表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
72/100

第72話:兄の気持ち

夜10時を過ぎていたせいか、病棟の観察室のような部屋に運ばれました。


明日の朝、6人部屋に移るそうです。



しばらく1人で落ち込んでいると、兄が母を連れて、やって来ました。


『大丈夫か! いったい何やってるんだよ! 』


「ごめんね! バイク壊しちゃった。 


フレーム、いっちゃったらしいんだ・・・もう乗れないかも。」


『そんなのいいよ。 それより、お前のからだは? おなかの赤ちゃんは?』


「私は、大丈夫だけど・・・赤ちゃんが・・・ダメだった。。。」


『そっか。ダメだったのか。。。でも、自分を責めるなよ。 それで、事故の相手は?』


「さっき、おまわりさんが来て、名前と連絡先教えてくれて、そこにメモがあるよ。


足を骨折してて、この病院に入院したみたいだよ。」


『分かった、こっちは、俺がちゃんとするから、お前は、早く身体を治せよ。』


「ありがとう。迷惑掛けてごめんね。ほんとに私って、ばかだ〜。」


『運が悪いだけだからな。 昔みたいに変なこと考えるんじゃないぞ!』



その言葉が、返って私の気持ちを、吐き出させてしまいました。


「私、ダメだよ。 隆志の子、殺しちゃったんだよー。 どうしたらいいの!?


隆志に何て言ったらいいの? 隆志の顔、もう見れないよ!


たとえ意識が戻っても、そんなこと彼に言ったら・・・・・」


『大丈夫だよ、分かってくれるし、お前が無事な事を喜んでくれるさ。』


「そんなことないよ! あたしが、死ねば良かったのよ・・・」


『ばか! なんてこと言ってんだよ! もう作れなくなったわけじゃないんだろ?


お前が生きてれば、また、作れるじゃないか。』



「あたしは、大丈夫だけど、隆志は、もうだめかもしれないの。


つぶれちゃって、もう出来ないかもしれないよ。


大事な赤ちゃんだったのに。。。ねーどうしたら、いいの。」


『そうかー。』



私が、泣き出して、少し間が空いてから、兄貴が言いました。


『でもなー、遥。 考えようによっては、これで、隆志君との絆が切れたんじゃないか?


隆志君と別れやすくなったじゃないか。


向こうの親も別れて欲しいって言ってるし、


もう、隆志君のことは忘れるのがいいんだよ。』



「お兄ちゃん、何言ってるのよ! 


それじゃー赤ちゃんは、私たちが別れる為に、死んだって言うの?


絆が切れたっていっても、 私たちの愛が終わった訳じゃないよ!


アッ! 何で知ってるの? まさか・・・。


お兄ちゃんが、隆志のご両親に、私に別れる様に言ってくれって、


お願いしたんじゃないわよね?」


『・・・・・』


「うそー! 信じらんない! 


お兄ちゃんが、そんなこと言うなんて、がっかりよ!


私のこと、分かってくれてると思ってたのにー。ひどいよ!


もう出て行って! 口も利きたくない!」


私が、興奮しているので、まずいと思ってか、兄は、部屋から出て行きました。



母が、私の頭を撫でながら、


『あんまり思いつめるんじゃないよ。


赤ちゃんは気の毒なことになちゃったけど、


お母さんは、あなたが無事でいてくれて、本当に良かったんだから。


あとのことは、ゆっくり落ち着いて考えればいいのよ。


時間が解決してくれることもあるから、結論を急いじゃダメよ。』


と言って、私が落ち着くまで居てくれました。



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ