お約束編
「いつまで寝ているの!」
「あと五時間だけ・・・」
「一日に四時間しか寝ない人もいるのよ!」
「良いじゃん。
どうせ起きてもやる事ないんだから」
「働きなさい!
仕事を探しなさい!」
「気が向いたらね」
「・・・よく聞きなさい」
「何だよお袋、あらたまって」
「実はこの世界はゲームの中の世界なのよ」
「そんなバカな・・・。
冗談言うなよ」
「冗談でも嘘でもないわ。
あなたはAIを組み込まれたキャラクターなの。
あなたは某大陸の大国で開発された超課金ゲーム『放置彼氏』のドクソノーマル星0人気最下位キャラなのよ!。
あなたの基本情報を聞きたい?」
「あ、あぁ。
聞かせてくれ」
「余吾礼二
小学校からのあだ名は『ヨゴレ』
別名『女泣かせ』の引きこもり。
無職で実家住まいのニート。
夢はアイドルと結婚して養ってもらう事。
34歳」
「人間のクズじゃねーか!」
「あんた本人の事だ!」
「まあゲームの中の事って言ったって、俺にはAIがあって放置されてるんだろ?。
俺の好き勝手動けるんだったら好きにさせてもらうさ」
「今までは好きにさせて来たわ。
でもそうもいかなくなったのよ」
「何でだよ?」
「ゲームのサービス開始からもう数年経過したわ。
次から次に新しいゲームがリリースされているわ。
『放置彼氏』も徐々に登録者数が減ってきたのよ。
登録者数が減れば、予算もカットされる。
不人気な物から削除されるのはわかるわね?」
「あ、あぁ」
「このゲームで一番不人気な物は何だと思う?。
ヒントは・・・もう私は一度答えを言っています」
「一番不人気なのは・・・俺か・・・」
「そう。
だから今からでも人気が少しでも出るように行動しないと『不人気キャラ』って言って本当に削除されるわよ?」
「少しぐらい頑張っても、もう『焼け石に水』だろ・・・」
「礼二・・・」
母親の警告も聞かず、俺は自堕落な生活を続けた。
そしてその日はやはり訪れた。
「キャラ削除か。
『この世界から俺の存在が消える』
まぁ死刑みたいなモンか。
『お袋が俺の存在を忘れる』っていうのが救いかな?。
いつまでも出来の悪い息子の事で悲しまないんだから」
「ではキャラ削除します。
気休めしか言えませんがAIを組むのにも結構費用がかかるそうです。
これからリリースされるゲームであなたのAIが使い回されるかも知れません。
私はこのゲームの外の世界をよく知りませんし、あなたのAIが使い回されたとして古くからの記憶が持続するかなんてわかりません」
「気休めありがとう。
どこか他のゲームで蘇る事を祈るよ」
「・・・では『余吾礼二』のキャラを削除します」
・
・
・
・
「起きなさい!。
いつまで寝ているの!」
「消えてない!?」
「寝ぼけているの?」
「ここは?」
「ここは『ヨゴレート辺境伯』が治める領地です。
あなたは辺境伯の娘、令嬢です」
どうやらAIは別のゲームに使い回されたらしい。
やっぱり令嬢って事は『悪役』なのかな?。
追放されるのかな?。




