし、何かあったと考えてしまうのが当然だろう。というか私と同じってことは、そっちにも何かしら事情があるのか?

  少し興味があった俺は、


「同じようにってことは、そっちはどんな事情なんだ?」


  と聞いてみた。


「……知りたい?」

「そうだな、せっかくだから聞きたい」

「そう。話してもいいけど、長くなる。先に濡れた体を温めてきた方がいい。でないと風邪をひく」

「お、さっきから至れり尽くせりでなんか悪いな」


 幽霊(仮)の女の子はおもむろに立ち上がり、お風呂のお湯を入れに部屋を出ていった。ふむ、歩く姿もなかなか可愛いな……。


 その歩く姿となびく髪がとても綺麗でやはり目を奪われてしまう。もし俺の世界にいたならきっと、毎日ラブレターが下駄箱ぎっしりという事件が起きるのだろう。ぎっしり詰まっているってのは見ていて決していいものじゃないけど……。靴取りにくそうだし。


 それにしても泊めてもらったり、風呂を沸かしてもらったり、ほんとに至れり尽くせりだよなぁ。せっかくなので、その厚意に甘えさせてもらおう、遠慮なく。


 しばらくして、彼女は部屋に戻ってきた。きっと風呂を沸かしてくれたのだろう。


  俺は礼儀として、お礼をちゃんといい風呂場に向かうとしたが……。


「場所、分かるの?」

「………あ」


 当然風呂の場所がわからないわけで、結果場所を案内してもらうことになった。


  風呂場に向かう途中、ふと忘れていたことを思い出した。


「そういえばさ、名前まだ言ってなかったな。俺は悠人、秋山悠人だ。まあ気軽に悠人でいいから」

「そう。私は名前がないから好きに呼んでもらっていい」

「そうか、名前ないのか……なんで?」

「あとでまとめて話す」


 名前がないと不便だな……よし、あとで考えてあげよう。泊めてもらうお礼もそうだが、何よりないとなんと呼べばいいのか分からなくて俺も困る。




 風呂場に着いた俺はタオルを渡してもらい、風呂に入った。脱ぐ動作もなくそのまま風呂ってのはきっと今後も慣れないだろうな。

 風呂場は、どちらかというと豪華な銭湯みたいな感じだった。広いから何か落ちつかない。あとついでに足もつかない。普通の銭湯より少し深めで潜れてしまう。

  なんせ今の俺は猫である。足を下につけようとすると頭が隠れてしまう。仕方なく、浅いところでしゃがんでゆっくりと肩をお湯につけた。

  未だに実感がわかない。自分が死んだ上、人の体まで失ったことが……。まあ、悩んだところでどうにもならんし、今は置こう。

 早く風呂出てあの少女の抱える事情を聞きたいからな!やっぱり人の秘密は気になるものだ。


 風呂を出たあと、俺は更衣室で立ち尽くした。


「どうやって体拭けばいいんだよ……」


 今の俺は猫、そう猫なのだ。人間の時とは違って身体全体に毛がある。しかも今の俺の手は肉球……。どうしろというのだ。とりあえず人間だった時みたいに身体を拭いてみるか。


  ……頑張った。そう、頑張ったのである。だがまだ猫になって2日目、身体にあまり慣れていない。その結果、濡れた身体はある程度は乾いたが、身体の毛がものすごい逆立っている。鏡を見たときに思わずに吹いてしまうくらいには。

 これ以上奮闘するのはめんどくさいので、少し濡れたまま俺はさっきの客間に向かった。客間に入った途端あの無表情少女が少し驚いた顔に変わり、そのあとため息を吐きながらすぐに身体を拭き直してくれた。




「それで、そっちの事情ってのはどんなのか、そろそろ教えてもらっていいか?」


  再び客間に戻ってきたあと、俺はさっきの話を聞くことにした。机を挟んで向こう側には無表情少女がいる。

  さあて、聞こうじゃないか。こんな美少女の抱える事情とやらを!


「わかった。でも、少し長くるなるから」


 そういって、紅茶を入れながら過去に何があったのかを話してくれた。


今後の話とつじつまが合わなくなっていたため、改定しました。本当にすいません・・・・・・m(_ _)m

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