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恩返し編

 「おいおいガキ共、亀を苛めるな。

 動物愛護団体がうるせーぞ。」

 「うるせー、クソオヤジ!。」

 「コラ!。

 まだ『クソオヤジ』って呼ばれるような歳じゃない!。

 『クソお兄さん』と呼べ!。

 ・・・行っちまった。

 最近のガキときたら。

 この言い方がオヤジなのか。」


 《助けてくれてありがとう。》

 「何だ?。

 直接脳内に誰かが話しかけてきている!?。

 端から見たら『厨二病』の痛いヤツじゃねえか!。

 誰だ!?。

 俺を痛いヤツにしようとしてるヤツは!?。」

 《別に陥れようとはしておらん。》

 「じゃあ姿をあらわしやがれ!。」

 《ずっと目の前にいるのに。

 足元を見ろ。》

 「足元・・・。

 亀しかいねーぞ。

 もしかしてこの頭の中の声、亀の声なのか?。」

 《ようやく気づいたか。

 厳密に言うと、ワシは亀の姿をしているが亀ではない。

 『玄武』という名の神だ。》

 「それでその『コンブ』が俺に何の用事だ?。

 俺はかーちゃんにガキの頃『自分を神だとか言う痛いヤツは相手にしちゃダメだ』って言われてるんだよ。

 今回だけは特別に話を聞いてやるから手短(てみじか)に頼むわ。」

 「何でそんな『老人の話を聞いてやるボランティア』みたいな態度なんじゃ!。」

 「実際ジジイだろ?。

 じゃなきゃ『ワシ』なんて言わないし。」

 「ま、まあな。

 ワシは数千年生きた事で、亀から神へと変わった存在じゃ。」

 「本当は神じゃないんじゃない?。

 試験官が噛んで間違えて『亀』を『神』って言い間違えただけで。」

 「見てきたように言うな!。

 試験をパスして『神』になれる制度もなければ、試験官もおらん!。」

 「早く用事済ませろよ、バイトの時間きちまうじゃん。」

 《ワシは神じゃ。

 ワシを救ったお主に恩返しがしたい。》

 「世界の半分をくれ。」

 《ワシは魔王ではないわい!。

 それにまだ何も言ってないだろうが!。

 いきなり願い事を言うな!。》

 「要点をまとめて簡潔に話せ!。

 叶えられる願いは何で叶えられない願いは何だ?。」

 《お主の『将来の夢』を叶えてやろう。

 お主が『将来やりたい仕事』は何だ?。》

 「ないな。

 出来る事なら働きたくない。

 不労所得で何とか生きて生きたい。」

 《そう言われたら話が終わってしまうだろうが!。

 子供の頃なりたかった職業とかないのか!?。》

 「子供の頃・・・そうだな。

 バスの運転手になりたかったな。」

 《わかった。

 バスの運転手だな。》

 「オメー、今更バスの運転手にしたらコークスで熱してスタミナスープにするぞ!。」

 《何でだ?。

 憧れの職業じゃなかったのか?。》

 「子供の頃のな。

 今でも憧れてる訳じゃない。」

 《じゃあ一番最近憧れた職業はなんじゃ!?。》

 「女衒(ぜげん)

 《最低じゃな!?。

 その前はなんじゃ!?。》

 「えーと、ゲームクリエイターだな。」

 《何だそれは?。》

 「知らないか。

 やっぱりジジイだ。」

 《やかましいわい!。

 わかるように説明せい!。》

 「えーと・・・電脳遊戯の製作者になりたい、でわかるか?。」

 《わ、わかったわい!。

 こう見えて電脳空間北方方面の統括責任者じゃぞ!。

 『電脳空間の遊び』つまり『神々の遊び』を作りたいって事じゃろ?。

 お主の願い叶えてやろう!。》

 「そうじゃねえ!。

 ・・・ってここはどこだ?。」

 《聞こえるか?。

 そこは電脳空間じゃ。

 お主はそこで『神々の遊び』の仕組みを作るのじゃ。》

 「仕組み?。」

 《それがお主の望みじゃろ?。》

 「ちげーよ。

 って言うのも今更か。

 わかったよ、行き掛かり上その『神々の遊び』とやらを作ろう。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 「ところでジジイ。」

 「なんじゃ?。」

 「アンタ誰だ!?。」

 「ワシは電脳空間での『玄武』の姿じゃよ。

 電脳空間では、ワシら神々は生身の身体とは別に『電脳体』を持っておるんじゃ。

 そこでワシらは仮の身体で好き勝手遊ぶ訳じゃ。

 『電脳体』が傷ついても、本体は何ともないからな。」

 「つまり電脳体なら無茶な遊びが出来るって事だな?。

 その『無茶な遊び』を考えろ、と。

 参考までに聞かせてくれ。

 『電脳空間』にはどんな『神々の遊び』があるんだ?。」

 「そうじゃな・・・。

 『天地創造』とか。

 『電脳空間』に住む仮想の人間の世界に火山大噴火とか、隕石落下とか大津波とか大災害を起こして人間の集落が滅びる様を観察するんじゃ。」

 「とびきり下衆な遊びだな。」

 「遊びというだけじゃなく、シミュレーターにもなっているんじゃ。

 しかも電脳体をいくら傷つけても殺しても『電脳空間』だけの話じゃしな。

 お前は『下衆な遊び』と言ったが電脳空間があるから暇潰し感覚でほぼ人類を壊滅させるような神々が最近出て来ないんじゃ。

 『電脳空間』が出来る前は『終末の日』とか言って軽い気分で大洪水を人間界で起こしたりしていたからな。

 お前も知っていよう?。

 『ノアの方舟』とか・・・。」

 「そうは言っても『人を殺して楽しむ』って趣味悪いぜ。

 もっとアットホームに楽しめる遊びじゃダメなのか?。」

 「例えば?。」

 「『人生ゲーム』みたいな双六はどうだ?。

 電脳空間で起こった事はリアルには影響ないなら、実際に人生を追体験出来るっておもしろそうだな。」

 「イマイチイメージ湧かんな。」

 「説明するよりテストプレイに参加してよ。

 俺も参加しながら説明するからさ。」 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 「ルールは簡単。

 家族でも遊べるような双六ゲームだ。」

 「スゴロク?。

 何だ、それは?。」

 「知らないのか。

 昔からある遊びだと思ったが。

 取り敢えず試しに俺とやって見よう。

 ゲームの内容は『人間の生まれてから歳をとるまで』だ。

 死ぬまでじゃない。

 そこまでリアルじゃない。

 所詮は遊びだ。

 『介護疲れで寝込む、一回休み』とかそんな世知辛いマスはない。

 実際に電脳空間で赤ん坊になったり、歳をとったりしてゲームを進めるんだ。

 ルーレットを回すのもコマを進めるのも念力だ。

 じゃないと赤ん坊の時はルーレットも回せないし、コマも進められない・・・って、ゲームが成立しなくなる。

 会話は『念話』だな。

 アンタが俺の頭の中に声をかけてきたアレだ。

 『前回は大富豪を目指したから今回は気楽にフリーターになってみようかな?。』なんて楽しみ方が出来る訳だ。

 男だけ、女だけに影響するコマがある。

 出産マスとか。

 玉の輿マスとか。

 『ホストに入れあげる。100万円払って一回休み』なんてマスもある。

 逆に『キャバクラ嬢に入れあげる』なんてマスもある。

 男も女もいた方が、ワイワイ楽しい仕様になってるんだ。

 俺もアンタも男だから、今回のテストプレイでは俺が女やるよ。」

 「そんな事が出来るのか?。」

 「アンタが言ったんじゃないか。

 『電脳空間』で『電脳体』がどうなろうと『本体』には影響ないって。」

 「確かに言ったな。」

 「じゃあ問題ないな。

 アンタは男で、俺は女でプレイ開始だ!。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  ・

  ・

  ・

  ・

 「それじゃワシは大富豪を目指して一流大学を目指そうかのう。」

 「テストプレイなんだから、固いプレイしてどうすんだよ?。

 『想定外のプレイされた場合の穴』を探して、不具合を潰していくのがテストプレイだろ?。

 しょうがない。

 じゃあ俺は『アイドル』目指して高校中退する。」

 「その外見で『俺』は似合わんのう。」

 「そうか?。

 それは盲点だったな。

 このゲームは男が女をプレイ、女が男をプレイする事も多いだろう。

 違和感があまりに強いのも考えものだな。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 「それはともかく」

 「ゲーム中に何だ?。」

 「確かに『電脳空間』で『電脳体』に何があっても『本体』には何の影響もない。

 じゃが『電脳空間』に『本体』で入った場合、おそらく本体に影響はあるぞ。」

 「どういう事だ?。」

 「つまり、今のお主の状態なら『本体』に影響はきっとあるぞ。

 だってその身体、『本体』じゃろ?。

 お主『電脳体』を作った記憶はあるか?。」

 「・・・ない。」

 「つまりは『電脳空間』に『本体』で入ってきていたんじゃな。

 ということはこの遊戯で歳をとったら、お主は『死ぬ寸前』と言うことじゃ。

 それは『電脳空間』から出てもその状態は変わらない。」

 「ゲームを途中で棄権する!!。」

 「途中で止められるのか?。」

 「緊急の場合のため、途中で止められるようにはなっている。

 だが『荒らし対策』として一度途中で止めた人は二度とゲームに参加出来ない。

 しょうがない。

 このゲームの終了時のプレイヤーの年齢は定年後、つまり65歳だ。

 最後までテストプレイをしていたら俺は65歳だ。

 俺の年齢は高校中退した歳だから・・・。

 17歳か。

 随分若返っちまったけど、65歳よりはマシだ。」

 「それよりその見た目で『俺』は似合わないのう。」

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