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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第6話:私の秘密

私は、この面接で忘れようとしていたことを、思い出してしまいました。


そう、OLを辞めることになった、私の中の大きな事件です。


あれは、数年前、私がある有名な会社でOLをしていたころです。


毎日遅くまで残業が続いた年度末の忙しい日々も終わり、


打ち上げ会のあった数日後のことでした。


隣の課の同期のさゆりと、帰りにお茶した時です。


『ねえ? 遥の胸って偽物なんだって?』


「えっ?どうゆうこと? 何でそう云うこと言うの?」


『だって、みんな言ってるよ。男の注目引きたくて、中に入れて大きく見せてるって。』


「えっ・・・」


『高田係長(遥の上司)がその罠に掛かって、だまされたって言ってたらしいよ。


遥が、高田係長と付き合ってたなんて知らなかったよ。


ましてや不倫してるなんて、びっくりだよ。


ほら、こんな写真もあるし。』


さゆりが、携帯電話の画面を私に向けました。


そこには、高田係長が私にキスをしている画像がありました。


私は、目の前がまっ白になり、すごく動揺しました。


会話も続かなくなり、さゆりとはすぐに別れて帰りました。


その日の夜は、色々考えて、ほとんど眠れませんでした。



次の日、会社に居ると、みんなが私を変な目で見ているような気がして、


たまりませんでした。


隣に座っている仲のいい岡田さんに、仕事が終わったあとに、


色々聞いてみることにしました。


『この写真のこと?これは玉田が撮ったんだよ。


あいつ面白がって、みんなに見せたり、転送したりしてたな。


2人が付き合ってるなんて、勘違いするやつも出てきちゃったみたいだね。


撮ったのは、打ち上げの時で、お前がぐっすり寝ちゃってさ。


まっ、みんな寝不足が続いて頭がおかしくなってたし、酔っ払ってたし。


係長、お前のこと気に入ってたみたいで、寝顔を見たらキス始めっちゃってさ。


そこで、玉田が、携帯電話でパシャリ!


その後も、おーおーって、はしゃいでたら、


係長、調子にのって、お前の胸をブラウスの上から触りだして・・・。


さすがに、俺たち、『まずいですよ、係長!』と、止めたんだけど・・・。


『なんか変だぞ。触ってみろよ。』と、言うんで、玉田が触ったんだ。


すると玉田が、『何だよこれ、ニセモンだよ。


結構でかいと思ってたのになー。


あっ!でも、こっちは、本物だ。


かたちんばじゃん!!ハハハッ(笑)』と、言い出して、


どれどれと、係長は、お前のブラウスのむなもとを持ち上げて、のぞこうとしたので、


鈴木さんが、『もう辞めましょう。こんなことして恥ずかしくないんですか?』と、


言い出して少し口論となってさ。


僕と水野さんも止めに入って、段々と騒ぎになって、


お前も目を覚ましたから、お開きになったんだけどさ。


やっぱり、お前、憶えてないんだ?」


私は、愕然としました。


立ち上がれなくなり、声も出せない状態のまま、


岡田さんにタクシーで送ってもらいました。


部屋に入ると、そのまま泣き崩れました。


それから、2日間会社を無断で休み、


3日目の朝、退職願を出しに出社しました。


止めてくれる人もいましたが、この課の部屋に入るのが、


この空間に居ることが、私には耐えられませんでした。


それからというもの、何日も閉じこもり、立ち直るまで大変でした。



私の右胸は、20歳の学生の時に乳がんで、乳房全摘出手術を受けていました。


10センチほどの傷が残り、乳首は無くなり、ペシャンコになってしまいました。


以上が、私がOLを辞めることになった、私の秘密です。



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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