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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第88話:指輪

次の日、ホテルを出ると、新江ノ島水族館に行くことにしました。


始めは元気の無い彼でしたが、イルカやアシカのショウを見て、雰囲気を明るくしようと


必要以上に、わざとらしく騒いでいる私を見ているうちに、表情が和らぎ、


彼も段々元気を取り戻して来ました。


ベンチに掛けて、かき氷を食べながら、私はさりげなく言い出しました。


「私ね〜、嬉しいんだ。お互い、秘密が分かっても、変わりなく好きでいられて。


隠し事が無くなって、スッキリして、本気で好きになれるって感じ。」


『俺のこと、好きなの?』


「大好きだよ。きのうまでよりも、ずっ・とね!」


『ほんとに? マジで?』


「これからも、よろしくね!」


翔太は、すっかりいつもの彼となり、楽しい1日を過ごしました。



それからというもの、私たちは毎日のように会い、食事をしたり、ゲームをしたり、


DVDを観たり、休みの日には、ドライブに行きました。


昔は、よく口喧嘩をしていましたが、海水浴の日以来、そんなこともなくなり、


以前、冷ややかな目で見ていた「バカップル」に、まさか自分がなろうとは・・・。


そんな毎日を繰り返しているある日、ドライブの帰りに夜景を見に、


湘南平へ行った時でした。


同じようなカップルが、沢山居る中、鉄塔に登り、相模湾の夜景を眺めて感動


をしていると、彼が私の手を引き、展望台の人気の少ないところに連れて行きました。


そして、私の顔を見つめると、キスをしてきました。


何だかいつもと違うなーと思っていると、


『俺、お前しか考えられないんだ。俺には、遥しかいない。


結婚してくれ。』


そう言うと、私の手をとり、指輪をはめてきました。


私は、拒否る気も無く、とうとうこの日が来たんだなーと、


「うん。結婚してあげる。浮気すんなよ!」


と、緊張を吹き飛ばすように、あえて元気良く、生意気に答えました。


彼は、私の返事を聞くと、『オー、サンキュー。』と言い、


もう一度、キスをして、長い時間、抱きしめていました。


毎日が楽しく過ぎて、やっと私にも幸せが訪れたんだと、生きていることに


感謝し、この幸せは絶対に壊したくないと思いました。



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)



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