OC 001話 始まりの時来たる
1941年12月○○日 『太平洋 某海域』
どこまでも澄んだ青い空、のんびりと流れ行く白い雲、そして見渡す限りの水平線。
あぁ雄大な大自然。平和な大海原の姿がそこにある。
だが、しかし……
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
突如、のどかな大海原に悪の笑いが響き出す。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
その悪の哄笑を響かせている元凶は大海原を東から西へと航行する艦隊の中にいた。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
その艦隊が所属するのは 大・日・本・帝・国・海・軍 !
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
日清戦争で勝利し、また日露戦争でも倍する敵を葬り去り、第一次世界大戦でも勝者になった東洋の小国、神秘の国「大日本帝国」が有する常勝不敗の偉大な艦隊!!
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
その大日本帝国海軍の連合艦隊旗艦「大和」艦橋から太平洋に向けて悪の哄笑が響きわたっている。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
笑いがしつこい!
だが我慢しよう。笑っているのは可哀想な人なのだから。もう治り様がないくらい壊れているのかもしれないし。
「閣下、お時間です」
「ハハハハハハ、ハ ? ゴホン、うむ」
連合艦隊旗艦「大和」艦橋で仁王立ちとなり両手を腰に添え胸を反らして悪の高笑いをしていた伏見宮連合艦隊司令長官に冷静沈着な参謀長が声をかけた。
気持ちよく高笑いしていたところを止められ、ちょっとだけ不満そうな表情を見せたものの直ぐに表情を取り繕った伏見宮連合艦隊司令長官は、一つ咳をしてからマイクを握り深呼吸をおこなう。
その間に通信参謀が通信士官に指示を出す。
「全艦に通達、連合艦隊司令長官からの訓示を拝聴せよ」
「はっ、通達します。
全艦へ通達、全艦へ通達、
これより連合艦隊司令長官からの訓示が行われる。拝聴せよ。
繰り返す。これより連合艦隊司令長官からの訓示が行われる。拝聴せよ」
艦隊に属する全艦では通達を聞いた将兵達が配置場所で直立不動の体勢で臨み、連合艦隊司令長官のお言葉を一言も聞き漏らすまいと真剣な表情をしている。
「閣下どうぞ」
「うむっ、では始める。ゴホンッ」
通信参謀より促された伏見宮連合艦隊司令長官は、また一つ咳をするとおもむろに語りだした。
「陛下に忠勇なる帝国海軍の勇士たちよ!
奴らが来た!
悪逆非道なるアメリカ艦隊が、我らが祖国「大日本帝国」に迫っている!
敵艦隊は我らよりも遥かに優勢であり数に勝る。
普通なら未曾有の危機と言えよう。
だが、敢えて言おう!!
敵はへなちょこ艦隊であると!!
建国よりたかだか200年の歴史しかない、移民が造った誇るべき伝統もない、これまでに戦ったのは弱敵だけの、ろくな戦歴も無い、数が多いだけの三流国家の三流海軍であると!!
顧みて我らはどうか!
皇紀2600有余年の偉大なる歴史を紡いで来た伝統ある万世一系の至高の国家である!
そして帝国海軍は、日清、日露と常に強大な敵海軍を相手に戦い勝って来た常勝不敗の海軍である!
よいか! 戦いは数ではないぞ!
日露戦争の時も全世界が小国日本が大国ロシアに負けると言った。
大国ロシア相手に戦うのは無茶で無謀と笑われた。
だが勝ったのはどちらだ!
我が大日本帝国である!
例え圧倒的不利な状況にあろうとも、将兵の諦めない魂が、不屈の魂が、堅忍不抜の魂が勝利をもたらしたのだ!
諸君らはその漢達の血が流れているのだ!
先祖にできて諸君らにできない筈がない!
戦艦の数がどうとか、国力がどうとか、そんな事は些末な事に過ぎない!
戦争の勝敗を決するのは魂だ!
魂の強さだ!
我らに大和魂ある限り、帝国海軍に負けは無い!
将兵諸君!
日々、鍛えに鍛え最高の高みにまで極めし技量を軟弱な敵艦隊に見せつけてやれ!
本物の海戦のやり方をド三流の海軍に教えてやれ!
真の強者の強さを見せてやれ!
格の違いを見せてやれ!
遠慮はいらん! 正面から叩き潰し! 踏み潰し! ひねり潰し、蹂躙するのだ!
行くぞ諸君!!
我ら大日本帝国海軍連合艦隊! 面壁九年! 金城鉄壁!!
正義と大義は我にあり!!
全艦前へ!!」
「「「「「「「大日本帝国万歳! 万歳! 万々歳!!」」」」」」」
「「「「「「「天皇陛下万歳! 万歳! 万々歳!!」」」」」」」」
伏見宮連合艦隊司令長官の熱い訓示に、魂の叫びに、将兵達が歓呼の声で応える。
なぜ古代中国風の万歳斉唱なのかはツッこんではいけない。たぶん現代で「三国○」のドラマを見過ぎている誰かの趣味が反映されているのだろう。「みぞゆう」もきっと某総理大臣ネタに違いない。
悪趣味な連合艦隊司令長官である。
どれだけの時を過ごそうともオタクの業というものは消えないらしい。
だが、今はそんな事は関係ない。
決戦の時来たる!
闘志に猛る帝国海軍将兵を乗せた鋼鉄の艨艟達が太平洋の波を蹴立てて突き進んでゆく。
宿敵、アメリカ太平洋艦隊との激突の時は、直ぐそこまで迫っていた。
【to be continued】




