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文化人類学編

 「我々が当たり前に利用しているジェスチャーも他の国では別の意味だったりします。

 ではそこのあなた、『了解しました』というのをジェスチャーで表現してください。」教授は僕に言う。

 僕は教授に言われた通りのジェスチャーをする。

 右手の親指と人差し指で丸を作る。

 そして右手の中指と薬指と小指を反り返るくらい立たせる。

 どこからどう見ても「OK!」と言うジェスチャーだ。

 「見て下さい。

 ブラジルの

 『テメーのケツの穴にブチ込んでやんよ、このクソ野郎!』というジェスチャーです。

 親指と人差し指で円を作って、尻の穴を表現しているのです。」教授は意地悪く言う。

 「そ、そんな・・・。

 僕はそんなつもりじゃ・・・。」僕は狼狽える。

 「『そんなつもりじゃなかった。』

 誰もがそう言うでしょう。

 例えば土足で外国の方があなたの家に上がり込んできたとします。

 相手は無礼だなんて少しも思っていない。

 この場合『知らなかったからしょうがない』のでしょうか?。

 私はそうは思いません。

 相手の文化を前もって学ぶ事こそが礼儀であり、コミュニケーションを円滑に進めるコツでしょう。」


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 地球は異星人の来訪を受ける。

 異星人はとても友好的だ。

 異星人は見た目、ほぼ地球人と代わりはない。

 ただ問題がない訳ではない。

 生活習慣が人間と違い過ぎるのだ。

 宇宙での生活が地球と同じ訳がない。

 異星人をもてなす役割に文化人類学の権威、ウチの研究室の教授が指名された。

 その手伝いにたった一人のゼミ生の僕が駆り出された訳だが。


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 「よ、ようこそ地球へ」僕はビビりながら異星人に言う。

 「ヨヨウコソチ!?。」異星人が騒いでいる。

 もう訳わからん・・・。

 僕の対応次第で異星人を怒らせて星間戦争なんてこともあり得るかも。

 通訳が何か言っている。

 通訳と言ってもアメリカに宇宙船で不時着した異星人が異星人の言っている事を英語に翻訳する。

 その英語の翻訳をもう一人の通訳が日本語にして伝える。

 つまり僕と異星人の会話には二人の通訳が間に入るのだ。

 当然、会話には時間がかかるし、アメリカに不時着した異星人がそんなに英語ペラペラな訳ではない。

 誤訳も多いし会話はかなりズレて伝わるしニュアンスはまず正しく伝わらない。

 「異星人の言葉で『ヨヨウコソチ』は『不運(ハードラック)(ダンス)る』という意味だそうです。」

 意味わからん。

 「ΘΒΚΔΣΩΡΣΝΚΛΙΒ(はじめまして)」

 「『はじめて』」

 「『はじめて』!?。

 はじめてっぽい言葉を入れて、文章にしないと・・・。

 えーっと『はじめて恋をしました。』だそうです。」

 「いきなり何でここで甘酸っぱい告白を僕にするんだろ・・・。」僕は困り果てて頭をポリポリかいた。

 その様子を見ていた異星人の目が光り何かを言っている。

 「彼は『それは本気か?。』と言っています。」と通訳。

 どうも正しくコミュニケーションがとれていない。

 つーか、僕は何も言っていない。

 しかし異星人は真剣な顔だ。

 チャカせる雰囲気じゃない。

 首を横に振る。

 「申し訳ない。

 正直何を言っているかわからない。」僕は正直に謝罪した。

 異星人は僕が言い終わる前に僕の手を掴んで僕を外に連れて行った。


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 ~数年後~

 「日本人にしか伝わらないジェスチャーがあります。

 ブラジル人にしか伝わらないジェスチャーがあります。

 同様に異星人にしか伝わらないジェスチャーもあります。

 ではそのうちのいくつかのジェスチャーを紹介します。


 頭をポリポリとかくジェスチャーの意味は『結婚してください』です。

 その後首を横に振るジェスチャーの意味は『奥さんにして下さい』です。


 異星人は結婚するまで女性はいません。

 結婚する時に『夫』か『妻』かを選ぶのです。

 『妻』を選ぶと首の後ろに細い管を刺されます。

 管が紫色に変わるので、おそらく管で薬を流し込んでいるのでしょう。

 それでは今日の文化人類学概論の授業を終わります。」

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