第60話:結婚の準備
『遥は、結婚式をどこでやりたいの?』
「ん〜横浜がいいかな〜、隆志は?」
『僕は、どこでもいいけど、早くしなきゃなー。どのくらい人呼ぶの?』
「えっ? ん〜、30人くらいかな〜。」
『そっかーそれじゃー、合わせて、60人位の所か〜。』
「日曜日とかは、どこも、予約でいっぱいじゃないの?」
『そうだよね〜、でも、2ケ月後くらいにはしないと、おなか大きくなるよな〜。』
「お友達とか呼ぶ事考えると、やっぱり日曜日がいいしね。」
『仏滅とか気にする?』
「ん〜、どうかな〜。私よりも、親戚の人達がね〜。
だったら、平日に式場で親族だけでやって、
日曜日に、お友達だけで、どこかで披露パーティするのはダメかな?」
『なるほどーそういう手もあるね。さすが歳上のことはあるな〜。』
「何よそれ! ムカツク〜。」
『それじゃー、もしかして、空いてるところあるかもしれないから、
ある程度、目星つけて今度の休みに、回ってみよう。』
「でもさー、結婚式よりも、親に挨拶する方が先じゃないの?」
『そっかー! そうだよね。 まだ許してもらってないしな。
それじゃー、今度の休みに、遥の実家に行こう!』
「あたしよりも、そちらの方が先じゃないの?」
『うちは、全然平気だよ。
今まで、好きなようにしてきて、反対なんてされたことないしさ。
遥、連れて行ったら、可愛くてびっくりするよ!』
「でも、年上だし、乳がんの手術してるしね。気にしなくはないと思うよ。」
『そんなことないよ。・・土曜に行くって、連絡しておくよ。
そして、日曜日に、遥のうちに行こう。
遥さんを僕にください。 って、言いにね。』
「何言ってんだかぁ・・・。」
こんなに早く結婚するつもりなかったのにな〜。
もっと、隆志のこと良く知ってから考えようとしていたのに・・・。
いつの間にか、私も結婚したいと思うようになっちゃったよ。
赤ちゃんができて、後押しされちゃったみたい。
この先、上手く行くといいな〜。
そして、土曜日の朝がやって来ました。
私は、今までにないくらい緊張していました。
さすがの私も、ジーンズでバイクに股がって、とは行かずに、兄貴に頼んで車を借りました。
彼の実家は、栃木県。
往復5〜6時間の運転は、すべて私。
殆ど運転したことの無い彼なので、当然と言えば、当然なんですが・・・。
目的が遊びでない今日はちと辛い。
緊張すると、口数の少なくなる私。
往きの車内は、音楽が流れるだけの沈黙の空間でした。
そして、彼の実家に着きました。
(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)