OC 003話 始動
1941年12月○○日 『太平洋 某海域 大日本帝国海軍 連合艦隊旗艦大和』
「零式艦上観測機」、通称「ゼロ観」の出撃を命じた後、伏見宮連合艦隊司令長官は続けて命じる。
「神霊式兵術機構始動!」
「神霊式兵術機構を始動します!」
特殊技術部門の参謀が復唱し命令が通信参謀を介して通信士より全艦に伝えられる。
「全艦へ通達。神霊式兵術機構の作動を開始せよ!」
「了解、全艦へ通達、全艦へ通達、神霊式兵術機構作動開始、神霊式兵術機構作動開始!」
旗艦「大和」を含む艦隊全艦の特殊技術部門室では特殊というよりは怪しげな機械が静かな音を立て始め作動を開始する。
それを操作する何十人もの操作要員は緊張の色を見せながらも確実に操作をこなしていく。
「神霊式兵術機構作動開始します」
「艦内神社神霊術起動」
「霊脈炉接続」
「伊勢神社より霊脈波来ました」
「艦内神社霊脈圧力上昇」
「上昇続きます」
「七十、八十、九十、百に到達!」
「艦載機への霊脈派接続開始!」
「了解、接続開始します!」
「続けて霊式防壁展開開始!」
「了解、霊式防壁展開開始します」
「更に続けて霊式徹甲弾への霊脈波注入開始!」
「了解、続けて霊式徹甲弾への霊脈波注入を開始します」
「全神霊式兵術機構作動良好異常なし!」
艦内の特殊部門室に設置されている怪しげな装置がフル回転を始めていた。
そして艦体のあちらこちら立ち昇る黄金の粒子。
船首も砲塔も艦橋も後部甲板も全てが金色の粒子に包まれた。
まるで艦が立ち昇る金色の粒子の幕に包まれているかのような光景がそこにある。
それは艦隊に所属する全艦において同じ現象が発生していた。
その時だった。
偵察機機より報告が入る。
「偵察機より入電、敵艦隊発見! 戦艦9隻を含む大艦隊です!」
通信士官が声を張り上げた。
それを聞いた伏見宮連合艦隊司令長官はニタリと怪しげな笑みを浮かべると幕僚達に声をかける。
「さぁ行こうか諸君! 運命の導きを信じて!」
「「「「「はっ」」」」」
大日本帝国海軍連合艦隊は一路、宿敵アメリカ太平洋艦隊に針路を向ける。
戦いの時迫る。
果たして神霊式兵術機構とは何なのか。
その正体が明かされる時は近い……
【to be continued】