デパート編
「いらっしゃいませ」
「浴衣を新調しようと思うんだけど・・・」
「はい、わかりました。
では、こんな生地はいかがですか?」
「?実物はないんですか?
試着は出来ないんですか?」
「最近導入されたばかりの技術なんですが、浴衣に身体のサイズを合わせる事が出来るようになったんです。
もうかつてのような『この浴衣、欲しいけどサイズがない』なんて泣かなくても良くなったんです」
「形状記憶布の技術もそこまで発達したのか!
かつて形状記憶布で出来たYシャツなんてあったけど、あれはアイロンかけないでもちゃんと折り目を覚えてるってだけだったのに。
今は浴衣が持主の体系を記憶してその形に固定されるんだな!」
「そういう技術も一部、導入されています。
しかし更にハイテク技術も導入されています。
今までにも『胸が大きくなる下着』『足のラインが綺麗になるストッキング』『姿勢の良く見える服』など、着る事で容姿の変化がある衣服はありました。
その技術の進化系だと思って下さい。
少し大袈裟ですが、今の浴衣はあなたのお望みの体系になる事が出来るのです。
なので置いてある浴衣が『あなたの体格に合うか』みる行為は無意味なのです」
「へぇ~!じゃあ俺が『ムキムキマッチョになりたい』って言ったらなれるの?」
「はい、技術的には可能でございます。
でも『筋肉質になりたい』という要望はあまりないですね」
「アハハハ・・・そりゃそうだろう。
ボディービルダーみたいな肉体になりたい男もあんまりいないし、女性もあんまり『ムキムキの男が好み』って人いないからね」
「お客様のお望みの体系になれる・・・という訳でございます。
では早速ではございますが、お客様のお望みの体系をお聞かせ下さい」
「ちょっと待って!
俺、そんなオーダーメイドの浴衣作れるほど金持ってないよ。
しかもそんな新技術満載の最新の浴衣・・・散々話を聞かせてもらっといて申し訳ないけど、俺は吊しの既製品の安物でかまわないよ」
「説明が不足していましたね。
最近導入されたばかりの技術にはまだまだモニターが足りません。
あなた様がモニターになってくださると言うのであれば、浴衣は無料で提供させていただきます」
「無料!?
やるやる!
新作の浴衣着るだけでしょ?」
「では、いくつか『はい』か『いいえ』を選ぶ質問に答えて下さい。
『あなたは華やかな色柄よりシックな色柄の浴衣の方が好きだ』」
「自分で着るならシックなほうが良いけど、女の子の浴衣は華やかな柄のほうが良いかな?答えは『いいえ』だね」
「『女性の肉体はあまり肉質的でない方が好みだ』」
「これは声を大にして言いたいね。
『男は巨乳好きってのは偏見でそうじゃない人も多いし、巨乳を名乗ってる女性の中にはふくよかな方も多い』・・・答えは『はい』だね。
スレンダーな女性に魅力を感じる、俺みたいな男ってけっこう多いと思うよ?」
「質問は以上でございます。
ありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして・・・でも好きな体格を選べるんじゃないの?
女性に『どういうプロポーションになりたいですか?』とか、この手の質問ってもうしなくても良いんじゃないの?」
「いえ、選べるからこそ事前に聞いておかなくてはならないんですよ」
「なるほど。
どんな体系になりたいか決めていないし、わからない女性に対して『モニターをやっていた男性達の女性の体格の好みは・・・』ってアドバイスする訳だな」
「ではモニターとして、この浴衣の着心地などを聞かせてくださいね。
本日は女性用浴衣売場へお越しいただき誠にありがとうございました」




