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刑場編

遥か昔、天皇が譲位し元号が変わった。


「元号が変わる前に、平成に刑が確定している死刑囚には平成の内に死刑を執行しよう」と元号が変わる前年に駆け込みで十人以上の死刑執行が行われたという。


死刑制度の是非には様々な意見があるだろう。


「死刑は犯罪の抑止力になるのか?」なんてナンセンスな議論が何度も重ねられてきた。


答えは出ない、出る訳がない。


子供でもわかる、「抑止力になるかどうかは、その人による」


「死刑になりたくない、死にたくない」と言う人間は一定数いるだろう。


だが、逆に「死刑になりたいから重罪を犯す」という犯罪者も少数ではあるがいるだろう。


現状「抑止力になる場合が多いから、死刑制度には意味がある場合が多い」という事で、死刑は認められているのだ。


死刑が無意味なケース、死刑制度が害になるケース、例外をあげて「死刑反対!」などと言っていると「アホ」「人権派弁護士」などと言われてしまう。



それより後、天皇が譲位し元号が変わる前に死刑執行が駆け込みで行われる事が通常化した。


しょうがない、元号を跨ぐと多くの刑に『恩赦』が与えられる。


あまり多くの死刑執行を恩赦で取り消しにしないためにも、旧元号の内に死刑を執行するしかないのだ。


だが「死刑執行が犯罪と別の要因で行われるのは如何なものか」という話は大議論になった。


「元々、犯罪に政治的要因が絡む事はしばしばあったじゃん。


政治犯である重罪外国人が政治取引で無罪放免されるのはよくある事だろ?


刑と別の要因が絡むのは遥か昔から日常化していたんじゃねーか?


今さら何を綺麗事を言っているんだ?」と法律の専門家達は言ったが、民衆は綺麗事を求める物なのだ。




死刑のみならず刑の執行に理解を得ようと、法務省は刑場を一般公開した。






「何でここには三つボタンが並んでいるんですか?」


「その三つのボタンのどれかを押せば死刑囚の足元の床が外れて絞首刑が行われます。


その三つのボタンは一人一つのボタンを同時に刑場の職員が押します。


つまり誰が押したボタンで死刑が執行されたのかわからない仕組みになっているんです。


こうして刑場の職員の死刑の心理的負担を軽減しているんです。」




「この部屋は何ですか?」


「ここから先には行くな、と言ったはずです」


「答えて下さい!


これはガス室ではないですか!?


アウシュビッツ強制収容所以降、ガス室の使用は保健所など動物には例外的に認められていますが、人間相手には人道上の理由で使用を禁じられているはずです!」


「我々は致死性の殺人ガスは一切使用していません。


それにここで使うガスには痛み、苦しみは一切ありません。


それにここは死刑囚の刑場ではありません。


ここは『被害女性のかわりに罪を償い生きていきたい』と裁判で宣誓を立てた男性専用の刑場です。」


「信用出来ませんね。


もしこの部屋が死刑執行のための設備でないなら、俺にその刑を執行してみてください。


本当にその刑に痛みも苦しみもないのか・・・俺がジャーナリストとしてこの刑場で行われている非人道的行為を暴いてやる!」


・・・てそれは何ですか?」


「あなたの着替えですよ。


部屋から出た後、あなたは今着ている服はサイズが大きすぎて着れなくなってしまう」


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