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繁殖編

 「放っておいたらどんどん増えちゃうわよ。

 そんなに面倒見きれないでしょ?。

 何も『去勢』しようって訳じゃないんだから。

 この子の種類は一回の繁殖で大体一匹しか子供産まないし、繁殖のサイクルも大体一年弱に一回くらいだから、爆発的に増える訳じゃないみたいだし。

 だから放っておいてもネズミ算式に増えるって事はないのよ?。

 ただね、この子達は鶏と同じなの。

 雌はいればいただけ子孫を残せるんだけど、雌100匹に対して優れた遺伝子を持っている雄5匹もいれば充分なのよ。

 あんまり少なすぎても血が濃くなりすぎちゃうんだけどね。

 元々愛玩用の個体は雄雌産み分けが完璧にされてて、雄は滅多に産まれないんだけどね。

 あなたが今回拾ってきたこの子みたいな野良の子は産み分けがされてないから雄が多いのよ。

 しかもこの子、もう繁殖行為出来る成体よ?。

 ね?、飼っても良いからママの言う通りにしましょう?。

 それがこの子のためなのよ?。」


 西暦2257年3月8日、人類は異星人の侵略をうけた。

 人類も抵抗を試みた。

 人類の抵抗は蟻の巣に水を流し込まれた蟻が苦し紛れで噛みつこうとしているのに似ていた。

 程なく地球は異星人の手に落ちた。

 異星人は地球人と全く交渉を行わなかった。

 そして地球人を愛玩用の動物として飼い始めた。


 俺はレジスタンスの一人だ。

 「絶対に異星人を地球から追い出してみせる」そう心に決めている。

 ・・・と、言っても先ずは異星人の弱点をみつけなくてはならない。

 今のところ、科学力でも武力でも異星人に勝てる要素はない。

 ないからこそ、地球は2ヶ月弱で完全に異星人の手に落ちたのだ。

 今日も危険を承知で異星人の棲み家に偵察に向かう。


 人間は異星人の膝ほどまでしか身長がない。

 なので異星人の作った物は大きく、身を隠す場所が沢山ある。

 俺は異星人が物入れにしたであろう筒状の容器の中に身を隠した。

 何かが近くを通る。

 俺は筒状の容器の中に身を潜めたつもりで『カタン』と小さな音をたててしまった。

 異星人が容器の中を見る。

 そこで容器の中に隠れている俺と異星人が目が合う。

 異星人にしては小さい、子供だ。

 少女のようだ。

 異星人の少女はしばらく俺を観察すると、筒状の容器のフタを閉じ、そのまま容器を自分の家に持って帰った。


 捕まった。

 泣き言を言っていてもしょうがない。

 容器が再び開く瞬間が必ず来る。

 その時にこのナイフであの子供を刺して逃げよう。


 その瞬間は程なく訪れた。

 容器は開いた。

 俺は異星人の少女の腕にナイフを突き立てた。

 少女のリアクションは蚊にさされたようだった。

 俺からナイフを取り上げると、ナイフを突き立てられた部分をボリボリと掻いていた。


 そして少女は母親らしき大きな異星人を連れてきた。

 母親らしき異星人は少女らしき異星人を何か説得しているようだ。

 しかし俺には異星人の言葉は理解出来ない。

 少女らしき異星人は母親らしき異星人の説得に応じたようだ。


 「このまま飼ってても辛いだけだもんね。

 この子の幸せのためだもんね。

 沢山子供産んで幸せになるんだよ!。」


 この親子が何を言っているのかはわからないけれど、俺の事を言っているのは視線をみればわかる。



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