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告白

 私小説風小説です。彼らの甘く切ない物語。最後までご覧ください。

 翌日正午頃。この日はブリキ屋のおとんは広島で仕事。大樹は友達の家に泊まり込み。遼河とおかんは三宮にいるひいばあちゃんの家に1日遊びに行っていた。

 つまり、この家には三宮に行くのをキャンセルした俺と千星だけということになる。今思えば、このあとのことのために千星はあえて家に残ったんだと思う。


 滅多にない2人っきりの家で、俺は千星が作った昼飯に舌鼓を打ち、全部残さず平らげた。


「ごちそうさん。やっぱ千星の作る飯はうめぇわ」


「ありがとう。お兄ちゃんに言われると、すごく嬉しい」

 嬉しそうにそう言う千星の微笑みを見て、俺は胸がキュンとする。


 前から反則的にかわいい笑顔だとは思っていたが、それとは明らかに違う。これは、過去数回芽生え、告白と同時に見事に玉砕した感情。恋だとこの時、俺は改めて確信した。


「そ、そう言われるとこっちも嬉しいな。あはははは」


「お兄ちゃん、笑い方が不自然だよ?」

 好きな女にそう言われて、俺はヤバいと思い、落ち着くよう自分の心に言い聞かせた。


 けど、頭のいいあいつにはバレバレだったらしく、俺の心を察した千星は、俺の隣りに腰を下ろした。その距離は結構近く、ちょっとでも動けば肩が触れ合いそうな距離だった。


「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんって、年下で大人しくて、巨乳の人が好きだって言ってたよね?」

 俺は心臓をバクバク言わせながら頷き、気持ちを落ち着かせようと、麦茶に口を付けた。


「昨日、私の裸見てたけど……私はお兄ちゃん的に、どう……かな?」

 妹であり好きな女からのとんでもない質問に俺はびっくりし、麦茶を噴き出した。


「な、何言ってんだ、急に! いつものお前らしくねぇぞ!」


「答えて……お願い」

 すがるような目でそう言われて、俺は恥ずかしさで目をそらしながらも、ドストライクだったことを伝える。

 すると、千星はほっとした顔をして、頬を赤らめた。


 その顔で俺はようやく気付いた。


「もしかして、千星……俺のこと……」


「……うん、好きだよ。この世で一番。お兄ちゃんと一緒にいると、胸が張り裂けそうなくらいドキドキする」

 千星からの告白で両想いだと知った俺は驚いた。


 話を聞いてみると、俺と同じぐらいの時期に好意を持ち始めたらしく、俺のいいところはもちろん、欠点もひっくるめて全部好きだと言ってくれた。しかも、それだけじゃない。俺の歪んだ心も救ってくれた。

 ここまで俺の心を知ってくれて、優しく包み込んでくれる女神みたいな奴は他にはいない。この世でたった1人、こいつだけだ。


 そう思うと、俺の両手は自然と千星を抱きしめていた。


「千星、ごめんな。こんなに想ってくれたのに、こんなに待たせて。もう兄妹とか関係ねぇ。俺はお前を愛してる」


「私も、愛してる」

 そう言い合って、俺達は2人きりの家の中で互いの体を強く抱きしめた。まるで永遠の愛を固く誓うように…………

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