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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第58話:幸せな食卓

思い切って、言うことにしました。


「妊娠したの。2ヶ月目に入ったところだって。」


相当悩んだ割には、軽い感じで言ってしまった。


次の瞬間、隆志は立ち上がり・・・。


その次の瞬間、隆志の両手は、私の両手を掴んでいました。


『ほんとに? ほんとに?』


「うん。」


『やったー!! 僕に子供が出来たー! 


イヤイヤ、出来たのは、遥だから・・・。


遥のおなかに、僕との子が出来た〜!!』


「うれしいの?」


『当たり前じゃないかー。そーだ! 結婚しなきゃ! 


お腹かが大きくなる前に、結婚式挙げなきゃ!』


「産んでいいの?」


『いまさら、何言っちゃってるんだよ。 僕が、子供欲しいの知ってるくせに。』


「そんなの、ハッキリ言ってくれなきゃ分かんないよ!」


『ハッキリ言ってたよ! それに、遥と結婚したいって、何度も言ってたじゃん!』


「そうだね。そうだね。子供、欲しいって言ってたね!」


何で、私ったら、信じられなかったんだろう。


私の目から、大粒の涙が溢れ出しました。


『何、泣いてんだよ?』


「もしかしたら、子供はまだ要らないって、言われるかと思っててさ。」


『そんなわけないだろー! 遥と僕の子だよ!


どんな顔してるんだろうな〜?』


そして、私は、おなかに手を当てて言いました。


「良かったね、マイベイビー、産まれて来れるよ!


パパが、君に会いたいって・・・。」


緊張から解かれた私のほほに、涙が流れました。


『さーぁ! これから、忙しいぞ!

 

家族に挨拶しなきゃいけないし、式場や、仕事もしっかり決めなきゃ!』


「仕事って?」


『いつまでも、こんなことしていられないよ!


また、コックやろうと思ってるんだ!


今度は、ちゃんと投げ出さないようにさ。


遥と子供のために、しっかりしなきゃね!』


緊張で始まった夕食は、今までに無い、ばら色の食卓となりました。


色々あって、引きこもりぎみだった私に、やっと訪れた幸せの季節。



でもこの幸せは、そう長くは、続きませんでした。


そう、この電話から、すべては狂い始めたのです。        


「隆志! 携帯鳴ってるよ!」


『うん!』



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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