禁断の恋
私小説風小説です。彼らの甘く切ない物語。最後までご覧ください。
しばらく抱き合ったあと、千星はおもむろにあるお願いをした。
「お兄ちゃん、1つだけ約束して……お願い、自殺しないで。ペガサスさんの為っていうのはわかるけど、お兄ちゃんに死んでほしくないの」
妹として、恋人としての千星の頼みを聞き、俺は胸を締めつけられる気分になった。千星は俺が2回も自殺しようとしたことに心を痛めてたんだ。
愛する女の苦しみ続けた心を知って、俺は決意した。
「……わかった。約束する。もう自殺はしない。お前を悲しませることになるもんな」
そう誓うと、千星は礼を言った。
(いいよな? ペガサス)
(もちろん。君達の幸せの方が大事だ。そこに水を差すようなマネはしないよ)
ペガサスの祝福ともとれる言葉に俺は感謝する。
ハグをやめた俺は、半分冗談で混浴しようって誘ったけど、付き合いたてってことで断られてしまい、代わりにお礼がてら初デートをすることにした。
その支度をして出かける間際に、千星に呼ばれて、戸を開けながら振り返ると、千星がキスしてきた。
「ありがとう。愛してる」
不意打ちのキスに、思わず笑みがこぼれた。
「お前なぁ、ファーストキスならもう少しムードのあるところでしろよ。ま、でも、俺も愛してるぜ、千星」
って言って、俺は千星にキスし返した。
そのあと、俺達は戸締まりをして初デートに出かけた。
初デートっつっても、最寄り駅周辺をぶらぶらして、喫茶店に寄って千星の好きなメロンソーダを奢り、奢ってもらったお礼と1日早い誕生日プレゼントってことで、千星からお揃いのキーホルダーをプレゼントしてもらい、最後にカラオケで締めるっていうこじんまりとしたものだった。
けど、それだけでも俺と千星にとっては、とても大切で楽しい時間となった。
17になる誕生日の前日から始まった俺達の禁断の恋。
世間的に悪いことだってのはわかってる。それでも誰にも邪魔はさせない。社会だろうと、親だろうと、俺達の恋路は誰にも…………