妹の笑顔
私小説風小説です。彼らの甘く切ない物語。最後までご覧ください。
そうこうしていると、千星のクラスメートが一緒に登校しようと、家に来た。
「千星、おっはよー。あ、まーたシスコン兄貴に何かされてんの?」
「誰がシスコンだ! こら!」
茶化した千星の友達に、俺はそう怒鳴った。まぁ、あながち間違いではないけど、だからって年下に茶化されんのは、何か腹立つ。
「シスコンじゃないですか。ほら、行こう千星。遅刻しちゃうよ」
「あ、うん。じゃあ、行ってきます。お兄ちゃんも遅れないようにね」
そう言われて俺は了解し、友達と一緒に登校する千星を見送った。
楽しそうに登校する妹の後ろ姿を見ていて、俺は自分の友達の少なさを痛感した。
小3の頃から、嫌がらせやいじめまがいなことを受け続けてきた俺には、今もそうだが、心を開けれる友達が少ない。なんなら、嫌いな奴の方が多くて、クラス全員皆殺しの予告を出したり、自殺を図ったりもした。
そんな俺ん中にいて、小5の時の自殺未遂からしばらく経った頃に、覚醒したのがペガサスだった。
当時のあいつは目覚めたばっかってのと、俺の中に入ったショックか何かで、自分の名前以外の記憶をほとんど失っていた。けど、不思議と馬が合って、今では順調に記憶を取り戻して、任務も思い出し、文字通り俺の心の友となった。
(翔馬君。さっき言われたろ? 早くしないと、遅刻するよ)
親友の言葉に俺ははっとして、マズいと思った。
(まったく、妹とは大違い。天と地。雲泥の差。月とスッポンだね。シスコン兄さん)
「うっせぇやい。つか、言いすぎだ」
そう言ったあと、俺も急いで登校したけど、結局、遅刻しちまった。
その後、俺は下校してすぐ、近所のおもちゃ屋に向かい、例のぬいぐるみを買って、千星にプレゼントした。おとんとおかんからは、『置き場所を考えろ』って叱られたけど、千星が驚きつつも喜び、満足そうな笑顔を見せてくれただけで幸せだった。