1話 部活動見学
俺は音楽が好きだ。
その世界にいる時に、俺は唯一の存在になれる。
だから俺、空町正樹は中学の部活は必ず吹奏楽に入ると決断していた。
学園モノは高校生だろというツッコミはスルーして。
俺は自分の音楽を高めたい。その一心だった。
…だがしかし、知っているだろうか。
吹奏楽の世界は女性が多い。
中学生ともなれば尚更だ。
「お前吹奏楽部に入るの?ハーレムじゃんうわーw」
「女子狙いとか無いわーw」
とまぁかなり煽られたが、中学生なんてそんなものかと流していた。俺の音楽に対する気持ちなんて誰にもわからない、と。
ただ自分もハーレム系のアニメとか観てたからあんな感じなのかなぁとか思っちゃったり、思わなかっり。
ただその吹奏楽部は評判が良いとは言えなかった。
県大会でも金賞を貰えている強豪校なのだが、1年で3分の1の部員が辞めてしまったり、顧問の先生がかなり怖いらしい。少し不安もあったがそれでも俺の決意は変わらなかった。
今日は初の部活動見学の日だ。明日から仮入部が始まるが、やはり見学もしたい。
友達はみな、野球部やサッカー部に行っていた。
少し緊張もあったが、音楽室についた時には吹っ切れていた。
「失礼します。見学希望の者です」
「いらっしぁあああい!!!!」
ふぇ!?なななんだ!?
「ねぇねぇ男の子だよ!やったぁ来てくれた!!」
「1番なんてやる気あるねぇ君ィ」
…まぁ友達とじゃないしな。みんな違うからな畜生。
「じゃあここ座ってね。時間になったら1曲演奏するから」
「分かりました」
それから10分で俺を含めた20人ほどが集まった。
その中には男が俺1人でかなり居づらい雰囲気だ。
「えーそれでは!みなさん今日は吹奏楽部の見学に来てくれてありがとう!部長の井上です!」
「副部長の神崎でーす」
あ、あの2人は最初に出迎えてくれた人だ。
「それでは早速演奏したいと思います!曲はsingsingsingです。どうぞ!」
…一言で言えば凄かった。
約2分間の演奏の中に個々の技術が詰まっていた演奏だった。全体の音色も合わさっていたし、ほぼ素人の俺でも分かる、圧巻の演奏と言える。
それからは楽器の説明と、顧問の先生の紹介だった。
「みなさんから素晴らしい演奏者が出ることを期待しています。どうぞ我が部へ入部してください!」
顧問の先生は音楽教諭でかなり熱心らしいな。
その日はこれで終わった。明日は俺の技術を披露できる。明日が楽しみだ。