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凶弾

 私小説風小説です。彼らの甘く切ない物語。最後までご覧ください。

 散々泣いたあと、ペガサスは俺と代わってくれた。

 元に戻った俺が、なんでペガサスを許したのか尋ねると、千星はペガサスも家族を失う辛さを知ってるから、と答えた。


 ペガサスは濡れ衣によって父親を処刑され、地上に降りる直前に母親も病で亡くしている。

 その痛みを身に染みてわかってるあいつの心の傷を抉りたくない。あいつを許したのは千星なりの甘さであり、優しさなんだ。そう納得した俺は、似たような傷を負ったにもかかわらず、許せる強さを持っている千星に感心した。


 が、そんな余裕など、俺達にはなかった。ペガサスがつけた火の回りが予想以上に早く、このままでは隣りの家にまで燃え移ってしまう。いくら騒音ババァの家でも人ん家まで燃やしてはいけない。千星に言われて俺は一大事だと気付いた。


「私は消防車を呼んでくるから、お兄ちゃんは手伝ってくれる人を」

 そう言って、千星は家の中に携帯電話があるってことで、公衆電話を探しに。俺は近所で消火を手伝ってくれる人を探しに別行動をとった。


 放火とはさすがに言えなかったが、近所の人達はみんな快く協力してくれて、バケツリレーが始まった。あとは千星が呼んだ消防車が来てくれれば一安心。


 ってほっとしかけた時だった。耳を劈くような銃声が1発聞こえた。何事かと一瞬思ったが、音がした方向と近さに嫌な予感がした俺は、タバコ屋の横にある公衆電話へと急いで向かった。



 俺は目の前の光景に愕然とした。そこには、だらんと垂れた受話器と、血塗れになった公衆電話。そして、後頭部を撃たれてうつ伏せで倒れている千星の姿があった。

 信じられないことに頭が真っ白になっていた俺だったが、はっと我に返り、倒れている千星を抱き起こし、揺さぶりながら声をかけ続けた。が、時既に遅し。愛した女であり最愛の妹はとっくに息絶えていた。


「くそっ! なんでこんなことに……どうして千星が……ちくしょう……ちっくしょーっ!」


 俺は千星を抱きながら、夜空に向かって怒鳴り、泣き叫んだ。

 そんな無念と悲しみで号泣する俺に、まわりなど見えるはずもない。気配を消した何者かが、背後からそっと近付き、俺の頭を撃ち抜いた…………



 次に目覚めると、俺はそれまでのことを全てを忘れ、4歳児としてこの世界にいた………………

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