OC 002話 ゼロ発進!
1941年12月○○日 『太平洋 某海域 大日本帝国海軍 連合艦隊旗艦大和』
「哨戒機より入電! 敵戦爆連合多数接近中!」
連合艦隊旗艦「大和」艦橋で通信参謀より報告を受けた伏見宮連合艦隊司令長官は、一つ頷くと重々しく命令を発する。
「ゼロを出せ」
「ゼロを出します!」
航空参謀が復唱し命令を通信担当士官に伝達する事により艦隊を構成する大型艦では慌ただしい動きが巻き起こった。
艦載機発進のブザー音が各艦で鳴り響き、甲板では飛行班によりゼロの発艦準備が慌ただしく行われる。
パイロットが愛機に駆け上り搭乗し発進準備を整えた。
そして「発艦せよ」の意味を持つドドメ色の旗が振られる度に一機ずつ出撃を開始した。
「ゼロ初号機、出る!」
「ゼロ弐号機、出るぞ!」
「ゼロ参号機、出ます!」
パイロット達が航空班に向かって敬礼し自機の出撃を告げて、真っ赤なスカーフを靡かせて、次々と大空へ飛び出していく。
カタパルトよりゼロがエンジン音を震わせ鋭い金属の擦過音を響かせて発艦していく。
「たのむぞぉーー」
「がんばれよぉーーー」
航空班の者もそれ以外の者も万感の思いを胸にゼロに声援を送り帽子を振って見送った。
ゼロ……エンジンカウルは真っ赤に塗装され銀色の翼には黄色いストライプが入っている複葉機。
それこそは「零式艦上観測機」、通称「ゼロ観」とも呼ばれる正式採用されてから1年と経っていない最新鋭機であった。
機体のカラーリングが、どこかの宇宙戦艦が搭載している戦闘機に似ているのは、きっと気のせい……
史実の搭乗員は白いマフラーなのに何故、このパイロット達は赤いスカーフなのか。どこかの宇宙戦艦のエンディングが思い浮かぶのはきっと気のせい……
と、いう事にしておこう。それが大人になるという事なのだ。
ゼロ達は飛び立ち大空に待ち受ける戦場に向かう。
今、大日本帝国海軍連合艦隊の空の守りは偏に彼らゼロの活躍にかかっていた……
【to be continued】