表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/22

清水の舞台

 私小説風小説です。彼らの甘く切ない物語。最後までご覧ください。

 翌朝7時頃。目覚めた俺達は、おはようのキスをしてから体を起こし、服を着替えた。

 昨夜の営みが原因で色んなところを結構汚しちまって、最初はギョッとしたが、持参していたタオルと消臭剤で証拠隠滅しようっていう千星の発案のおかげで、バレずに済んだ。

 朝食を持ってきた仲居さんが来た時には、すっげえ冷や冷やしたけど。


 山の幸を使った朝食を食べ終えた俺達は、歯を磨いてからチェックアウトし、旅行最終日を満喫することにした。

 言い忘れてたが、今回の旅のテーマは『京都と桜』だ。さっきの宿然り、前日のテーマパークも名所という点ではそうだ。

 となれば、両方を満たす所に行かないでどうする。


 てなわけで俺と千星は、満開の桜で周囲を彩られた清水寺を訪れた。

 写真とは違う見事な景色に、俺達のテンションは上がるが、同時に、俺はふと、不思議に思ったことがあった。

 よく一大決心する時とかに『清水の舞台から飛び降りる』って言うけど、実際来てみたら、こんなとこから飛び降りたら普通に死ぬだろ。思い切り過ぎって思ったのは、俺の気のせいか?


 そんなバカみてぇな素朴な疑問を千星にぶつけたら、あいつは同意しつつ、自分の経験と重ねて答えてくれた。


 その経験ってのは例の告白だ。千星は気持ち悪がられて嫌われるリスクもあったってのに、それこそ清水の舞台から飛び降りるような決死の覚悟で、あの日、俺への恋心を打ち明けてくれた。

 そんな俺には真似できねぇあいつの勇気があったからこそ、今の俺達がある。


 そう語る千星の強い心と愛情に俺は魅せられ、そして、思い知らされた。

 結局、死にたがりの決死の覚悟なんてそんなもん。本当に愛する人とずっと生きていきたいって思ってる奴の覚悟は、何よりも強い。そう。どんな障害にも屈しないほどに。


 それを悟った俺は、改めて決意した。こんなに想ってくれている千星を死ぬまで幸せにしよう、と。それが、こんな俺を愛してくれている大切なオンナのためにできることだから…………

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ