表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/13

エンディング

 あれから、1週間が経過しました。

無事に家賃は回収でき、アパートの取り潰しは免れましたが、また次の月には同じピンチを迎えることになります。

先週は色々ありました。

彼らは、まだ夢見会館に住みたいと言ってくれるでしょうか。

そんな事を考えつつ、私はある場所を訪れました。


「ここですか……」


 都内の総合病院。

その2019号室に玲央さんはいます。

扉の横の名札を確認して、ノックをして中に入ると、既に芋洗さん、トーマスさんが見舞いに来ていました。


「あっ、山猫さんだべ」


 芋洗さんが私に気付き、手招きしてきます。

ベッドには、玲央さん。

体を半分起こして、こちらに向き直ります。


「容態はいかがですか?」


「ケガの方は大丈夫す。 心配させてすんません」


「全く…… 何であんな無茶をしたんですか」

  

 玲央さんは顔を伏せて、あの時は、と語り始めました。


「夢が潰えて、どーにでもなれ、みたいな気持ちもあったんじゃねーかな。 だから、あんなことが出来たんだと思う」


 それでも、投げやりは良くありません。


「嫌な事があっても、カッとなってはダメですよ」


「……はい」

 

 しばらく沈黙した後、それを芋洗さんが破りました。


「山猫さん、さっきみんなで話してたんだべ。 山猫さんにはわりーけど、私ら、アパートさ出てこうと思うんだわ」


 やはり、そう来ましたか。

みなさん、故郷があります。

夢を追う気力が萎えれば、そうなるだろうと予感はしていましたが……


「……」


 さて、どうやって引き取めましょうか。

私は、こめかみを指でグリグリ押して、一休さんばりに知恵を絞ります。

そして、ある質問を投げかけました。


「みなさんは、今まで住んでいた町を、どう思いますか?」


「町、デスカ。 ワタシハ、好キデスヨ」


「私も」


「俺も」


 出来れば、出て行きたくない。

そう思っているようですね。

それなら……


「この町の発展に、力を注いでみませんか?」


 私は、自分の考えをみんなに伝えました。

 







 病室を後にすると、腕を組んで壁にもたれた考古学者を見つけました。


「うまくやりよったな」


「……あなたはストーカーですか?」


 私の問を無視し、考古学者は話し始めます。


「この先、町にデパートやショッピングモールがどんどん進出してくる。 生活は便利になるけど、どの町も個性が無くて、おもんなくなる。 お前は、夢見会館のやつらにもっと町を盛り上げるよう言って、この町から出て行かないよう仕向けたわけや」


「彼らにはそういうことが向いていると、思っただけです」


 自分の住んでいる町には、どんな人にも愛着があるはずです。

他にやりたい事がないのなら、町の為に働くのも、面白いかも知れません。

私は、病室を後にしました。







 2019年。

玲央さんは現在、行列のできるラーメン屋を。

芋洗さんは、青森から取り寄せた野菜を売るスーパーを。

トーマスさんは英会話スクールを開きました。

夢見会館は老朽化により取り潰しになってしまいましたが、現在も私は、彼らの新しい城の管理人として、現役を貫いております。




おわり



終わりました!

感想、ダメ出しがあれば、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ