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夢編

最近よく寝ている。


疲れているんだろうか?


仕事が休みの日には起きたら夕方などという事は珍しくない。


そしてよく夢を見る。


悪夢ではない。


その夢を見た後、体がスッキリしている・・・スッキリしているのは睡眠時間が充分すぎるせいかも知れないが。


その夢に俺は全く登場しない。


でも三人称の視点、という訳ではない。


「一人称が俺ではない」のだ。


俺は知らない人になり夢の世界で生活を送る。


「生活を送る」と言ったが、夢に物語性は全くない。


俺は夢の登場人物の日常生活を送っているのだ。


最近夢の中で生活している時間が長くなってきた。


夢の中の俺は大学生だ。


妙にリアルな夢で早起きしたくないから一時限目の授業は受講していない。


ワンルームマンションに独り暮らしだ。


マンションと言っても学生の独り暮らしだ。


ロフトがついているのがお洒落っぽいが、そこらへんのアパートと遜色ない。


仕送りはあるが、それでは足りずコンビニでアルバイトしながら大学に通っている。


学生街にワンルームマンションはある。


多くは望まない。


でも困った事にマンションの隣にお洒落なオープンカフェが出来た。


カフェテラスは下宿先の部屋のトイレの前なのだ。


友人は「後から出来たんだから気を使うのは向こうの方だ。


堂々としていれば良い」と言うけれど他人事だから言えるのだ。


オープンカフェに来たお客さんが「ねえ、何かうんこの臭いがしない?」と騒ぎ出した時に「先に住んでいたのは自分だ」と堂々出来るはずがない。


「自分は悪くない」とかそんな話ではなく、他人にうんこの臭いなんて嗅がれたくないのだ。


あまりに明晰夢すぎる。


だいたい夢の内容はハッキリしない物だ。


夢の内容の辻褄が合っている。


少し怖くなってくる。


この夢は一体何だろうか?


思い立ってネットでワンルームマンションの住所を検索してみる。


予想では「夢の内容はフィクションだからそんな地名は存在しない」と思っていた。


その地名が存在するだけではない。


もしかしたら頭のどこかで聞いた事がある地名なのかも知れない。


だが、夢と一致したのは地名だけではない。


ワンルームマンションが実在するのだ。


部屋に夢の人物が住んでいるんだろうか?


さすがにそこまではネットでは調べられなかった。


そりゃそうか。


ネットでそこまで細かく個人情報が調べられる訳がない。


ここから先、調べたければ自分の足で情報を稼ぐしかないか。


しかしこれ以上踏み込むべきではないと俺の本能が告げている。


これ以上深入りすべきではない。


根拠はないが夢から戻って来れなくなりそうだ。


俺はパソコンの電源を落として眠りについた。




・・・またあの夢だ。




私は目を醒ました。


私は夢の中で会社員だ。


特に夢には物語性はない。


私はベッドから起きた。


血圧が低く朝は得意ではない。


大学でもあまり午前中の講義を取ってはいない。


だが、今朝は意図して早起きした。


恋人が出来た。


相手はコンビニのバイトの先輩だ。


ダメで元々で昨日の私のバイト上がりで先輩のバイト入りの時間に「好きです、付き合って下さい」と告白した。


先輩を好きな人は同じバイトでも三人はいて、コンビニの客にも先輩を好きだろう人は見た感じ何人かはいた。


競争率は高い。


恋人になれる可能性は低い。


でも告白しないと低い可能性すらない。


私は玉砕覚悟で告白した。


まさか先輩がOKをくれるとは思っていなかった。


先輩とは違う大学に通ってはいるが同じ学生街に住んでいる。


学生街には近くに沢山の大学があるのだ。


私は恋人に嫌われない為に規則正しい生活を始めるつもりだ。


連絡をしても恋人が寝呆けていたら、百年の恋も醒めてしまう可能性がある。


来年からは午前中の授業も受講しよう。


そうすれば早起きせざるを得ない。


それに先輩のコンビニバイトはほとんどが夜勤だ。


「バイトお疲れ様」「大学行ってきます」の電話連絡は起きていないと出来ない。


私は「慣れておかないと」と授業もない大学に朝から出掛ける事にした。


大学には朝から授業を受けていた級友がいた。


「昨日ラインで『恋人が出来た』って言ってたのどうゆー事?


洗いざらい話してよ?」


「アンタ、私らと同じ女子大生でしよ?


どこで男つかまえたのよ!」


私は級友達にもみくちゃにされる。





今が一番楽しい。


今が一番幸せだ。



ふと思う。


これは誰かが見ている夢なんじゃないだろうか?


すべては幻なんじゃないだろうか?


どちらが現実なのか選ばなきゃいけないとしたら・・・。


私は迷わず『今』を選択する。


そう心の中で決めた瞬間に、上手く言えないが、一つの世界が消えたような気がした。

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