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町中の恋

作者: 琥珀

両親が離婚した

最近はいい合いが多かったので予想はしていた

私は父親のほうについていくことになった

家も売りとばしマンションにすむことになった

もちろん父は一緒に住むことはないので一人暮らしだ

寂しくないといえば嘘になる

兄弟もいない私は一人なのだから

学校にはたくさんの人がいる

だけど夜は1人だ

よなよな散歩に出かけた

特にコンビニは好きだった

24時間空いてるし誰か1人はいるから


「またきたのか?」


「お客様にそんな態度とっていいの?立花さん」


立花さんはこのコンビニで働く大学生で大抵夜にいくといる


「未成年なんだから夜に出歩くなよ

お前警戒心なさ過ぎだろ、この前も普通についていこうとしただろ」


以前このコンビニにきたとき二人の男に誘われた


「君かわいいね、そうだこれから遊びにいこうよ

カラオケとかなら夜遅くまで空いてるところもあるし金も出すよ」


「いいよ」


「直子、またきたのかよ

ったくもうすぐ終わるから奥で待っとけ

一緒に帰るぞ」


「ちょ、ちょっと・・・」


いきなりレジ員が腕を掴んできて店の奥に連れてかれた


「すいません、俺休憩もらいます」


「なに、立花君の彼女?かわいいね~」


「違いますよ、三橋さん、ただの知り合いです」


立花さんって言う人は休憩室とかかれた部屋まで連れてった


「まぁ座れば」


「ど、どうも

あ、あの私直子って名前じゃないんですけど」


「知ってる、ひとまずなんでもよかったんだよ

お前さぁ知らない奴についていくなよ

しかも高校生がこんな時間に出歩くな」


いきなり知らない人に説教された

それよりまず・・・


「な、んで私が高校生ってしってるの?

まさかストーカー?!」


「違うから、夕方にもきてるだろ

3人くらいで、その時制服だろーが」


「客の顔なんて覚えるなんて・・・

もしかして私狙われてた?!!」


「お前さぁ自信過剰すぎ、略してジカジョウな

だいたい夕方にやってきてギャーギャー騒いでるのは誰だよ

声デカすぎだろ」


「す、すいません」


確かに騒いでると自覚してるから申し訳ない


「なんでこんな夜中に出歩いてんだよ、お前襲われたいの?

てゆーか親とかなにもいわねーのかよ」


「・・・両親は私に興味ないんだよ

別に私は襲われたいわけじゃないの

ただ1人が嫌なの、誰でもいいから人の気配を感じていたい」


「なるほどね、お前の状況がだいぶわかったわ

でも夜は危ないからやめろ、わかったな?」


「分かってないっていったら??」


「学校側に連絡する」


「わかりました」


「素直でよろしい、ならほいこれ」


「ん?ココア??」


「これあげるからそろそろ帰れ、わかったな?

まっすぐ帰るんだぞ?!」


「子供扱いしないでほしいな

立花さんって何歳なの?」


「21だけど」


「3つしか変わんないじゃん」


「それでも俺は大人なの

子供は大人のいうことを聞きなさい」


「はいはい、バイバイおっさん」


「おっさんいうな!おにーさんだろ!!」


それからというもの頻繁にそのコンビニを訪れるようになった

立花さんは呆れながらもお客さんがいないときは話し相手になってくれるし途中まで送ってくれるようになり、夜は好きじゃなかったけど夜が楽しみになった

今日もコンビニにいく


「やぁ、いらっしゃい」


立花さんと同じ深夜のシフトにはいっている三橋さんとも仲がよくなった


「こんばんは、三橋さん」


「残念だけど今日は立花君シフト入ってないんだ」


「そ、うなんですか」


ガッカリしている自分がいる

この気持ちはなんなのだろう


「リーサちゃんって本当立花君のこと好きだよね

今ガッカリしてたでしょ」


「違いますよ、私は話し相手が欲しくてここにきてるだけです

だから誰でもいいんですよ」


リーサっていうのは私のあだ名だ

私がそう呼んでと頼んだ

だから私の名前なんか立花さんたちは知らない

そーいう仲なのだ、私達は

1歩コンビニをでたら赤の他人

だからケー番もしらないし、立花さんの名前もしらない

立花さんも私のことをなにもしらない

それが心地いいと思ってたのに今じゃ物足りない・・・


「でも立花君もリーサちゃんのこと好きだよね

まぁ恋愛に関してかはわからないけど」


「え?」


もともと立花君は夕方のシフトだったんだ

リーサちゃんを連れてきた日はたまたまシフトが深夜だったんだけどそっからシフトを深夜に入れてもらったんだよ」


「そーなんですか?!」


「うん、今でもできる限り深夜にいれてるしね

リーサちゃんが来ない日なんか心ここに有らずって感じだしね

来たときは嬉しそうにしてるし

あれ、これ言わないほうがいいやつだっけ?

まぁいいか、言ったものはしかたないし」


三橋さんのこーいう気にしない性格は好きだ


「すいません、今日は帰りますね」


「うん、気をつけてね、1人で帰れる?」


「大丈夫ですよ、また来ますね」


「待ってるよ」


三橋さんが笑っていってくれるので安心した

またここにきてもいいのだと

ここには私の居場所があると

店をあとにして家に帰るまで道を歩く

今11時30分だ

いつも11時から3時までバイトしている立花さんと話しているので今日はだいぶ帰りが早い

空を見上げると星が光っている

理由もわからず涙がでてきた


「なに泣いてんだよ」


「た、ちばなさん?!

どーして?今日はバイト休みなんじゃ・・・」


「休みだよ、休みだけどお前しらねーじゃん

もしかしたらお前コンビニくるかもしれねーし

そーおもったらいてもたってもいられなくて

今コンビニに向かおうとしていた所

しょうがねーだろ!

なにかあったらと思うと心配で心配で夜も寝られないし

お前自分のことに関しては無関心だし」


「立花さんって心配症だよね」


「お前がそんなんだからだろ!」


「ふふ、立花さんありがとう」


素直にいうと嬉しかった

立花さんは私より私の心配をしてくれている

それがなにより嬉しい


「透!」


「み、ゆき」


目の前に現れた美人な女性

隣の立花さんをみると驚いた顔をしていた

となると透というのは立花さんの名前なのか


「バイトとかいってやっぱり浮気してたんじゃない」


「違うって、みゆき」


「なにが違うのよ!」  


みゆき・・・

初めてあったときみゆきと呼んでいた

名前なんかなんでもよかったといっていたけど立花さんの中で1番にくる名前はみゆきだったのだろう

そしてみゆきは立花さんの彼女だろう


「浮気じゃないです

私立花さんにフラれたんで、彼女がいるからと

それでも諦め切れなくてバイト先までいって付け回して・・・

今日は決着をつけに来たんです

優しい立花さんに付け込むのはもうやめます

本当にすいませんでした  

もうお2人に会わないと約束します

立花さん今までありがとうございました」


「そ、そうなんだ、ごめん、透、勘違いしてた」


とりあえずみゆきさんの誤解は解けたみたいだ

ならよかった

ひっそりと帰ろうとする

 

「みゆき、ちょっと待ってて」


立花さんの声が聞こえたと思ったら肩に手がおかれた


「どーいうことだよ」


「なんで怒っているんですか?

一件落着したんでいいじゃないですか

こーなったのは私のせいですし

みゆきさん、こっちみてますよ、早く戻らないと」


「と、おる?」


みゆきさんはこっちを心配そうにみている

また当然だろう

ストーカーと名乗った手前ストーカーと話しているのだから


「ハァー、この話はまた今度だ、明日絶対来いよ

ひとまず・・・送ってくよ」


「立花さんって馬鹿ですね

なんで彼女差し置いてストーカーと名乗った奴を送るんですか

彼女の気持ちも考えてあげて下さい

第一彼女さんはどーするんですか

みゆきさん、可愛いから襲われますよ

私は大丈夫ですよ、いつも帰っている道ですし

ほら早く言ってあげて下さい」


立花さんの背中を押してあげた

立花さんはしぶしぶといった感じだったが


「気をつけて帰れよ」


「ではまた明日」


立花さんはみゆきさんの元へいった


「帰ろうか、みゆき、送るよ」


「うん、ありがとう、透」


よかった、これでよかったのだ

私は立花さんに迷惑をかけたいわけじゃないから


あの日から3日たった

明日来いよっと立花さんはいったけど行かなかった

行けるわけがなかった

もう会わないと自分から言ったことなのだから

あのコンビニに私の居場所はもうない

それでも夜は寂しいからいつも通り散歩する


「ねぇ、君可愛いね

これからいいことして遊ばない?お金は払うからさ、5万でどう?」


顔は嫌いじゃない、20代後半の男だ

私は立花さんで出会ってから人が恋しくなったと思う

散歩なんて1人でもよかったのに今は誰かと話していないと落ち着かない

無性に立花さんに会いたい


あぁこれが恋ってやつなのか


その時初めて気づいた

立花さんが好きだと

だけどもう立花さんには会えないから・・・


「いいよ、辛いこと忘れさせてくれるなら」


「大丈夫、俺が全部忘れさせてあげるよ」


せめて立花さんを忘れたい


「じゃあいこっか」


男は手を繋いできた

別に嫌な理由もないので振りほどかない

イメージした

目の前にいるのは、一緒に手を繋いでいるのは立花さんだと

まぁこの時点で立花さんを忘れられないと気がついた

涙がでてきた


「リサ、なにしてんの?こんなところで」


「た、ちばなさん??」


これもイメージしているだけなのか

だったらよほど重症だ


「ち、男かよ」


しらない男はどこかにいってしまった

残ったのは私と立花さん


「お前なにしてんの?!」


「立花さんに関係ないじゃん

てゆーかバイトは?」

 

「今日は休みもらった

お前のことだからまた散歩でもしてるんじゃないかと思って

なんでコンビニ来ないんだよ」


「もう会わないってあの場で約束したもの

私そろそろ帰るね」


「ちょっと待てよ!俺がどんだけ探したかわかってんのか!!

家も途中までしかしらねーし携帯も名前もしらねーのにめっちゃ探したんだけど」


「探してなんて言った覚えないけど

そんなことしてるとみゆきさんにフラれちゃうよ」


「別れたよ、あ、お前のせいじゃないからな

俺さぁお前のこと好きなみたいなんだわ

あれ?これ、俺のほうがストーカーみたいだな」


「私が好きなの?恋愛感情として??」


「ま、まぁ高校生相手になにいってんの、おっさんと思うかもしんねーけど・・・」


「私もねさっき気づいた

立花さんが好きだって、でも立花さんに会わないって約束して

立花さんを忘れたくてあんな誘いに乗って」


「なーんだ、早い話じゃねーか

考えこんで損した

好きだよ、リサが好きだ、付き合ってくれないか?」


抱き着きながら耳元でいった

立花さんの顔は見えないけど肌が赤いのはわかる

照れているのだろうか


「はい」


涙の混じった声で小さく、だけどハッキリといった


あの道ではあれなのでひとまず立花さんの家にいった

立花さんはココアをだしてくれた

あったかいココアだ


「いいか、まず寂しくなったら電話かけろ 

迎えに行くから、1人で散歩はもうやめろ、危ねーから

コンビニも深夜は入れてないから行くなよ?」


「うん」


「あと三橋さんがお前のことめっちゃ心配してたから今度夜一緒にいくか」


「うん」


そーいやまずお互い自分で名乗ってねーな

俺は立花透、21歳の大学生だ

透って呼んでくれて構わねーから」


「透って呼んでいいの?」


「いつまでも立花さんは変だろ」


「わかった、透ね、透」


こんな些細なことでも嬉しく感じる


「で、お前は?」


「私は町中有紗、よろしくお願いします」









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― 新着の感想 ―
[一言]  葵枝燕と申します。  『町中の恋』、拝読しました。  てっきり“町の中”という意味で読んでいたのですが、主人公の名字だったんですね。  ところで、リサさんの台詞「3つしか変わんないじゃん」…
[一言] コメント失礼します。書くべきか悩んだのですが、コメント欄が設けられているので、遠慮なく気になった点について話していきます。 文章の書き方は人それぞれなので流しますが、『。』があると尚読みや…
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