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タイムマシン編

 ウチの爺ちゃんは民謡太鼓の師匠をしていた。

 俺はゲームヲタクだ。

 よくいるネットゲームヲタクじゃない。

 ゲーセンヲタクだ。

 ゲーセンで対戦ゲームをするのが好きだ。

 爺ちゃんはゲーセンには理解がある。

 昔、爺ちゃんを連れてゲーセンに行った事がある。

 爺ちゃんは『太鼓の仙人』という対戦ゲームに心を奪われた。

 本物の太鼓を叩かせて爺ちゃんに敵うヤツはいない。

 でも、ゲームでの太鼓の叩き方は爺ちゃんより上手い人が何人もいた。

 普通の老人なら『所詮ゲームで負けても』と言うだろうが、ウチの爺ちゃんは「消えようとしてる日本文化にこんなに多くの若者が関心を持ってるんだ。ワシが無関心でいる訳にはいかない」とゲーセンで1位の腕前になった。


 そんな爺ちゃんが「ワシも引退しようと思う。」と言い出した。

 詳しく話を聞いてみると、爺ちゃんにスカウトされてゲーセンで若者が何人も民謡太鼓のお弟子さんになったらしい。

 その中には爺ちゃんが「この人になら民謡太鼓界の未来を任せても良い」という人もいるという。


 「いつまでも『老害』がでしゃばっちゃダメじゃろ。

 潔く引退しなきゃダメだ。」と爺ちゃんは思ったという。


 俺にとってはいつまでもカッコいい爺ちゃんでいて欲しい。

 引退して欲しくない。


 でもこれは『民謡太鼓界』の未来が関わる事で、無関係の俺が口を挟んで良い事とは思えない。


 「へえ、そうか・・・引退するのか・・・」寂しさを噛み締めながら俺は言う。


 「お前、裏山の敷地と三階建てのプレハブ小屋使うか?。」と爺ちゃん。

 「え?使う使う」と咄嗟に俺。

 ・・・と言ってもプレハブ小屋を何に使えば良いのかわからない。

 とりあえず、俺らヲタク仲間のたまり場にしよう。

 非ヲタクは一口に『ヲタク』と言うが、ヲタクの種類は多岐に別れている。

 コイツらは間違いなくヲタクで俺の友達だが、俺と同じゲームヲタクは一人もいない。

 俺は高校の授業が終わるとヲタク仲間達とたまり場であるプレハブ小屋の一室でゲームをして過ごしていた。

 仲間達も各々、好きに過ごしていたが特に干渉しなかった。


 ある日、大雨が降った。

 爺ちゃんに「雨漏りしてるかも知らんな。一応全部の部屋を確認した方が良いぞ。」と言われ「面倒くせーなー・・・」と文句を言いながら、全部の部屋の雨漏りを確認した。


 いや仲間に「この部屋は使っちゃダメだ」なんて言った部屋は一部屋も、一ヶ所もない。

 でも仲間達がプレハブを端から端まで使っていたとは思わなかった。

 二階のお座敷になっていたスペースにはカーペットが敷かれ、ドリフトラジコン用のコースが作られている。

 こんな事をするのはラジコンヲタクの(リュウ)しかいない。

 ラジコンコースの周りはジオラマが作られていてプラモデルが飾られている。

 こんな事をするのはプラモヲタクの(ケン)しかいない。

 場所は取り合いのようだ。

 ジオラマを作りたがっているのは(ケン)だけではない。

 隣の部屋でジオラマを作りエヌゲージを走らせているヤツがいた。

 鉄道模型ヲタクの(キョウ)だ。

 場所の取り合いは静かに激しく行われているらしく、鉄道模型ヲタクの作ったジオラマの片隅では、プラモヲタクの(ケン)が初号機を暴走させていた。


 余りにも仲間達が好き勝手にしすぎている。

 本当にこれで良いんだろうか?。

 俺は爺ちゃんに聞いてみた。


 「別に好きにすりゃ良い。

 でもあんまり今から金を使うのは感心しない。

 あのプレハブはもうボロボロだ。

 修繕してこれからちゃんと使おうとしたらとんでもない金がかかる。

 今からあまり金をかけるな。

 無駄な出費になるぞ。」と爺ちゃん。

 爺ちゃんの言っていた事はほどなく本当になった。

 

 プレハブが雨漏りしたのだ。

 そして小屋全体が漏電した。

 漏電遮断器のブレーカーを落として部屋の一部の電気を消しておくだけでプレハブ全体の電気を使えなくなった訳ではなかった。

 でも修繕しないと段々このプレハブは傷んでいき、最後には使用不可能になる。

 それに漏電して火事になり延焼して母屋まで燃えたら家族に申し訳が立たないし、「プレハブを使って良い」と俺に言った爺ちゃんに面目が立たない。


 このまま少しずつプレハブは使えなくなるんだろうか?。


 俺は同じゲームヲタクの(ジョー)に相談した。

 (ジョー)はスマホで撮影した、プレハブを見た。

 そして言った。

 「何で俺に一枚噛ませないんだ!?」と。

 「噛ませようかとも思った。

 でも爺ちゃんが言うには、もうプレハブで遊ばない方が良いらしいんだ。」と俺。


 「確かに今からプレハブの修繕をしようと思っても費用は莫大で学生の手に負えるモノじゃないだろう。

 だから、ネットの力を借りるんだ。」と(ジョー)


 次の日、(ジョー)はパワーポイントに資料をまとめてきた。


 『プレハブ再建計画』

 ①クラウドファンディングで資金を集める。

  出来るだけ、ジオラマやプラモデル、ラジコンコースを魅力的に魅せる動画を作る。

 ②動画サイトで動画を発表する。そしてその動画を収益化する。

 ③電気や建築に強い新たな仲間を作る。


 「そう上手くいくだろうか?。

 何か大袈裟な事にならないか?。」俺の心配を余所に『プレハブ再建計画』は動き出した。


 仲間達が作ったジオラマやレースコースやプラモデルはネットで瞬く間に評判になった。

 そして「それらがプレハブの老朽化でピンチだ」という事は瞬く間に拡散された。

 クラウドファンディングで集めようとした金額は百万円。

 しかし最終的に集まった金額は五百万円。

 だけでなく、電気設備に詳しい人達が新しく仲間になった。

 それだけでなく、建設関係に詳しい人達も新しく仲間に加わった。

 それ以外に思わぬところで仲間が増えた。

 俺は実際にロボットが作れるヲタクがいるとは思わなかった。

 そう言えば『ロボット甲子園』とか言って、ロボット作りに青春をかけている人もいるんだっけ。

 そして、建築部門が出来た事で、ラジコンのレースコースはカーペットのモノだけじゃなく、オフロードのものや、アスファルトのモノが出来た。


 これが有限会社太鼓部屋の出来るまでの大体の歴史になる。


 太鼓部屋の最初は学生の遊びだった。


 しかしその遊びがあまりに魅力的だったので、後の才能を集める事になる。


 一人のロボット製作者が二足歩行ロボットを作る。

 その二足歩行ロボットを一人のラジコン製作者がラジコンにする。

 ついでに身体のそこらじゅうにタイヤをつけてタイヤで早く走るようにする。

 因みにこのアイデアはボトムズのパクり。

 このロボット同士を闘わせてみたら面白いんじゃない?。


 そう思いついて、どうプレゼンしようか?・・・なんて考えていた昼飯時、突然目の前にドラム式洗濯機のオバケみたいな機械があらわれた。


 洗濯機のオバケみたいな機械の中から現れた男はしきりに何かを確認している。

 

 「今日の昼飯の前、お前は人類を絶滅寸前まで追い込む二足歩行ロボットのアイデアを思いつく。

 ・・・が、俺のタイムマシンがトラブって到着が五分ほど遅れてしまった。

 もう二足歩行ロボットのアイデアは思いついてしまったか?。」と突然現れた男。

 「はい、たった今思いつきました。」と俺。

 頭をかかえる男。

 「今、この男にアイデアの口止めをしても、コイツの子供があらゆる手段でアイデアを盗み出し、人類を破滅に導く・・・と、未来のスーパーコンピューターは言っている。

 どうする?。

 今、この男を殺すか?。

 でもこの男、人類を救う発明もしていて、今、殺す訳にはいかない。

 そうだ!。

 コイツとコイツの妻の間に子供が産まれなければ問題はないはずだ!。」

 プシュン!。

 麻酔銃?。

 とにかく俺は撃たれたようだ。


 俺は目を覚ました。

 男は言う。

 「お前がある女との間に『悪魔の子』を作る可能性はなくなった。」

 「生殖器官を取ったのか!?。」と俺。

 「いや、生殖行為は普通に行える」

 どういう事だ?。

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