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学園祭編

 実は人気のメイド喫茶、女装メイド喫茶は学園祭の出し物として金銭がかかる。


 備品を揃えるのにも金がかかるが、例えば20人分メイド服をそろえるとしても、一着パーティーグッズのメイド服が約5000円として、10万円はかかる。


 女装の場合、ウィッグをそろえるのにさらに10万円かかる。


 メイド服を手縫いするのであればそこまで金はかからない・・・なんて事はない。


 ちゃんとしたゴスロリの服が5000円で作れる訳がない。


 パーティーグッズなどは紙やフェルトや化学繊維で出来ているのだ。


 材料費を抑えたところでメイド服を手縫いしたら人数分揃えたメイド服には8万円はかかるだろう。


しかもゴスロリ服の手縫いの期間は学園祭の出し物が決まった一月足らず前の話だ。


1ヶ月も手縫いの期間がなくゴスロリの服が縫える訳もなく縫おうとしたら「お前、コスプレなめてんのか?」とコスプレイヤーに言われてしまうだろう。


 メイド服にかかる経費は飲食にかかる経費と、内装にかかる費用は別だ。


 メイド喫茶が、実は密かに生徒の費用負担でお化け屋敷をやるクラスの100倍の経費がかかるなどという事は担任だった俺は

知らなかった。


その事を知ったのは中学生である姪っ子のクラスの出し物であるメイド喫茶の個人の費用負担を知ってからだ。


「何これ?


一人三万円?


学校から補助金出てるんじゃないの?」


「学校からの補助金でお金足りる訳ないじゃん!


学校側って、生徒が自腹切ってるの黙認して『メイド喫茶がどうしてもやりたい!』って気持ちを汲んでるんじゃないの?


本気で補助金内でやりくりしてると思ってるんだ・・・」


喫茶店でありながら、乳製品は保健所の指導で出せない。


つまりケーキの類は出せないし、飲み物でミルクの類の物は出せない。


金銭が異様にかかるのに本格的な喫茶店は出来ない。


雰囲気だけ楽しもうとメイド喫茶に流れるのは必然だったのだ。


生徒達がメイド喫茶にこだわる理由がようやく見えた。


でも担任として生徒の費用負担は黙認出来ない。


アルバイトしている者ばかりではないし、家が裕福でない生徒もいる。


俺は過去に喫茶店、メイド喫茶をした卒業生を巡り、使えそうなメイド服、喫茶店の備品類をかき集めた。


必死で新任の教師がメイド服を探す姿を見て何かを感じたのか、家政部が古くほつれているメイド服の手直しやサイズ合せを申し出てくれた。


もちろん家政部も学園祭に出展するので、手直しに参加するのはまだ学園祭には出展出来ない一年生だけだが。


「メイド服や備品類を個人で買うのは認めない。


その代わりそれらは俺が揃える」


そうは言ってたものの実はこっそり自腹を切ってメイド服や備品類を揃えようと思っていた。


メイド服は予定の20着を越え、40着以上揃った。


つまり男女全ての生徒のメイド服が揃ったのだ。


ウィッグもかき集めた物と、演劇部から借りる物とで新たに買い足す必要はない。


「メイド服も余分にあるし、もちろん先生もメイド服着るんだよね~?」クラスのムードメーカーである女子が言う。


しょうがない、ここでメイド服を着る事を拒否出来る程俺は場の空気をぶったぎれない。


段ボールの中から着れそうなメイド服を物色する。


「あ『着れそうなメイド服がないから俺は着ない』は無しね。


着れなかったら家政部にサイズ直し頼むから。


先生は『このメイド服が着たい』と言ってくれれば良いんだよ」


・・・俺の行動が読まれている。


大学時代、座興で女装した事もある。


別に女装をする事を拒絶している訳ではない。


しかし学園祭当日に女装するという事は、生徒の父兄やPTA役員の前で女装すると言う事で後で学園長に呼ばれてグチグチと言われる可能性が高い。


俺はメイド服の中で一番小さそうな物を選ぶ事にした。


「手直ししようとしたけど、先生のサイズにはならなかったよ。


もう学園祭まで時間もないし先生の着れるメイド服準備出来ないよ」という展開が理想だ。


ちょっと待て・・・こんなメイド服あったっけ?


他のメイド服がパーティーグッズの域を出ないのに対し、このメイド服だけデザインも縫製もしっかりしている。


まぁいいか、「じゃあこれにする」と俺はそのメイド服を選んだ。


「そのメイド服は男が着るより女の子が着た方が良いと思うんだけど・・・まぁいいか、それ先生着てみようよ!」


着るったって、大きく開いた肩が特徴のメイド服なんで頭は通るだろうけど・・・頭以外どこも通らないだろうし、肩から下を通らないメイド服はマフラーみたいに首まわりにたまるしかないだろう。


こいつら・・・それがわかってて俺を笑おうとしてるだろ。


でも俺にじゃれついてくる生徒達っていうのは、俺を慕ってくれているんだろうな。


まぁいいか、メイド服を首からかけて笑われてやろう。


きっと男女を問わずメイド服姿になりたくない子がいるだろう。


そんな子が俺のメイド服姿を見て、態度を軟化させるかも知れない。


俺は勢いをつけてメイド服を被った。


「サイズピッタリ・・・丈も胸も腰回りも・・・」


胸?

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