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気がついたら人魚

人魚の伝承

作者: あっしまー

昔、この世界に人間や亜人が仲良く暮らしていた頃。

1人のエルフの少年がいました。

エルフの少年は見目麗しく、誰からも好かれる心の優しい少年でした。


ある日、少年は薄汚れた格好をしたフードを被った少女を見かけました。

女の子は酷い怪我を負っていました。少年はすぐさま治癒魔法を使って怪我を治してやりました。

しかし、少女はお礼もいわず、


「余計なことをしないで!これがないと…誰にも構ってもらえないのに。」


と少年を責めました。少年は彼女を諭しました。


「そんなことはないよ。フードを外してお話すれば大丈夫だよ。」


「絶対嘘よ。フードを外せばあなたも優しくなんかなくなるわ。」


少女はおもむろにフードを外しました。その顔は魚のソレだったのです。

少年はそれでもニコニコを笑って言いました。


「やっと目をみてくれたね。」


その言葉は少女の心を開くには充分な言葉でした。

その日からエルフの少年と少女はたわいもない話をする様になりました。

徐々に少女の心の棘の様なものはなくなり、

少女の元々の可愛らしい気質を取り戻していきました。

そうして2人はいつしか互いに惹かれ合う様になっていました。


しかし、それをよく思わないものたちがいました。

少女の親である、海の神でした。なんと少女は女神だったのです。

海の神はエルフと恋に落ちた少女に怒り、女神の身から堕とし、

二度と会えぬ様にマーマンとして生活させることにしました。

少女を失ったエルフの少年は悲しみにくれました。

母神はあの姿の娘を愛してくれた少年を哀れに思い、失意の少年に教えてやりました。


「あの子は亜人となりました。会いたければ探しなさい。」


とだけ。


「エルフには永い時間があります。必ず彼女を見つけ出します。」


少年は少女を探し始めました。少年は青年となった頃、ようやく少女を見つけ出しました。

しかし、既に長い月日が経ち、彼女の寿命は尽きようとしていました。


「やっと、会えたのに…。」


青年は彼女を手を握って涙を流しました。彼女はうっすらと微笑むと煌く珠を創り出し、


「これにあなたの魔力を注いで。そうすれば、私たちの子どもが産まれるわ。」


青年は言われた通りに魔力を注ぐと、彼女は満足そうに笑って目を閉じました。

すると、煌く珠から激しい光が溢れだし、

中から見目麗しい顔をした、半身は魚の様なヒレのついた女の子が生まれました。


こうして人魚は産まれたのです。


読んでくださってありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして、アブラ水晶と申します。偶然見つけました作品ですが、すごく好みの作風でしたので、感想を書かせていただきました。 いいですね~。悲しくも美しい恋。こういうの好きです!
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